「FinTechビジョン」は、経済産業省が2016年7月より開催した「FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合」でのFinTechに関わる実務家や有識者の意見も踏まえ、FinTechが経済社会に与えるインパクトや課題、今後の政策の方向性に関して議論した内容をもとに取りまとめられ、今回、総合的な報告・提言として発表に至ったという。 ブリーフィングでは、福本 拓也氏(経済産業省 経済産業政策局 産業資金課長)より趣旨説明が行われ、辻 庸介氏(一般社団法人 新経済連盟 幹事 FinTech推進タスクフォースリーダー、マネーフォワード 代表取締役社長CEO)、丸山 弘毅氏(一般社団法人 FinTech協会 代表理事、インフキュリオン・グループ 代表取締役)が「FinTechビジョン」に対する認識と今後の取り組みについてコメントした。
【福本 拓也氏(経済産業省 経済産業政策局 産業資金課長)】
福本氏は、これまで海外では政府によるFinTech政策を包括的に示す文書が出ているものの、日本では個別の取組にとどまっており、今回はじめて総合的な課題認識と方策を取りまとめたことで、今後、日本再興戦略、成長戦略におけるFinTech政策パッケージを検討する基礎として活用するものだと語った。その上で、第4次産業革命を支える「新たな金融」のあり方に向けて、ユーザー視点からの発想が不可欠だとし、政府としての現状認識、日本における道筋、課題と政策対応について紹介。政策指標(KGI)の設定として、キャッシュレス決済比率、サプライチェーンの資金循環速度(SCCC)、バックオフィス業務のクラウド化率を挙げたほか、政策の柱として以下の4点について解説した。
・ FinTech の前提条件を整える
・「お金」の流れをデジタルで完結する
・中小企業等のFinTech活用を後押し
・イノベーション(試行錯誤)を促す仕組み作り・環境整備
【辻 庸介氏(一般社団法人 新経済連盟 幹事 FinTech推進タスクフォースリーダー、マネーフォワード 代表取締役社長CEO)】
辻氏は、今回の取りまとめに対する経済産業省へのお礼の言葉と共に、ベンチャー側の視点としても官民で取り組まないと国際競争力に遅れを取るとの危機感を示した。その上で、お金は経済活動のど真ん中でもあり知恵を絞っていく必要があるとし、前提条件を整えフェアに競争が起きる仕組みを作り、ミスを恐れずイノベーションを促していくことの重要性を指摘。「FinTechビジョン」により、ユーザーメリット、社会課題解決に向けた強いリーダーシップが示されたことは、日本にとって重要なことであると述べた。そして、新経済連盟としても、この施策を会員を含め広く周知し、この土壌の上で各企業がより便利で生産性が高まるサービスを生み出せる活動を応援していきたいと語った。
【丸山 弘毅氏(一般社団法人 FinTech協会 代表理事、インフキュリオン・グループ 代表取締役)】
丸山氏は、FinTech協会の会員(ベンチャー約80社、大企業約150社)には金融機関のほか通信キャリアなど多様な業種が入っていることを紹介。フィンテックは、世の中の動きや産業が大きく変わる中において、お金も変わり、大きな文脈の中のひとつであるとし、「FinTechビジョン」が全体の流れを捉えて提言としてまとめられたことは非常に価値があり、世界を見渡してもとても有意義なもので、FinTech協会として参加できたことに感謝の言葉を述べた。その上で、一つ一つの施策のみならず、全体を同時にセットで広げることに大きな意味があるとし、官民一体で進めることで世界に追いつくというよりも世界を越えていく環境を整えることに協会も協力していきたいと締め括った。
全ての説明とコメントが述べられた後、会場に訪れた記者との質疑応答、個別の意見交換や名刺交換が行われた。
「FinTechビジョン」の内容、詳細については、以下を参照されたい。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )