ICT・メディア市場は個々の技術やサービスの普及が進むとともに、さらにそれらを複合させた新しい用途や市場が生み出されています。また、これらの技術やサービスを活用して、企業や社会の根本的な変革が始まっています。「デジタル変革」「データ経営」というキーワードは、まさにこのような動きを示しています。 このような変革の本質は、①製品・サービス、業務そして業界そのものにおける「アンバンドル化(既存のビジネスモデルや製品アーキテクチャの依存・結合関係の分裂)の進展」、および、②「サブスクリプションモデル※2前提によるビジネスプロセスの再編」の2つです。NRIはこれらの変化を、「Software is eating the world(ソフトウェアがすべてを飲み込んでいる)」の最終仕上げの状態にあると捉え、来年以降5年先の2023年度に向けて、各市場がどのように変化していくかを分析しました。 主要5市場の特徴的な動向と予測結果は、以下のとおりです。各市場で取り上げている個別の分野については、【ご参考】の「各市場・分野の定義と説明」をご参照ください。
デバイス市場
新たな発展ステージを迎えるデバイス市場
デバイス市場を牽引してきたスマートフォンの販売台数は、2017年度に世界全体で20億台を超える。新興国向けの低価格機種が台数ベースでみた成長を牽引するとともに、ハイエンド端末の機能向上により、デバイスの平均単価は上昇傾向にある。その結果、2023年度には、世界で23.3億台に増加すると予測される(図1)。iPhoneXでは、新たに搭載された顔認証向けのロミオモジュールやジュリエットモジュールが品薄となったため、端末出荷が遅れるなど、機能拡張に伴うデバイスの需給バランスの問題は今後も課題となろう。また、スマートフォンの平均価格が1,000ドル(約11万円)の大台に乗ったことで、今後買い替えサイクルへの影響なども注目される。 また、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence、人工知能)の領域で進展している技術革新とデジタル変革の大きな潮流の中で、ドローンや音声エージェント端末の出荷台数の高い成長が期待される。センサーデータを始めとする実世界データの収集、蓄積、およびその分析に向けて、ビッグデータのさらなる革新に、各種のデバイスがさらに貢献していくことが期待される。