協議会名にもあるオルタナティブデータとは、金融機関や投資家等が資産運用で利用してきた財務データなどの伝統的なデータとは異なる、ビッグデータや様々な情報源から収集できる多様な情報・データを指し、資産運用における投資判断の差別化を生み出すファクターとして大きな注目と期待が寄せられている。
まず、オルタナティブデータの定義として、今まで使われていなかった非定型、非金融のデータなど全てのデータがオルタナティブデータとして活用される可能性があるとして、具体的には気象情報、衛星写真、船舶情報、特許情報などの他、金融寄りの情報としてはIRテキストや記者会見動画、ニュースなどが対象になりうるという。また活用事例については、衛星写真で工場の出荷数を知り、決算発表前にその企業の株式を買ったり、タンクの上空写真で原油備蓄量、流通量を計算し、原油先物の取引に活用するといった例が紹介された。また、年々拡大するこの分野のグローバルな市場規模が1,700億円(2020年)を超えてきた一方で、国内における活用への課題として、レギュレーションの理解、人材不足、コスト評価の観点に大きな課題が存在しているという。それらの課題を業界一丸となって解決すべく設立された協議会は、データ活用の担い手として全ての当事者が交流、学ぶことができ、健全なエコシステムの推進と持続的経済成長への貢献を理念としているという。
さらに、後半に組織等の説明があった後、発足以降の活動内容としては、それぞれの課題別の委員会として「理解醸成委員会」、「レギュレーション委員会」、「人材育成委員会」、「企画委員会」が活動を始めているほか、会員として協議会への参加するメリットとして知見の獲得、ネットワーキングなどが挙げられるという。
会見の最後に、各理事による所信表明が行われ、社会・経済におけるデジタルデータの位置づけや骨太の政策方針、内外のオルタナティブデータの活用度の差、外部団体との連携強化による利活用拡大、運用会社としての活用意義、新金融事業への活用可能性などに触れながら各自が今後に向けての抱負を述べた。
また、質疑応答では報道サイドから、1年後まで活動・会員数目標、データ活用に関する個人情報の問題、データを利用される側の承認などについて質問が寄せられた。
投資判断のスピードアップや投資戦略の差別化が喫緊の課題となる中で、国内のオルタナティブデータ活用の歴史は浅く、レギュレーションの理解や人材の不足、コスト評価手法の未確立など課題が山積する状況において、関連企業のナレッジを集結して課題に取組み、データ利活用拡大を推進しようとする協議会の今後の活動に注目したい。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )