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2016/06/10

【証券取引等監視委員会】IS証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

| by:ウェブ管理者
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会がIS証券株式会社(東京都千代田区、法人番号2010001107097、代表取締役 多田 一昭(ただ かずあき)、資本金2億3500万円、常勤役職員21名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

2.事実関係
○金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

(1)株式会社メディケアインベストメントに関連する債券について
株式会社メディケアインベストメント(東京都千代田区、代表取締役 池川一臣、金融商品取引業の登録はない。以下「MCI社」、「池川代表」という。)は、診療報酬債権等の買取業務を行うためとして、「ナーシングケア債」との名称の社債(以下「MCI債」という。)を発行し、資金を調達している。

MCI債の発行残高は、平成28年3月末現在、約62億円となっており、そのうちIS証券株式会社(以下「当社」という。)が約2億円、野畑証券株式会社が約59億円を販売している。
また、MCI社は、TMファンド1号株式会社及び上光メディカルファンド株式会社(以下、それぞれ「TM社」、「JM社」という。)をそれぞれ設立し、運営を行っている。
両社(代表取締役はいずれも池川代表)は、診療報酬債権等を買い取り、それを「裏付資産」とするとして、TM社においては「ナースケア債」との、JM社においては「メディカルナース債」との各名称の社債(以下、それぞれ「TM債」、「JM債」という。)を発行し、資金を調達している。
TM債及びJM債の発行残高は、平成28年3月末現在、それぞれ約7億円、約22億円となっており、それぞれ竹松証券株式会社、上光証券株式会社が販売している。
MCI債、TM債及びJM債の実態を検証したところ、以下の事実が認められた。

ア)MCI社、TM社及びJM社の間で、随意に資金の貸借や診療報酬債権等の売買が行われているなど、当該3社は渾然一体となって診療報酬債権等の買取業務の運営を行っている。
こうした中、MCI社によるTM社からの回収困難な介護給付費債権の買取り(TM債の投資者の損失リスクをMCI債の投資者に転嫁)、TM債の償還資金の捻出のためのTM社からMCI社やJM社への診療報酬債権等の売却等が行われている。
また、診療報酬債権等の買取り資金の融通のため、MCI社及びJM社の間において、相互に資金の貸借等が行われている。


イ)MCI社は、池川代表が代表取締役を務め、大幅な債務超過となっている高齢者施設運営会社から介護給付費債権のほか、家賃等に係る債権も買い取るなど、平成27年以降同社からの買取りを急拡大しており、同年末時点でMCI社による診療報酬債権等の買取残高全体の3割超に上っている。
当社は、MCI債の販売に当たって、商品内容や発行会社等の審査を実質的にはほとんど行っておらず、販売を開始した後も事後的なモニタリングをほとんど行っていないことから、上記ア及びイのMCI債の実態をほとんど把握していない。この結果、当社によるMCI債の販売について、以下の問題が認められた。

・上記アに関し、当社は、販売用資料等において、MCI社、TM社及びJM社が渾然一体となって診療報酬債権等の買取業務の運営を行っている実態に一切言及せず、MCI社が単独で診療報酬債権等の買取業務の運営を行っているかのような誤解を与える表示を行った。
・上記イに関し、MCI社は、当該高齢者施設運営会社から、介護給付費債権を6ヶ月分買い取っているほか、家賃等に係る債権も買い取っているにもかかわらず、当社は、販売用資料において、事実に反し、買取対象債権として「診療報酬債権・調剤報酬債権・介護給付費債権」とのみ記載し、また、買取月数についても「1ヶ月~4ヶ月」と記載し、説明していた。
・上記ア及びイに関し、MCI社は、回収困難な介護給付費債権や大幅な債務超過となっている先の介護給付費債権等について、そうした実態を知りながらほとんど審査することなく買い取っているにもかかわらず、当社は、販売用資料において、事実に反し、買取先の「財務内容等運営の適正性のチェック」を行うと記載し、説明していた。
・さらに、当社は、MCI債の元利金の支払いについて、MCI社が発行する債券であるにもかかわらず、契約締結前交付書面に「元利金の支払いは支払基金等からの支払を源泉としており、現行の医療保険制度に対して日本国政府の公約は大きく安全性の高い金融商品」であると記載し、顧客に対し、あたかもMCI債が社会保険診療報酬支払基金等と同等のリスクしかないかのような誤解を与える表示を行った。

当社の上記の行為は、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。


原文はこちら
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2016/2016/20160610-1.htm

17:09 | 金融:行政・取引所・団体
 

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