2016年10月8日(土)、学生投資連合(USIC)は、レオパレス21 本社の会場において、大学生対抗「IRプレゼンコンテスト」を開催した。
学生投資連合(USIC)は、2008年2月に「学生の金融リテラシー向上」をコンセプトに学生投資サークルの協同によって創設された学生団体。一人でも多くの学生に金融の大切さを伝え、日本が金融大国となるような基盤作りに尽力している。
開会の挨拶は、学生投資連合(USIC)代表 立川 裕基氏が登壇。来場者へのお礼の言葉と共に、企業訪問などを通じて本番に向けた資料作成に取組んできたとし、最後まで楽しんでほしいとした。なお、学生投資連合(USIC)は、毎年継続した運営を目指していくという。
ルールは、1チームあたり発表時間12分、質疑応答2分。評価基準は、プレゼン内容(業界分析、事業分析、財務分析、業績分析、株価分析、企業の3つの強み、企業のリスクなどの観点)、資料の完成度、話し方、合計415点満点で競い合った。
東京大学 株式投資クラブAgentsは、東海東京フィナンシャル・ホールディングスについてプレゼン。会社/事業概要、指標/株価動向の紹介に続き、証券業界分析。その上で、同社の戦略やリスク、業績予想や算出した目標株価を披露した。
明治大学 Bチームは、星野リゾート・リート投資法人についてプレゼン。REIT業界の仕組みや取り巻く環境および事業構造に触れつつ、BS/PL/CFなどの財務、および安全性/配当性/財務健全性を分析。同社の強みとリスクについて言及した。
中央大学(真鍋 景人氏・福富 雄真氏)は、フロイント産業についてプレゼン。同社の事業構造と特色、強みに触れつつ、国内外の業界動向/市場ニーズを分析。その上で、財務/業務/株価の分析結果と共に今後のリスクについて考察した。
早稲田大学 A班は、日本取引所グループについてプレゼン。クイズ形式による同社の取組みや写真を交えて同社の歴史を紹介。事業構造/財務/中期事業計画/株価について分析。今後の予想株価の計算と共にリスク分析を交え結論を述べた。
早稲田大学 Bチームは、レオパレス21についてプレゼン。同社を取り巻く業界と外的要因を挙げ、同社の強みと事業/業績/財務、株価を分析。その上で、リスクへの対処/CSR格付け、環境・社会性、人材活用/企業統治について強調した。
明治大学投資サークルBreakouts!Aチームは、ショーケース・ティービーについてプレゼン。同社の概要と企業理念、各事業と市場規模動向と共に株価を分析。また、業績/財務/リスク、強みを生かした成長産業への新規事業を披露した。
武蔵大学投資サークル Free Fallは、ファーストコーポレーションについてプレゼン。同社の概要と特徴、受注方式を掘り下げ、業績の推移と業界動向について解説。競合他社との比較、理論株価、目標株価、リスクと強みを強調した。
専修大学は、フロイント産業についてプレゼン。同社の概要と商品(実物で紹介)、創業時からの成長、財務/業績/株価およびROAの推移、そして、同社の強みを紹介。社長へのインタビュー内容と共に、将来性について私見を披露した。
全プレゼンが終わり審査員は審査室へ。その間、会場では緊張から解放された雰囲気の中、来場者プレゼント抽選会が行われた。
そして、表彰式へ。優勝は「中央大学(真鍋 景人氏・福富 雄真氏)」、準優勝は「明治大学 投資サークル Breakouts!Aチーム」、第3位は「武蔵大学 投資サークル Free Fall」が受賞。各チーム満面の笑顔でプレゼン対象企業の担当者と登壇、喜びを分かち合った。
審査員を代表し、株式評論家 櫻井 英明氏、複眼経済観測所 渡部 清二氏が講評。
櫻井氏は、僅差であった結果を踏まえ、プレゼンはデスクワークと違い、変化が求められるもの、最初に引き付けることが重要だとした。その上で、IRの目的は様々あるが、オブリゲーションの無い自然な声、あたり前の声を出せることが学生の特権であるとし、その声をトップに届けること、そして、時代の流れを読みつつ、IRのプレゼンをつくっているかが重要だとし、30年後の世界、自分たちが主役になった時の視点で見ると良いとアドバイス。今回の取り組みをぜひ今後の糧にしてほしいと語った。
渡部氏は、プレゼンまでの経緯を振り返り、非常に難しい対象企業にも関わらず、うまくプレゼンテーションにまとめ、予想以上の結果であったと評価。また、質疑応答の中で垣間見た、学生の若い発想、何も恐れずに素直に感じる様子に感銘を受けたことを明かし、ぜひその気持ちを忘れないようにしてほしいとしつつ、「株価を見るということは企業を見ること」とし、その企業を愛してほしいと語った。
そして、最後に、閉会の挨拶は、学生投資連合(USIC)副代表 真鍋 景人氏が登壇。今回は、企業のIRを大学生が担当するというはじめての試みとなり、中にはプレッシャーや悩みなどの感情、準備も大変だったかもしれないが、このような経験は普通の学生生活の中ではなかなかできないものだとし、「成長につながる何かがあった」、「新鮮で楽しいものだった」と振り返り、全ての関係者と参加者へのお礼の言葉と共に、今回の取り組みが今後の礎となることを心より願っていると締め括った。
全てのプログラムが終了し、参加した学生や関係者が集い記念撮影。企業訪問などさまざまな活動を通じてまとめたプレゼンテーションの発表とコンテストを無事に終え、達成感と安堵、笑顔が溢れる。
人々のライフスタイルと社会環境が大きく変化する中、企業の中核事業や商品/サービスの再定義、スピード感のある経営、そして、これからの時代に合った新しい価値創造が求められている。今回、まだ社会に出ていない大学生の視点から、企業の素顔を読み解き、第三者視点で分析/評価し、企業の担当者の立場としてIRを行うという取り組みを通じて参加した大学生と企業の担当者の双方に多くの気づきと発見があり刺激を受けたという。これからのマーケットの主役でもある学生と企業の対話(エンゲージメント)。今後の学生投資連合(USIC)の取り組みに注目したい。
≪当日のダイジェストムービー≫
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(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )