2016年5月13日(金)、自由民主党 IT戦略特命委員会 資金決済に関する小委員会は、千代田区永田町にある自由民主党本部の会議室において、日本におけるフィンテックベンチャーの現状と課題や「FinTechを巡る戦略的対応(第1弾)」に向けた取組みおよび提言について共有し、国会議員と関係団体との要望・意見交換を行うべく「フィンテック推進議員連盟合同会議」を開催した。
衆議院議員 福田 峰之氏(IT戦略特命委員会 資金決済小委員会 委員長)による開会の言葉に続き、衆議院議員 根本 匠氏(FinTech推進議員連盟 最高顧問)より、金融調査会でまとめたFinTechを巡る戦略的対応を日本の成長戦略に盛り込むべく、具体的な政府への政策へと動いていくようしっかり議論し、前へ前へと進めたいと挨拶。
また、衆議院議員 平井 卓也氏(IT戦略特命委員長 FinTech推進議員連盟 会長)は、フィンテックを考える時に、デジタル化、グローバル化、テクノロジーの進歩などがある中、サービス業そのものがどのように進化していくかが大きなテーマである語り、GDPを現在の500兆円から2020年には600兆円へと100兆円増やしていくにあたり、現在、広義なサービス業がGDP全体の75%を占めているのに対し、金融だけを切り出すと5%にも満たないことを指摘。その上で、フィンテックは、全ての産業のベースになる部分と、サービス業としての一つの位置づけとしての部分と両方あるとし、IT絡みで40兆円増やそうという中でフィンテック関連でどこまでやれるか、新しいサービス業や産業を創出していくべく、時間もなく世の中の変化のスピードが速まる中、勉強ばかりではなく、世の中を前に進められるようにやれることからやるフェーズに入ったとした。かつてのインターネットが現れる前からあるいろいろな金融業法など、今の時代とマッチングしない部分については、その障害をできるだけ早く取り除いていくよう協力をお願いしたいとした。
続いて、トーマツベンチャーサポート アドバイザリーサービス事業部(FinTech担当) 大平 貴久氏より、「金融ビジネスの勢力図が変わる」と題して、サポートする側から見たフィンテックベンチャーを取り巻く課題や、他の業界と比べ優れている点、今後の展開など私見を交えながら解説。
フィンテックの本質は、金融機関のオープンイノベーションであるとし、これまでの内製中心から外の技術・人材の取込みやベンチャーとの協業が進みやすくなったとする一方、単なる情報交換ではなく、金融機関側の目的や求めることを明確にし、限られたベンチャーのリソースを有効に活用できるよう、支援する側がどのように巻き取り、確度の高い提携につなげていけるかが重要になるとした。また、金融機関系列の直接投資の増加に伴うバリュエーションの高騰などによりハードルが高まっている独立系VCの存在とノウハウのうまい活用方法の結び付けなど投資環境における現状と課題に触れたほか、規制業界特有の話としてコンプライアンス対応や起業前の法対応相談が増えているとした。
そして、今後の展開について、フィンテックを取り巻く環境は、他の業界と比べて様々な企業・団体・メディアなどの存在もあり支援環境は充実しているとし、先行して進むクラウド会計や家計簿領域、足元で注目が集まるロボアドバイザーや決済領域以外に、銀行の3大業務(為替、貸付、預金)関連の分野において、新しいビジネスを生み出すためのバリューチェーンの設計と組み立てが重要になっていくだろうと語った。
続いて、衆議院議員 根本 匠氏(FinTech推進議員連盟 最高顧問)より、「FinTechを巡る戦略的対応(第1弾)」について、その概要とポイントなどについて説明が行われた。
◎日本発 FinTech の創出・成長
「FinTech エコシステム」の構築、オープン・イノベーション(金融機関と IT 企業等との協働)の推進、「FinTech 国際ネットワーク」の形成、
イノベーションを促す環境整備の推進
◎金融機関等の戦略的対応
金融機関における的確な経営戦略の構築、地方創生や中小企業の資金調達円滑化等の視点
◎金融インフラの改革
決済インフラの改革、クレジットカード決済の高度化・利活用、「ロー・バリュー送金」(安価な国際送金)の実現、ブロックチェーン技術、
市場分野での対応、クラウド・ファンディング
◎利用者保護及びシステムの安全性等への対応
情報セキュリティの確保、利用者保護や金融システムの安定性等の観点、犯罪利用の防止、マネロン・テロ資金対策、
グローバルな議論におけるイニシアティブの発揮
フィンテックを取り巻く専門業界団体の設立や、さまざまな実証実験などの実施も広がるなど、新しいビジネスの創出や革新的なテクノロジーの領域に強みを持つ大企業やベンチャー、専門家による具体的なアクションが動き始めている。産学官横断による環境の整備とコンセンサスの形成が進む中、金融業界やサービス産業における英知・信念・情熱が一致団結し、明日の日本の持続的な成長に向けたフィンテックの政策対応につながる動きが、更に加速していくことに期待したい。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )