FXシステム開発、ソーシャルトレード、マーケティングなどトータルにコンサルティングを提供している 株式会社Nextop.Asia は、2013年7月18日、マンダリン オリエンタルホテル 東京で開催された「フォレックス・マグネイト東京サミット2013」に出展、「最も野心的なスタートアップ企業によるパネルディスカッション」の中で業界注目のスタートアップ企業として、「Most Innovative Financial Product Award」を受賞した。
2014年4月22日、グッドウェイは、ベトナム・ハノイにある Nextop Limited の本社において総勢100名のスタッフでオフショア開発を展開、アジアNo.1の金融システムコンサルティングを目指すスピード重視の戦略と挑戦について、Nextop 代表取締役 菅原 崇 氏にインタビューを行った。
大変ご無沙汰しております。昨年の「フォレックス・マグネイト東京サミット2013」以来ですね。今回、偶然にも出張のタイミングが重なり、まさかハノイでお会いできるとは思ってもみませんでした。ハノイ郊外ということで、どのような場所かと思っておりましたが、高層ビルが立ち並び、インフラの整った新興ビジネスエリアといった感じですね。
ご無沙汰しております。遠路、お越しいただきありがとうございます。このビルはハノイで最も高層なビルで、おっしゃる通りIT関連のビジネスに必要なインフラも整備されています。最近、日本大使館のすぐそばに同じくらいの高層ビルとなるロッテタワーが建設されていますが、そちらに比べると賃料も比較的、安く抑えることができます。
現在、ハノイにいるシステムエンジニアは何人くらいいらっしゃるのですか?また、どのようなビジネスを中心にビジネスを手掛けていらっしゃるのでしょうか?
ここハノイオフィスにはおよそ100名のエンジニアがいます。当初、M&Aにより事業をスタートした時点では40名ほどの体制でしたが、おかげさまで、随分と増えました。現在、ベトナムの他にも、中国拠点に約20名、日本拠点に約10名と、全体で130名のグローバル体制で展開しており、主に日本のFXブローカーやリクイディティプロバイダーに向けたFX/CFD取引システム、ディーリングシステム、バイナリーオプション、ソーシャルトレード、レートマネージャーはじめとするアプリケーションの開発と運用、海外拠点におけるFXブローカレッジビジネスの展開に必要なコンサルティング支援とシステム提供を行っています。また、最近では、特にスマートフォン上でサービスを提供するシステム開発案件の需要が増えています。
御社は2012年3月設立ということで、短期間のうちにオフショア開発の体制を確立し、世界の市場で開発したシステムが稼働しているとは、すごいことですね。数あるアジア諸国の中から、なぜ、ベトナムを選んだのですか?
システム刷新が一巡し、成熟したステージとなりつつある日本国内のFXビジネスにおけるシステムには高いコストパフォーマンスが要求されており、競争も厳しいことから、同じような国内開発のアプローチでは優位性を打ち出すのは難しいと判断し、はじめからオフショア開発を前提に考えました。もちろん、私自身が前職となるEMCOMでの勤務時代にオフショア開発の経験が長かったことも大きな理由です。そのような中で、ロケーションとしてベトナムを選んだ理由には、M&Aの機会としてご縁があったこともありますが、具体的なポイントとしては、若者の多くが英語を話せること、国民感情として親日派が多いこと、外国資本の投下による事業創出に対する税制優遇制度があることが挙げられます。
確かにハノイ市街の多くで、比較的、英語が通じました。また、建設中のハノイ新空港も日本とベトナムの共同プロジェクトとしてPRや大成建設の名前が記された看板が大きく打ち立てられていました。そういう意味では、確かにビジネスを一緒に進めやすいですね。オフィスにいるエンジニアの皆さんを見渡すと、とても若くて活力がありますね。全員が正社員ですか?
はい、大卒を中心に採用を進めています。また、ベトナム国内有数のIT企業から転職してくる人も数多くいます。ベトナム人は結婚時期が早く20代前半の既婚者も多く、総じてみんな真面目で勤勉です。当社では、女性の社員も数多く採用しています。
コストパフォーマンスが強みということですが、ベトナム国内の一般的なエンジニアの給与の相場はどのような水準なのでしょうか?
個人の所得として見た場合、新卒で300~400ドル/月といったところです。企業から見ると、そこに、社会保障関係でさらに20%ほどの費用を加え、物価水準の高騰との連動を踏まえて定期的に数%程度の昇給をしていくことでモチベーションを高めていく必要があります。日本と同様に、優秀なエンジニアに長く働いてもらうにはフェアな評価プロセスと適切な昇給の実施が必要です。そのため、当社では360度の評価プロセスを採用し、一人一人とのコミュニケーションや教育にも力を入れて取り組んでいます。
ベトナムにおいても、優秀なエンジニアを採用し、確保し続けていくことは簡単ではなさそうですね。
はい、ベトナムは他の国と同様で、日本語が話せる人材よりも英語が話せる人材が豊富であるため、当初は日本語を重視せずに、英語でコミュニケーションをしていたので、他の開発会社よりも選択肢は広かったと思います。また、たとえば他の会社が500ドルしか払わなかった人材に対して700ドル払って採用をしていたので、他の日本の開発会社よりも採用はできました。つまらない話ですが、ここのオフィスはハノイで一番イケテいるビルと言われているのですが、ここで働くことが出来るモチベーションも採用にはとてもプラスになっています。
ただし、現在のお客様は日本企業が多く、お客様から日本語でのコミュニケーションを求められているので、日本語を話せるエンジニアを増やしておりますが、ここ最近ではゲーム開発会社やメッセージングアプリを展開する企業も進出してきており、日本語を話すエンジニアの採用は、年々難しくなっています。そのような中、当社は現地の大学と提携し、日本語が話せて日本で働くことを希望しているベトナム人を日本の企業に紹介していくプロジェクトを立ち上げて、そのトライアルを行っています。現在は、まだ、年間で10名ほどの規模ですが、今後は年間で100名超となるよう支援していきたいと考えています。
日本の企業とベトナム社会の双方にメリットのある取組みが、これからのアジアの成長を支えていくのですね。本日は、貴重なお話、ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
はじめまして。ベトナムには長くいらっしゃるのですか?
いえいえ、今回は、菅原さんと一緒に出張できています。
ご紹介します。EMCOM証券で社長として「みんなのFX」や「みんなのSNS」を手掛けていた木下さんです。実は、ソーシャルトレードの研究と新しいサービスの展開にあたり、参画いただくことになりました。
ソーシャルトレードですか!日本国内は、まだサービスとしての立て付けや投資家保護など議論を通じた整理が必要なところも多く、まだ実際に手掛けているところはありませんね。一時は、海外のソーシャルトレードサービスを展開している複数の企業の幹部が来日し、サービスの展開に向けて積極的に模索していた時期がありましたが、システムトレードの黎明期と同じく、新しいスタイルと価値の提供といった観点では興味深い分野だと思います。
実は、私としては、15年も前から興味を持っていた分野です。当時、FXはまだ存在しておらず、株の世界においても取引エンジンや個別銘柄への価格や流動性などインパクトといった問題や限界もありましたが、昨今のFXプラットフォームの上であれば、実現できることも出てくると考えています。どうぞ、是非ご期待ください。
はい、楽しみにしております。サービスについて正式に発表される際には、ぜひお声かけください。
はい、こちらこそ、その際には、よろしくお願いいたします。
-以上-
(取材、記事、編集・制作:藤野 宙志 @株式会社グッドウェイ )