2017年6月12日(月)、GA technologies(以下、同社)は、東京・広尾の恵比寿プライムスクエアで、「加速する国内外不動産テック動向とカジュアル不動産投資アプリRenosy(投資版)機能追加の記者説明会」を開いた。
GA technologiesは2013年の設立で、中古不動産のプラットフォームを運営している。2017年3月からチャットで気軽に相談できる不動産投資アプリRenosy(リノシー、投資版)の提供を開始。ユーザーの不動産投資に関する相談に応じる中で、購入計画や投資エリアに関する疑問や不動産営業への不安が心理的ハードルであることが分かったという。
このため、投資初心者の疑問や不安を払しょくし、不動産投資を始めやすい環境を整えるために今回、「ロボアド診断」「コンシェルジュ選択機能」などの新機能を実装した。
説明会では同社 経営企画本部 広報の清水 絢子氏が司会を務め、まず会の進行内容や登壇者を紹介した。
次いでGA technologies 代表取締役社長の樋口 龍氏が登壇。会社概要として、当年度売上は100億円を達成できる見通しであることなどを説明した後、日本の不動産マーケットの現状について、「①消費者と業者間の情報の非対称性 」、「②IT化の遅れ」、「 ③中古不動産流通の未熟さ」、「 ④営業手法・人材の未熟さ」の4点を問題点として指摘した。
樋口氏は「マーケットは60兆円と大きいが、当業界はITのみでは解決できない。法律の問題もあり、売買では最後はセールスマンに会う必要がある。このため、不動産業界にはリアルが分かる人材と、IT人材の両方が必要」とした。
そのうえで樋口氏は「当社は不動産テック企業としてAIを活用して、この4つの問題点を解決していきたい」と経営方針を述べた。
また、世界の不動産テックの動向についても解説。日米の不動産価値の経年変化の違いを示し、「日本では戦後、政府により新築重視の政策が推進されてきたが、今後は中古不動産市場の活性化に取り組んでいく」と語った。
次に不動産マーケットにおけるAIおよびデータ活用について、同社 AI戦略室長の小林 賢一郎氏が解説した。AI戦略室は今年4月にスタート。小林室長は東芝、ソニーの研究所で自然言語処理、AIの研究に従事してきた経歴を持つ。
続いて、データサイエンティスト協会事務局長を務める同社 AI戦略室 ゼネラルマネージャー 橋本 武彦氏は、GA technologies が目指す機械学習を用いたデータ解析を中心としたビジネスの効率化として、「①データ生成のエコシステムの構築 」、「②データドリブンな意思決定の定着」について解説した。
橋本氏は「不動産は超高額商品のため、データ量が極めて少なく、かつ、同一の物件が存在しない。また、内見などリアルが介在するため、行動のデータが残りにくい上に、電話、ファックスなどアナログ主体でデータが残りにくいため、どのようにデータを生成、蓄積していくかがポイントとなる」と述べた。
この後、再び樋口氏が登壇し、今回発表した不動産投資アプリRenosy(投資版)に実装した「ロボアド診断」、「コンシェルジュ選択」機能について下記の4つを詳しく解説した。
1、ロボアドバイザー機能:年収や家族構成、リスク許容度などユーザーが質問に答えると、ロボアドバイザーがユーザーに適した不動産投資プランをアプリ上で提案する。従来、問題視されてきた、不動産業者による不透明な物件提案への不安を解消している。
2、コンシェルジュ(営業担当者)の選択機能:営業担当者の実績や、得意分野などからユーザーがコンシェルジュを選択できる。「優秀なコンシェルジュに相談したい」などユーザーが主体的に選択できる。
3、新着物件の紹介:独自の物件データベースから、AIとコンシェルジュが選択した新着物件情報をユーザーに提供する。
4、不動産投資マガジン:不動産投資についての最新情報や、役立つ情報、安定的な運用方法などをマガジン形式で提供する。
質疑応答を経て、発表会が終了した後はフォトセッションと名刺交換が行われた。
現在、金融とITの相乗、フィンテックが話題となっているが、次は不動産とITの相乗であるリーテック(不動産テック)が広がろうとしている。この分野は既に米国では投資額が急増している。日本ではGA technologies は先端を行くベンチャー企業。上場も視野に入り、今後の発展が期待される。
(記事:丸山 隆平 / 取材、撮影、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )