2015年2月26日(木)、電通国際情報サービス(ISID)が開催した「金融イノベーション ビジネス カンファレンス FIBC2015(Financial Innovation Business Conference)」(取材レポート)のFinPitch登壇サービス特別枠に登壇したマネックス証券 執行役員/マネックス・ラボ 室長 飯田 敦氏。
飯田氏によると、マネックス証券という大企業におけるFinTechチャレンジの背景として、PFM(Personal Financial Management)やロボアドバイザーという分野で”オンライン投資アドバイス”を作りたい、”未来の金融”を目指して、マネックスベンチャーズによるFinTceh支援と共に、金融機関の中からもチャレンジしたいという想いからanswerプロジェクトが発足したと解説。
NISA(少額投資非課税制度)をはじめとする非課税枠の拡大によって投資環境が整ってきている中、「どのように投資していいかわからない」、「何を買えばいいのかわからない」といった声に応え、株式に比べて圧倒的に低いネット取引比率(10%未満)を向上すべく、5,400銘柄を超える多くの投資信託の中から自分の目標に合った銘柄選びをサポートできるアプリanswerの提供を開始したという。
answerの操作は、保有資産の登録、目標の設定(10年後の目標と予測)、銘柄の選択の3つのステップでシンプルな操作性を実現、全ての投資信託の目論見書にある運用方針や投資対象比率の分析データなどをもとに、資産配分比率の見直しを通じてanswerが独自に算出するスコアの改善を図ることで持続的に資産運用の維持管理を支援する。
今後は、先ずB2C領域での実績を高め、統計的なデータの公開を通じて投資家に役立つ情報提供のほか、将来は、確定拠出年金導入企業の担当者向け教育、フィナンシャルプランナーや銀行の営業員向けのサポートツールとしてB2B領域でも役立っていきたいとした。
FIBC2015の開催に先立ち、2015年2月17日(火)、グッドウェイは飯田氏を訪ね、「answer」開発者インタビューを行った。
飯田氏は、answerの開発にあたり工夫した点や苦労した点として、「個人情報の取扱いや管理をはじめとするセキュリティーおよびコンプライアンス対応の大変さ」、「銘柄コードや銘柄名や長さのバラつきによる自動取り込みの大変さ」、「answerのサービス説明やプロモーションにおける表現の制約」、「各投資信託の資産配分比率や資産クラスの相関関係の元となるデータのメインテナンス」などを挙げた。
クライアント側で個人情報を処理しサーバ側で個人情報を保持しない仕組みの実現にあたっては特許を出願しているほか、answerについては勧誘や広告にあたらない整理を進め、目標に対する情報提供サービスと位置付け、市場均衡をスタンスとしたブラック・リッターマンモデルによるリスクと相関に基づく期待リターンなどからスコアを算出、「分散投資」による中長期的な運用を基本とした機能および情報の提供を行っている。
資産クラス配分は、国内株、国内債、国内REIT、先進国株、先進国債、新興国株、新興国債、海外REIT、ハイ・イールド債、コモディティと10区分とし、各資産クラスのリスクと相関係数は過去の値動きから独自に定め、値は毎年定期的に見直すことで外部環境の変化をスコアにも反映していくことで中長期的な資産運用の管理に必要なサービスを実現している。
answerのプロジェクトチーム(設計、開発、デザイン、運用)はおよそ10名。全員が100%で取組んでいるわけではないが、リソースとのバランスの中、投資家が銘柄を選ぶ際のさまざまな要素(目標、分配金、トータルリターンなど)からいかに選びやすくするか、スマートフォン上でのユーザーインタフェースのみならず、目に見えない裏側の工夫など、これからもチャレンジしていきたいと語った。
マネックス証券創業15周年を記念して、大阪会場(2015年1月24日)、東京会場(2015年2月21日)で開催された「お客様感謝Day2015」の会場でも、訪れた投資家にanswerを紹介。
「伝えたいことは知恵、個人投資家の投資成績が良くなる環境づくりを目指したい」(マネックス証券 代表取締役社長CEO 松本 大氏)と語った。
(取材、撮影、記事、制作、編集:藤野 宙志 @株式会社グッドウェイ )