本報告書では、わが国における中央銀行デジタル通貨(central bank digital currency: CBDC)を巡る主な法的論点の洗い出しおよび検討を行った。まず、検討の前提として、CBDCの発行形態を具体的に想定し、4つモデルを置いたうえで、「日本銀行はCBDCを発行できるのか」といった日本銀行法上の論点や法貨性・一般受容性に関する論点、CBDCの利用者の範囲の制限などの取引条件を巡る論点を検討した。また、マネーロンダリング防止や個人情報保護の観点を踏まえ、CBDCの発行を通じた情報の取得を巡る論点について検討したほか、偽造・複製への対応などの私法上の論点やCBDCと通貨偽造罪との関係等についても検討を行った。