(2011/11/22)
ビルウェル証券に対する検査結果に基づく勧告について
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2011/2011/20111021-1.htm
1.勧告の内容
関東財務局長が株式会社ビルウェル証券(東京都港区、代表取締役 塚本大介(つかもと だいすけ)、資本金3億1,700万円、役職員5名、第一種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、平成23年10月18日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
2.事実関係
○純財産額及び自己資本規制比率が法定の基準を下回っている状況等
株式会社ビルウェル証券(以下「当社」という。)は、純財産額の大半を占める4,000万円を、平成23年4月12日(以下「計上日」という。)以降、現金勘定に計上しており、計上日から代表取締役が交代した同年7月15日までは前代表取締役(以下「前社長」という。)が、同日以降は現代表取締役(以下「現社長」という。)が現金で保管しているとしていた。
しかしながら、(1)計上日以降、当社は当該4,000万円について社内規程に基づく実査を行っていない。(2)現社長は、社長就任時に前社長から現金4,000万円を引き継いでいないとしている。また、(3)検査においても、現金4,000万円は確認されていない。
このようなことから、当社においては、遅くとも現社長の就任時以降、当社の現金勘定に計上されている4,000万円は存在しなかったものと認められる。
したがって、遅くとも平成23年7月15日から検査基準日(平成23年9月16日)現在まで、当社の純財産額は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして金融商品取引法(以下「金商法」という。)第29条の4第1項第5号ロに基づく金融商品取引法施行令第15条の9第1項に定める額(5,000万円。以下「法定の純財産額」という。)に満たない額となっており、自己資本規制比率についても100%を著しく下回る状況となっている。
しかしながら、当社は、4,000万円が現金で当社の資産として存在するとして算出した虚偽の自己資本規制比率又は純財産額を金商法第46条の6第1項に定める月末の届出及び第56条の2第1項に基づくモニタリング調査において報告している。このため、当社は、同法第46条の6第1項に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第179条第1項第1号(自己資本規制比率が140%を下回った場合)及び同法第50条第1項第8号に基づく同府令第199条第11号イ(純財産額が5,000万円に満たなくなった場合)に定める届出を行っていなかった。
以上のとおり、当社の純財産額が法定の純財産額に満たない状況は、第一種金融商品取引業者に対して、監督上の処分を命ずることができる場合の要件となる金商法第52条第1項第3号(同法第29条の4第1項第5号ロ(純財産額が5,000万円に満たない者)に該当することとなったとき)に該当するものと認められる。
また、当社の自己資本規制比率が100%を著しく下回っている状況は、第一種金融商品取引業者に対して、監督上の処分を命ずることができる場合の要件となる金商法第53条第2項に定める「金融商品取引業者が第46条の6第2項の規定に違反している場合(自己資本規制比率が100%を下回るときに限る。)において、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
更に、当社が虚偽の自己資本規制比率を関東財務局長に届け出たことは、金商法第46条の6第1項に違反するものと認められる。また、同法第56条の2第1項に基づくモニタリング調査に対し虚偽の報告を行ったことは、同法第52条第1項第6号(金融商品取引業に関し法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき)に該当するものと認められる。