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2025/01/05

【FinGATE(平和不動産)】FinGATE Campus 第15回「フィンテックトレンド2025〜Balancing Innovation and Trust〜」を開催!

| by:サイト管理者

 2024年12月13日(金)、平和不動産は東京の金融街「日本橋兜町・茅場町」に位置する金融インキュベーション施設「FinGATE KAYABA」にて、 FinGATE Campus 第15回セミナー 「フィンテックトレンド2025〜Balancing Innovation and Trust〜」を開催した。

 「FinGATE Campus」は、2022年10月からスタートしたコミュニティで、起業家や金融スタートアップなどに関心のある方々を対象に、セミナーや交流会を定期的に実施している。15回目となる今回は“イノベーションと信頼の両立”をテーマに、金融法務からデータビジネス、生成AI、GovTech、さらにはDXや政策面まで、幅広いトピックをカバーする構成となった。不透明な時代において、2025年以降のフィンテック業界の展望を多角的に探る貴重な機会となり、参加者からも大きな反響があった。



 全体の司会進行は中井 沙織氏(三井住友銀行 / 三井住友フィナンシャルグループ  デジタル戦略部)が務め、オープニングの挨拶では中嶋 優人氏(平和不動産)が「FinGATE」の施設概要や、兜町・茅場町エリアを中心とした金融エコシステム創出の取り組みを紹介。この日は計6つの講演が行われた。



【講演1】「フィンテック領域において2025年以降に注目すべき法令改正の動向」
 関口 諒 氏(弁護士)

 関口氏はまず「近年、金融商品取引法や資金決済制度等の改正が続々と進み、ワーキンググループでの議論も活発化している」と述べ、令和6年の金融商品取引法を中心に、投資運用業者の参入促進、非上場株式の流通活性化の2本柱を分かりやすく解説した。
 「投資運用関係業務受託業」という新たな規制類型が創設されることで、運用会社がコンプライアンスやバックオフィス業務などを外部にまるごと委託しやすくなる点や、運用権限の全部外部委託が可能となる動向は「スタートアップ・新興ファンドにとってチャンスになる」と指摘した。非上場株式のセカンダリー取引を促進するための「非上場有価証券特例仲介等業者」やPTS業務の参入要件緩和により、スタートアップ株式の流通が増える可能性にも言及した。
 また、投資型クラウドファンディングの上限引き上げや勧誘制限緩和、資金決済WGでの「立替サービスの規制やクロスボーダー収納代行」など、新サービス誕生に影響の大きい論点を紹介した。法改正がビジネスチャンスをもたらす一方、適切なリスク管理も必要になるとして、来年度に向けた注視を呼びかけた。

【講演2】「データビジネスのこれから」
 辻中 仁士 氏(ナウキャスト 代表取締役CEO)

 辻中氏は「金融と非金融の境界が急速にあいまい化している」とし、金融機関がデータ供給者や広告メディアへと転換を図る事例を挙げた。また「生成AIによってテキストデータの扱いが格段に容易になり、金融運用だけでなく多分野へ拡大する」と指摘し、従来の数値系・構造化データ中心だったオルタナティブデータ市場が、今後は非構造データも含む“総合データビジネス”に発展する見通しを語った。
 ウォルマートやJPモルガンなど海外の先行事例を引用しながら、国内でも銀行・証券が自前のデータを活かした広告ビジネスや新規マッチング事業へ参入する流れが「2025年以降さらに加速するだろう」と展望した。ナウキャスト自身の取り組みとしては、不動産や行政文書などのテキスト解析にも着手し、マルチモーダルAIを活用してビジネス領域を拡充していると紹介した。

【講演3】「生成AI予測 for 2025」
 藤井 達人 氏(みずほフィナンシャルグループ デジタル企画部 執行役員 デジタル企画部 部長、
 日本ブロックチェーン協会 理事)

