1.背景 全世界におけるカーボンニュートラル実現に向けて、企業セクターは大きな役割を担っています。昨今、企業のあらゆる事業活動に関係する CO2 排出量の合計が注目され、各企業の CO2 排出量の削減効果が大きい取組みに加え、サプライチェーンの上流・下流の関係者と連携した排出量削減の取組みへの期待が高まっています。
また、日本政府は「2050 年のカーボンニュートラル実現」と併せ、「カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」として 14 の重点分野を示しています。その1分野である燃料アンモニアおよび水素の活用への期待が高まっています。そのような CO2 を排出しない燃料等の活用は、サプライチェーン全体の CO2 排出量の削減につながり、その削減された CO2 排出量に応じた「環境価値」をクレジット(※)という形で金銭に換え、当該金銭により新たな脱炭素の取組みを実施する循環が始まっています。 こうした状況を踏まえ、当社は、社会全体での脱炭素の推進を支え、サステナブルな社会の実現に貢献していくことを目指し、本保険を開発しました。 (※)「クレジット」とは、脱炭素の取組みによる CO2 削減効果を第三者による審査・認証等を通じて「見える化」し、売買取引できる形としたもの。日本のクレジット制度の代表的な例である「J クレジット制度」は、省エネ機器や再生可能エネルギーの導入などによる温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。
2.本保険の概要 本保険は、CO2 排出量の削減に取り組む企業を対象に、サプライチェーン上で発生した事故によって被る「環境価値」の減少を補償することを通じて、脱炭素の取組みを支える保険です。 サプライチェーン上で事故が発生すると、脱炭素の取組みを停止・規模の縮小等をせざるを得ず、想定していた CO2 排出量の削減を達成できない事態が生じます。こうした事態に対して、本保険では、脱炭素の取組みを再開・復旧するための代替燃料再調達費用等に加えて、従来の保険では補償していなかったクレジットへの換金額が減少したことによる逸失利益等をお支払いします。 <例>自家発電施設用のCO2 を排出しないアンモニア燃料の調達時に、アンモニア輸送船の事故により燃料調達が不能となった場合に生じる代替アンモニア燃料調達の費用や、事故がなければ得られたはずのクレジット売却益を補償します。