技術の変化が早いIoTシステムの領域における、新しい産学連携の形として、企業側がキャンパス内に拠点を設け、大学内の技術シーズや人材を発掘、活用する取り組みを開始します。“IOT INNOVATION Base”と名付けた拠点では、企業によって持ち込まれる実社会の課題に対して、大学生、大学院生の研究成果を活用できないか、共同研究につながらないか、を検討します。同時に、学生がキャンパス内で企業インターンシップに参加する機会を生み出し、研究と実業経験(OJT:On the Job Training)の両立にも寄与します。これまでの「研究」を介した産学連携と異なり、スピードを求められるIoTシステム領域ならでは形態として、実社会の「事業」を介した産学連携とも言えます。
■特徴
近年IoTの国内市場は増加傾向にあり、あらゆる業種においてIoTの導入が進んでいます。奇しくも、コロナ禍により、遠隔制御、無人運転などに関する、技術開発の必要性は益々高まっています。そのような状況下において産学連携による大学・企業間の共同研究スキームが数多く生まれていますが、これまでは「研究」を介した連携が一般的であり、研究成果が生まれたあとに、企業が事業化を担ってきました。しかしながら、IoTシステム(センサやモバイルアプリケーション)に関しては、大学で開発されているシステムの中に、一般企業で開発されているシステムに近いものが多く、大学発ベンチャーなども多く生まれています。そこで、事業ファーストで、実社会の問題を大学に持ち込み、スキルのある学生や将来スタートアップを考えている学生たちと開発を進めることができれば、学生たちにとってもキャンパス内で研究と実業経験(OJT:On the Job Training)の両立ができるのではないかと考えました。企業側は、その活動の中で、「研究」すべき課題を抽出し、具体的な共同研究につなげられると考えています。また、大学内に飛び込むことで、研究者との接点が増え、大学内に眠る技術シーズとの出会いも増えると期待しています。コロナ禍により、必ずしも会社で勤務する必要性がなくなった今、新しい形態として、大学内で働くということは、社会人博士を検討している社員にとっても有益であると考えられます。