2014年3月6日、トムソン・ロイター・マーケッツは、ホテル・オークラ東京において、国内外の規制当局と金融サービス関係者による市場改革やコーポレート・ガバナンスについて徹底分析・議論すべく、「金融規制 ジャパン・サミット」を開催した。会場には、国内外から幅広い金融業界の関係者320名が来場したという。
冒頭に開会のご挨拶として、トムソン・ロイター・マーケッツ代表取締役社長 富田 秀夫 氏が登壇。世界から関心の高まる日本市場において、世界的な規制改革が本格的な実施フェーズに入ってきた中、金融の発展に貢献すべく、満を持して今回のサミット開催を迎えたとした。また、200名のスタッフにより日々規制をウォッチしているここ数年の地域別アラート数の増加ペースを紹介、加えて、アジアにおける課題のトップ10(Reputational Risk、Volcker、Corruption、Compaiance Culture、Privacy、AML、Cyber Security、Cross Border Misconduct、Innovation of New Products、Regulatory Arbitrage)を挙げ、金融機関におけるITによる効率化に向けてサービスの提供に取組んでいくとした。
続いて、金融庁 参事官(国際担当) 岡村 健司 氏によるオープニング基調講演「国際的な金融規制改革と日本の取組み」では、G20やバーゼルIII、秩序ある破綻処理枠組みの整備、シャドーバンキング、店頭デリバティブ規制改革などについて解説、2014年4月に設立するAFPAC(Asia Financial Partnership Center)の取組みをはじめ、金融規制分野のアジア経済圏での連携と活動支援の重要性について語った。
パネルディスカッション「日本における規制展望の全体的な概観」では、4名のパネリスト(日本証券クリアリング機構 企画部長兼OTCデリバティブ清算部長 平野 剛 氏、野村総合研究所 金融ITイノベーション研究部 部長 井上 哲也 氏、リコー経済社会研究所 主席研究員 神津 多可思 氏、PwC Japan あらた監査法人総合金融サービス推進本部パートナー 頼廣 圭祐 氏)を迎え、ロイター編集局 日本副編集局長 ウイリアム・マラード 氏がモデレーターを務めた。
続いて、プルデンシャル・レギュレーション・オーソリティ(イングランド銀行) 最高執行責任者 クリスチャン・ハント氏、PwC 規制アドバイザリー グローバル・リーダー兼米国PwC金融アドバイザリー部門統括責任者 ダン・ライアン 氏による基調講演のほか、パネルディスカッション「国際的な規制とクロスボーダーでの連携」では、5名のパネリスト(みずほ証券株式会社 執行役員 グローバルリスクマネジメントヘッド リスク管理グループ長 藤井 健司 氏、イングランド銀行 クリスチャン・ハント氏、野村證券 グロバール・マーケッツ企画部 ヴァイス・プレジデント 高尾 香 氏、インターナショナル・スワップス・アンド・デリバテイブス・アソシエーション・インク (ISDA) アジア・パシフィック リージョナル・ディレクター キース・ノイエス 氏、三菱UFJフィナンシャル・グループ リスク統括部 副部長 勝藤 史郎 氏)を迎え、PwC ダン・ライアン氏がモデレーターを務めた。
その後、ランチをはさみ、日本取引所グループ 東京証券取引所自主規制法人 理事長 佐藤 隆文 氏による基調講演、2つのパネルディスカッション「企業規模のリスク・マネージメント」(モルガン・スタンレーMUFG証券、データウォッチ、ヨーロッパ・バンキング・フェデレーション、チャイエックス・ジャパン、あらた監査法人、マークイットグループ日本)、「規制執行と監視」(あらた監査法人、長島・大野・常松法律事務所、三井住友銀行、トムソン・ロイター)など、各界を代表する第一線で活躍する登壇者らによる提言・議論が終日にわたり繰り広げられた。
トムソン・ロイター・マーケッツでは、今回の「金融規制 ジャパン・サミット」を通じて、貴重な洞察を得る機会として、立場を超えたネットワークの深化と講演者や来場者同士による有意義な時間を過ごすことにより、金融界全体の発展の一助となるべく取組んでいくという。規制当局から金融機関の現場まで、業界横断で日本の金融市場を強くしていく取組みに注目したい。
(取材、撮影、記事、編集・制作:藤野 宙志)