要旨 本稿では、近年の大規模言語モデル(Large Language Models:LLM)の急速な発展を踏まえ、経済情勢判断における、LLMを用いたテキストデータ分析の応用可能性を検証した。LLMは、分析者が事前にコストをかけることなく利用可能なモデル・ツールが充実していること、言語の基本的な知識を習得済のため任意の話題・文章について分析可能であること、といった利点があり、海外の中央銀行によるものを含め経済分析における活用が広がりつつある。本稿では、具体例として内閣府「景気ウォッチャー調査」のコメントを対象に、LLMを用いて最近の賃金・物価動向に関する分析を試みた。分析結果からは、販売価格上昇の要因が、原材料費から人件費に徐々に移りつつあることが示唆された。