IFA(Independent Financial Adviser)とは、金融商品仲介業者に所属する独立系フィナンシャル・アドバイザーを指し、個人投資家に資産の運用についてのアドバイスを専門に提供、 あらゆる金融商品の中から最も適切な商品や運用方法などを中立的な立場で投資家に提案してくれる専門家を指す。同社では半年毎に契約アドバイザーを招いてカンファレンスを開催しており、今回で16回目の開催を迎えた。
世界貿易センタービルディングの3階にあるWTCコンファレンスセンターに集った全国のアドバイザー。冒頭に同社の全社レベルの取組が紹介された後、IFA事業に関する実績や方針などが紹介される。
【ビデオメッセージ】楽天証券 代表取締役社長 楠 雄治氏「顧客本位の体制の確立、および積立NISAによる資産形成層という新しい投資家増の取り込みを目指す」
過去の開催では毎回開演の挨拶に立っていた楠氏が海外出張のため、事前に収録したビデオメッセージがスクリーンに映し出された。その中で楠氏は、金融庁が目指す顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)について、顧客に根差した顧客本位のビジネスの在り方を自主的に考えて発表することが求められているとして、ステートメント公表の協力を呼びかけた。
また、2018年から開始予定の積立NISAについても触れ、資産運用層だけでなく、資産形成層という新しい投資家層を取り込んで、若い層を対象に長くビジネスを続けていくよう対応していくので、ぜひ一緒に新しい流れを捉えながら今後のビジネスを進めていきたいと語ってメッセージを締めくくった。
【決算概況】楽天証券 IFA事業部長 大嶋 広康氏「IFA事業の預り資産は前年度比26.4%増の2,430億円まで拡大」
このあと楠氏に代わって大嶋氏が2017年3月期 決算概況を説明。2017年3月期下半期を振り返り、業績や全社レベルでの取り組みなどを紹介した。IFA事業については、顧客数が前年度比24.9%増、預り資産は26.4%増の2,430億円まで拡大するなど順調に推移したというが、決算の概況について詳しくは決算説明会レポートをご覧いただきたい。
【講演】楽天証券 常務執行役員兼IT本部長 平山 忍氏「楽天IFAシステム計画レビュー」、 内部管理統括責任者 今井 隆和氏「最新のコンプライアンス・トピック」
平山氏(写真左)は、2016年下半期のIFAシステムの障害報告を踏まえて、その対応等について解説。クラウドやビッグデータ、AI等を活用したFinTechへの取組についてもその見通しを紹介した。また、今井氏(同右)は、同社と金融商品仲介業者との間で行われる訪問検査や各種報告への対応や事例などについて詳しく解説し、コンプライアンス体制のより一層の強化を訴えかけた。
【講演】大和総研 執行役員 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸氏「世界経済の潮流と世界経済の行方」
熊谷氏は世界経済を読み説く切り口としてトランプ政権成立をどう捉えるか、Brexitが世界経済に与える影響、中国における「バブル崩壊」について解説し、日本経済のメインシナリオについては穏やかな景気回復と想定した。その上でアベノミクスの課題として社会保障制度の抜本的な改革や三本の矢である成長戦略の強化とし、成長戦略の最大のカギは労働市場改革と位置づけた。
また、日本経済のリスク要因としては、1.トランプ政権の行方、2.中国経済の下振れ、3.米国の「出口戦略」に伴う新興国市場の動揺、4.地政学的リスクを背景とする「リスクオフ(円高・株安)」の行方、5.欧州経済の悪化(「Brexit」の悪影響等)だとし、最後に金融市場の展望として世界的な「グレート・ローテーション(株高・債券安)の行方について解説した。
【懇親会】 地上152mから眺める美しい眺望と夜景
講演終了後は38階のパーティー会場に移動して懇親会が行われ、平山氏の乾杯の挨拶により歓談がスタート。参加者は食事や飲み物を楽しみながら歓談の時間を過ごす。
【IFA アワード表彰 受賞者発表】
乾杯の挨拶のあと、2016年下半期の表彰式が行われた。「ベスト・パーフォーマンス賞(法人部門)」、「ベスト・アセットクローズ賞(法人部門)、「ベスト・パーフォーマンス賞(個人部門)」、「ベスト・コンプライアンス賞」の授賞者が壇上に上がって表彰&記念写真に収まり、会場から大きな拍手を浴びた。
閉会間際、全員が集まって集合写真に収まった。
優れたツールや手数料の安さには概ね満足しているネット証券の顧客の中には、自分の判断では運用がうまくいかず、気軽に相談できる相手もいない課題を抱える投資家も多い。こうしたなか、中立的な立場から、さまざまな金融商品の知識を活用して資産運用のアドバイスをすることで、投資家をサポートするIFAビジネスの今後の拡大ぶりが引き続き注目されそうだ。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : 柴田 潔 &GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )