2015年5月22日(金)、一般社団法人日本CFA協会は、東京金融ビレッジ(大手町フィナンシャルシティ サウスタワー5階)おいて、日本CFA協会特別シンポジウム『「金融の将来」イニシアチブ~企業価値向上と持続的成長に向けて』(後援:一般社団法人日本IR協議会)を開催した。会場には、多くの上場企業、年金基金、資産運用会社および研究者が訪れた。
日本CFA協会は、グローバルな証券アナリスト資格CFAの資格保有者の自主運営団体。CFA協会(本部:米国ヴァージニア州シャーロッツビル) は、有識者諮問会議のアドバイスを受けながら、社会に貢献できる金融業界の形成を目指して、「金融の将来プロジェクト(the Future of Finance Project)」を推進しているという。
冒頭に、Laurel Teo 氏(CFA, Director, Society Advocacy Engagement, Asia-Pacific)より開催の挨拶。参加者へのお礼の言葉と共に、今回のシンポジウム開催の経緯について説明。多様な人材と地域から会員12万9,000名の投資のプロが共通で持っている”顧客第一主義”の強化月間(Putting Investors First Month)について触れ、一見、シンプルで単純なように聞こえるこの”顧客第一主義”の実践の難しさを指摘。その上で、CFA協会の全会員に対して行われたアンケート(Global MArket Sentiment Survey 2015)の中で、健全な市場形成に最も重要な改善項目についての結果から、米国(18%)、香港(40%)、インド(35%)などと比べて日本の際だったコーポレートガバナンスに対する意識の高さ(56%)について紹介。安倍政権の成長戦略における3本の矢をはじめとする活発な取り組みが行われている中、同協会としても、海外の投資家の期待と日本企業の間に立ち、ベストプラクティスの活用をはじめ重要かつ最適な役割を果たしていきたいとした。
続いて、基調講演「コーポレートガバナンス・コードについて」(金融庁 総務企画局企業開示課長 油布 志行 氏)が行われた。
満席の会場の外にはサテライト会場が用意され、盛況なシンポジウムとなった。シンポジウムのテーマへの関心の高さがうかがわれる。
続いて、講演「コーポレートガバナンス・コードの意義と実務上の留意点」(東京証券取引所 上場部課長 渡邉 浩司 氏)が行われた。
そして、休憩の後、パネルディスカッション「建設的な対話により企業価値の向上を目指す」では、パネリストとして、日本IR協議会 事務局長・首席研究員 佐藤 淑子 氏、エーザイ 執行役 兼 早稲田大学大学院講師 柳 良平氏、ユナイテッドアローズ IR室長 丹 智司 氏、いちごアセットマネジメント 代表取締役社長 コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議メンバー スコット キャロン氏、ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン 代表取締役 コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議メンバー 小口 俊朗 氏が登壇、日本CFA協会 理事 原田 武嗣 氏がモデレーターを務めた。なお、各パネルストの各講演は以下の通り。
● 「建設的な対話による企業価値向上~IRの視点から~」
(日本IR協議会 事務局長・首席研究員 佐藤 淑子 氏)
● 「コーポレートガバナンス・コードに係る投資家サーベイと資本生産性の論点」
(エーザイ 執行役 兼 早稲田大学大学院講師 柳 良平氏)
● 「株式会社ユナイテッドアローズ株主価値向上に向けた取り組み」
(ユナイテッドアローズ IR室長 丹 智司 氏)
● 「建設的な対話により企業価値の向上を目指す」
(いちごアセットマネジメント 代表取締役社長 スコット キャロン氏)
● 「コーポレートガバナンス・コードについて~スチュワードシップ・コードとの「車の両輪」に関する考察」
(ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン 代表取締役 小口 俊朗 氏)
(取材、撮影、記事、編集・制作:藤野 宙志 @株式会社グッドウェイ )