2014年5月9日(金)、日本金融監査協会(IFRA)は、赤坂Bizタワー30階 トムソンロイター・セミナールームにおいて、銀行・証券・保険会社などの役員・監査役・内部監査部門長を対象に、「リスクガバナンス研究会講演」(会員限定、無料、昼食付き)を開催した。
冒頭に、金融庁 監督局総務課 監督企画室長 兼 健全性基準室長 石村 幸三 氏が「国際金融規制・監督の将来展望 -リスクガバナンスの強化に向けて」と題して講演。FSB(金融安定理事会)、BCBS(バーゼル銀行監督委員会)およびOECD(経済協力開発機構)におけるリスクガバナンスの強化に向けた国際的議論の潮流を紹介した。また、そうした中で、わが国では、会社法改正の議論が進み、東証上場規則改正が行われたことを指摘。金融庁としては、こうした動きを踏まえ、G-sifis(国際金融システム上重要な金融機関)に対しては委員会設置会社への移行検討を、また、地域銀行に対しては社外取締役設置を促すべく、監督指針の改定案を公表。金融機関のリスクガバナンス強化に向けて、建設的な議論を行うために、引き続き、広くパブリックコメントを受け付けているとした。
その後、ランチをはさみ、有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センター長 大山 剛 氏による「リスクアペタイト・フレームワーク - リスク文化、ストレステストとの関係整理」では、リスクアペタイト・フレームワーク構築の難しさについて解説。経営戦略をリスクアペタイトとしてステートメント化したうえで、ストレステストや各種リスクリミットとの関係を整理することの重要性を指摘した。また、リスク文化は、リスクアペタイト・フレームワークの構築・運用の中で醸成されるものであり、その定着には時間がかかると解説した。
一橋大学 国際・公共政策大学院教授 有吉 章 氏による講演「日本経済と国際金融情勢」では、同氏が主宰しているジャパン・リスク・フォーラムで開発した「リスクタイフーン・マップ」を使ってアベノミクスの現状評価と先行き見通しについて解説した。日本経済のテールリスクとして、マクロ経済リスク、自然災害リスク、地政学的リスクの数々が紹介された。
ランチ、コーヒーブレークの時間中は、講師を交えて参加者同士が意見・情報交換を行った。日本金融監査協会(IFRA)では、今後も役員・監査役・内部監査部門長を招き、年に3~4回、リスクガバナンス研究会を開催し、ネットワーキングの場として提供していくという。
(取材、撮影、記事、編集・制作: 藤野 宙志、会場提供:トムソン・ロイター・マーケッツ)
日本金融監査協会(IFRA)は、金融の分野で、リスク管理、監査等に関わる高度な人材の育成を支援し、リスク管理と監査の発展に貢献することを目指して設立された非営利組織(設立と活動の目的)。経営マネジメント、企画部門、リスク管理部門、監査部門の担当者向けに、各分野の実務家、専門家を招き、リスクマネジメントと監査のポイントについて実費相当の廉価な価格(非営利の活動)で研修セミナーを企画・開催している。
2014年4月2日(水)、日本金融監査協会(IFRA)は、NTTデータ ・セミナールームにおいて、リスク管理部門、監査部門に配属されて経験の浅い役員、管理者、実務担当者、とくに、統計・確率リスク量化技法に初めて接する金融機関担当者を対象に、「リスク計量化入門-VaRとストレステスト、シナリオ分析-」を開催した。講師は、FFR+代表 碓井 茂樹 氏(日本銀行金融高度化センター)が務め、VaRなどリスク計量化技法に関する基礎知識を整理すともに、 VaRの限界を補完するために、どのようなストレステスト、シナリオ分析を実施すべきかなどリスクマネジメント実務上の留意点が解説された。
2014年4月8日(火)、同じくNTTデータ ・セミナールームにおいて、コンプライアンス部門、監査部門の担当または配属となって比較的経験の浅い役員、管理者、実務担当者を対象に、「金融機関役職員のためのコンプライアンス入門」を開催した。講師は、行方国際法律事務所 弁護士 行方 洋一 氏が務め、コンプライアンス態勢の確立や効果的な監査の遂行に向けたコツや着眼ポイントなど、金融検査指摘事例を交えながら解説された。
(取材、撮影、記事、編集・制作: 藤野 宙志 @株式会社グッドウェイ 、会場提供:NTTデータ)