 藤井氏は「エージェンティックAI(Agentic AI)」「アプリ開発の自動化(Automated App Development)」「インテリジェントオートメーション(IA:Intelligent Automation)」などのキーワードを挙げながら、生成AIの進展が金融機関の業務やサービス提供モデルを大きく変革しうることを解説した。ハルシネーションやガバナンス上の課題への対処として「大規模言語モデル運用(LLMOps)」や「責任あるAI」の枠組みが重要になると語った。
 また、ブロックチェーンとAIが組み合わさる将来像として、“AIエージェントがスマートコントラクトを駆使してビジネスを進め、人間にタスクを振る”ような世界観にも言及した。2025年がそうした“大きな流れの着手点”になる可能性を示唆し、「金融機関は積極的に生成AI導入を検討しながら、リスク・コンプライアンス体制を強化すべきだ」とまとめた。



【講演4】「行政におけるfintechの可能性」
 畠本 智彰 氏(GovTech東京

 畠本氏は、GovTech東京の取り組みを紹介しつつ、行政サービスにfintech知見を取り入れる意義を詳細に説明した。「現状は都庁や区市町村が個別に収納代行を調達したり、入札後の支払いが遅れたりして、スタートアップには参入しづらい構造がある」と指摘し、「将来債券ファクタリング」によるキャッシュフロー改善や「収納代行の共通化」といった仕組みを例示して、大きな潜在ニーズが存在すると述べた。
 さらに「生成AIを都庁全体で導入するプラットフォーム構築」も検討しており、デジタルリテラシーが乏しい部署でも使いやすい仕組みづくりを目指すとのことだ。「スタートアップ人材を副業ベースで取り入れる枠もあるので、行政DXに興味があればぜひ一緒にやりましょう」と呼びかけた。

【講演5】「金融機関のDXからAX(AI Transformation)へ 態度変容2025」
 藤田 通紀 氏(デロイトトーマツコンサルティング 執行役員パートナー)

 藤田氏はDXの延長としてAIを“追加導入”するだけでなく、「AIを事業戦略のコアに据え、経営判断やリスク管理の根幹に取り込む」というAXの概念を提起した。 2025年に向けてマルチモーダルAIやエージェンティックAIが進化するなかで、金融機関は組織カルチャーやガバナンスモデルそのものを変える必要があると訴えた。
 具体的には「経営層やリーダー陣がAIの提案をどこまで信用し、最終責任をどう負うか」をはじめ、「リスク部門・コンプライアンス部門との協調」や「DX人材の教育だけではなくAI運用人材の拡充」が必須だとし、「DXを超えたフェーズに早めに備えることが競争力の差になる」と強調した。

【講演6】「国内外のフィンテック関連政策の動向」
 牛田 遼介 氏(金融庁 総合政策局フィンテック参事官室 チーフフィンテックオフィサー)

 最後に金融庁の牛田氏が登壇し、生成AIや暗号資産・ステーブルコイン、セキュリティトークン・クロスボーダー送金などを巡る日本および国際社会のルール形成を概観。「AIを過度に規制しすぎるとイノベーションを阻害するが、ハルシネーションなどリスクも無視できない」ため、金融庁としてもバランスを取りながらガイドラインやパブコメ検討を進める方針を示した。
 ステーブルコイン登録審査の状況や、FATF・FSBなど国際的なマネロン・金融安定の議論にも触れつつ、「2025年3月にJapan Fintech Weekを開催するので業界プレイヤーや投資家、当局が連携してエコシステムを盛り上げていきたい」と語った。



 すべての講演を終え、司会の中井 沙織氏より「2025年のフィンテックを考える上で、今日の講演がヒントになり、ネットワーキングでもぜひ意見交換してほしい」と締めくくり、本編はクロージングとなった。

 続いて来賓として、山口 省蔵氏(金融経営研究所 代表取締役 所長、金融IT協会 理事長)による挨拶に続き、金子 雅佳氏(セブン銀行 セブン・ラボ部)による乾杯の音頭のもと、ネットワーキングがスタートした。登壇者と参加者はセミナーで得た知識や今後のコラボレーションの可能性を語り合い、賑やかな交流の場が広がった。



 今後もFinGATE Campusでは、定期的なセミナー開催を予定しており、最新情報やイベントスケジュールはウェブサイトやSNSなどを通じて発信している。引き続き加速するフィンテックの潮流をキャッチアップしたい方は、ぜひチェックされたい。



13:11 | 写真:金融・IT業界向け




 

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