【大和総研】欧州経済見通し 米国の動向に一喜一憂
http://www.dir.co.jp/research/report/overseas/europe/20130719_007450.html
サマリー
◆ユーロ圏の景気回復の鍵を握る輸出はここ半年あまり伸び悩んでいる。しかしながら、景況感は緩やかながら改善を続けており、また、最大の輸出相手国である米国の景気が着実に回復していることから、2013年後半に米国向けの輸出が牽引役となって、ユーロ圏経済もごく緩やかながら回復局面に入ると見ている。
◆ただし、前回、前々回の景気回復局面で大きな存在感を示したエマージング諸国の需要の回復が今回は遅れている。ユーロ圏の景気回復の可否が米国1国の動向に左右されやすくなっているわけだが、そのことが最近1か月あまりのFRB(米連邦制度理事会)のコメントを巡って、世界の金融市場が大きく動揺した中で確認された。ユーロ圏の金利上昇や株価調整は相対的に小幅だったが、景気実体から乖離した金利上昇を抑えるため、ECB(欧州中央銀行)はこれまでの方針を転換し、「政策金利は当面、現行水準かそれ以下で推移する」と金融政策の見通しを公表した。
◆英国でようやく個人消費が主役の景気回復が動き始めた。2013年1-3月期の個人消費の伸びは当初発表の前期比+0.1%から同+0.5%に上方修正され、続く4-6月の小売売上高、自動車販売も好調である。リストラ一巡、金融緩和、物価安定などが貢献しているとみられる。6月の消費者物価は前年比+2.9%へ加速したが、景気回復はまだ始まったばかりである。カーニー新英中銀(BOE)総裁は8月にも金融政策手法の再検討に着手する見通しだが、複数の景気指標を目標値に定め、その動向を見極めながら金融政策を決定するという、最近のFRBの金融政策に近い手法を採用してくるのではないかと予想される。
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