金融&IT業界の情報サイト
 
 


 
【金融業界ニュース】 >> 記事詳細

2016/12/09

【国際協力銀行】ベネズエラの最新動向(10月1日~11月30日)

| by:ウェブ管理者
I. 政治・経済

1. CNE、国民投票実施に向けた署名集めの手続きを停止
・ ベネズエラ選挙管理委員会(CNE)は 10 月 20 日、大統領罷免に向けた国民投票を実施するための今後の署名集めの手続きに関して、8 月 1 日に完了していた第 1 回目の署名認証(全有権者の1%)の手続きに不正があったとして、10 月 26~28 日に予定されていた第 2 回目の署名集め(全有権者の 20%)の手続きを停止すると突如発表。

・ Apure 州、Aragua 州、Bolivar 州、Carabobo 州、Monagas 州の裁判所が、「不正に関する捜査が完了するまで、国民投票実施に向けた今後の手続きを停止する」との判断を下したことが背景で、CNE は、各裁判所の最終的な判断が下されるまで、第 2 回目の署名集めの手続きを、無期限に延期すると発表している。これに対して、野党指導者のカプリレス氏は、「今回の CNE の決定は危険であり、社会危機が一層悪化するリスクがある」と警告。また、大規模な反政府デモを今後も続ける方針を示している1。

・ CNE は 10 月 18 日には、2016 年 12 月に実施する予定であった州知事・市長選挙を 2017 年半ばまで延期することも発表。日程の詳細については明らかにしていないが、州知事選挙を 2017 年第1 四半期(1~3 月期)の終わり頃、市長選挙を 2017 年下半期に実施するとの見通しを示している。
ベネズエラでは現在、全国 23 州のうち 20 州で与党 PSUV 所属の州知事が統治しており、当該選挙を延期することで、政治的影響力を維持することがマドゥーロ政権の狙いとみられている。与党PSUV は、「国民投票実施に向けた手続きが進行中に地方選挙を実施することはできない」と主張しているが、野党 MUD は、「当該選挙の延期は違憲である」とし、CNE への反発を強めている。

・ アナリストは、野党 MUD はこれまで和平的な反政府デモを展開してきたが、マドゥーロ政権による妨害が続くなか、新たな暴動に発展するリスクが高まっていると指摘。また、マドゥーロ政権は強権姿勢を強めることで政権維持を図っているが、経済・社会情勢の悪化に伴う社会不満の爆発により、いずれは対話もしくは選挙を通じた野党への政権移行が実現すると予想している。

2. 与野党、バチカンや UNASUR の仲介の下で対話を開始
・ ベネズエラ国内での社会・経済情勢が深刻化するなか、マドゥーロ政権と野党 MUD は 10 月 30 日に首都カラカスで、バチカンや南米諸国連合(UNASUR)の仲介の下で第 1 回目の対話を実施。今回の対話では具体的な進展はみられなかったものの、双方とも「新たな暴動への発展を回避するべき」との見解で一致し、今後も対話を継続することで合意した。

・ 今回の対話が実現したのは、マドゥーロ大統領が 10 月 24 日に、バチカン市国を電撃訪問し、ラテンアメリカでの影響力が強いローマ法王フランシスコ(アルゼンチン出身)と会談を行ったことが背景で、ローマ法王が、与野党の対話を支援する意向を示したことで、双方が対話実現に向けて歩み寄った格好。10 月 26 日には、ラテンアメリカ 12 カ国(アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、チリ、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、パナマ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ)の外務大臣が、深刻化するベネズエラ危機への懸念を示した上で、「建設的な対話を構築することを促す」共同声明を発表。10 月 31 日には、Shannon 米国務次官がベネズエラを訪問し、マドゥーロ大統領や野党幹部等と会談を行い、対話を支援していく意向を示している。

・ 与野党による対話が続くなか、野党 MUD は 11 月 1 日に、国民議会でのマドゥーロ大統領に対する弾劾手続き2を延期し、抗議デモも一時停止すると発表。また、マドゥーロ政権も、刑務所で拘束中の野党政治家 5 人を解放しており、緊張は一時的に和らいでいる。11 月 12 日に行われた第 2 回目の対話でも、経済危機への対応、国民議会の機能回復、対話の継続等で合意。次回の対話は12 月 6 日に実施される見通し。

・ 他方、大統領に対する弾劾(即辞任)や新たな大統領選挙の早期実施を要求する野党過激派(拘束中のロペス氏率いる Voluntad Popular 党等)は対話への参加を辞退。また、マドゥーロ大統領も任期終了の 2018 年 12 月まで大統領選挙が行われることはないと断言しており、政権維持を図るマドゥーロ政権と国民投票の早期実施を求める野党 MUD の隔たりは依然として大きい。

・ アナリストは、与野党がお互いに妥協する姿勢をみせていないことから、数週間以内に対話が決裂すると予想。また、野党内では、対話に反対する過激派と対話を継続する穏健派の間に亀裂が生じ始めており、直近では反政府デモの規模が縮小、それに伴い、マドゥーロ政権が存続する可能性も高まっていると指摘している。


原文はこちら
http://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/reference_ja/2016/12/52022/201610-11venezuela.pdf

18:11 | 金融:銀行
 

【免責事項】
サイト掲載情報の正確性、および完全性については最善を尽くしておりますが、その内容を保証するものではございません。また利用者が当サイト、およびサイトに関連するコンテンツ、リンク先サイトにおける一切のサービス等を利用されたことに起因、または関連して生じた一切の損害(間接的、直接的を問わず)について、当社、当サイト、投稿者および情報提供者は一切の責任を負いません。

Copyright © 2010- GoodWay Inc. All rights reserved.