地域活性化の手段として注目を浴びるワーケーション。山形県は今般、新幹線初のリゾート列車として福島～山形県内を走る｢とれいゆ つばさ｣を特別運行させ、東京～新庄間を走るYWS（やまがたワーケーション新幹線）を企画。87名の参加者があった、その記念すべき運行日の様子を撮影写真を中心にお届けする。
集合場所の上野駅（途中、大宮駅でも乗車可）に集まった参加者は手続きを終えた後、新幹線ホームへ移動。普段は福島発で、今回は上野発の特別運行となり、2022年3月で運行を終了する予定のリゾート列車「とれいゆ つばさ」がホームへ入線してくると、多くの人がスマホやカメラでその模様を撮影した。
車内はワーケーション仕様のお座敷列車といった趣で、大きなカバ材のテーブルと畳座席でゆったりと寛ぐことも可能だ。ポケットWIFIやモバイルバッテリーの貸し出しもあり、昼食までの時間を多くの人がノートパソコンに向かって過ごす。今回の一泊コースには山形駅近くのホテル泊のほか、蔵王温泉泊、天童温泉泊のコースも用意され、昼食も「とれいゆ つばさ」限定弁当が提供されるなど、楽しみながらワーケーションを体験できるよう、様々なサービスが提供されている。
発車してしばらく後、オンラインセミナーが開始。ジョージ・ヤマガタ氏は、自身も学生時代は青春18きっぷで全国を旅した「乗り鉄」であったことを冒頭に共有しつつ、山形を訪れる人がYWSに乗った瞬間からオフィスと同じように仕事ができ、足湯やバーカウンターでリフレッシュして、さらに車内での出会いが「奇跡の出会い」に変わってイノベーションが生み出されることへのお手伝いができればと挨拶。ウイズコロナを乗り越え、ポストコロナを展望するYWSをぜひ楽しんでもらえればと述べてセミナーがスタートした。
プログラムの最初は、ジャズピアニストでYouTuberのジェイコブ・コーラーさんのオープニングを飾るピアノ演奏。車内でPCに向かっていた参加者も、しばし手を休めてピアノの軽やかな音色に聞き入った。
続いてVTRによる「とれいゆ つばさ」紹介では、参加者が利用しているお座敷指定席のほか、車窓を眺めながらくつろげる足湯（くつろぎの間）、山形県産の地酒やワイン、ジュース等を取り揃えた「バーカウンター」など、新幹線車両を改造した観光列車としての魅力が余すところなく伝えられた。
トークには大坂 直樹さん（東洋経済 記者）、佐藤 信博さん（イカロス出版 新幹線EX編集部）、櫛引 素夫さん（青森大学 社会学部社会学科教授（博士））がゲストとして出演し、進行を小林 剛也さん（山形県 みらい企画創造部長）が務めた。
YWSに乗車した感想、鉄道を使った移動の楽しさ、鉄道の魅力や価値、新幹線の空間、地域にとっての新幹線の価値、YWSの可能性などについて、それぞれの考えや意見を述べ合った。
走行中の新幹線が山形県内に入り、途中停車した米沢駅や山形駅では横断幕を手にした駅員が出迎えたほか、終点の新庄駅でも大勢の駅・行政関係者の歓迎を受けた。また、参加者が到着後のホームで地元のTV局のインタビュー取材を受け、夕方のニュース番組でその模様が放映された。
山形駅エリア一泊コースの参加者は、霞城セントラル2階にグランドオープンした創業支援センター「スタートアップステーション・ジョージ山形」を見学。ここでもジェイコブ・コーラーさんのピアノ演奏が披露され、施設に居合わせた利用者も含めて、しばしの間、クリスマスソングの演奏に耳を傾けた。
テレワークの普及により働き方が多様化した現在、ワークとバケーションを組み合わせたワーケーションを、新たな旅と働き方のスタイルと位置づけ、より多くの旅行機会の創出と旅行者の来県を図る山形県の企画と取組みに今後も注目したい。
