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2017/05/02

【三井住友トラスト・アセットマネジメント】「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」 世界の中で存在感を増すアジア新興国に分散投資できる低コストのインデックスファンド~運用6年目に突入するネット証券専用ファンドの現状と今後【6】~(ネット証券4社共同プロジェクト)

| by:ウェブ管理者

 資産倍増プロジェクト専用ファンドの1本として誕生し、現在は三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMTインデックスシリーズ」のラインナップに加わっている「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」。成長期待の高いアジア地域の新興国株式に投資するインデックスファンドだ。

 このファンドの直近約10カ月半の運用状況と今後の見通しなどを、古賀幸治郎・三井住友トラスト・アセットマネジメント総合運用部株式運用グループシニアファンドマネジャーに聞いた。

■アジア新興国は全般に堅調で、10カ月半のリターンは+14.2%に

「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」は、アジア新興国の株価指数である「MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックス(円換算ベース)」に連動する投資成果を目指している。初めに、2016年3月末~2017年2月17日までの約10カ月半の運用状況を振り返ってもらった。

「一言で言うと、あまり目立った調整のない10カ月半でした。2016年6月末のブレグジット(英国の欧州離脱問題)の際には相場が不安定になりましたが、英国の金融緩和強化への期待からその後すぐに反発しました。その前年、つまり2015年3月~2016年2月にかけては資源価格の下落や中国の景気減速、米国の利上げ懸念などの影響でアジア新興国の株価は大きく下落しました。そこから株価が戻っていって、堅調に推移したと言えます」(古賀シニアファンドマネジャー、以下カギカッコ同)

 この10カ月半のパフォーマンスは+14.2%、2016年3月末時点で1万7003円だったファンドの基準価額は、1万9415円まで上昇した(2017年2月17日時点)。好調の要因としては、まず資源関連銘柄の復調が挙げられるという。

「中国では、過剰生産設備の影響で需給バランスが崩れ、石油や石炭、鉄鉱石といった資源価格が下落していましたが、過剰生産設備を削減して供給量を調整したことで価格が上昇に転じました。中国の不動産市場が持ち直したことに伴い、鉄鋼の需要そのものが増えてきたというのもあります。もちろん、2016年秋にOPEC(石油輸出国機構)の加盟国と非加盟国が減産に合意したことも影響しています」

 さらに、米国でトランプ新政権が今後大規模なインフラ投資を行なう可能性もあり、そうなれば資源の需要も拡大するため直近でも資源関連は上昇している。「MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックス」の業種別指数(価格指数、米ドルベース)ではエネルギーが+13.9%、素材が+17.0%と、資源関連の2業種はいずれもこの10カ月半で上昇しています」。

 また、資源関連以上の伸びを示したのが情報技術の分野だ。同じくアジア新興国の業種別指数で、情報技術は+22.5%と大きく上昇した。古賀シニアファンドマネジャーは、情報技術の好調に寄与した銘柄について次のように語る。

「中国では、ネット通販などを展開するアリババ、メッセージアプリや携帯ゲームのテンセントといったIT関連銘柄の株価が好調でした。どちらも増益が続いていて、かつ国内に競合企業がなく寡占化が進んでいることから、今後もまだ上昇余地はあると見ています。

 一方、ハードウェアでは韓国のサムスン電子が、半導体メモリのDRAMが堅調なことに加えて、自社株買いや増配など株主還元をかなり強化していることで株価が上昇しています。副会長が逮捕されるなど不安要素はありますが、予想PERが指数全体に比べて割安で今後も上昇が続く可能性はあるでしょう」

●基準価額の推移

 アジア新興国の国別指数(価格指数、米ドルベース)で見ると、この10カ月半では中国の伸び率が+15.2%と最も高く、全体をけん引していたことがわかる。次いで、スマートフォン関連銘柄を中心に上昇した台湾の+12.1%、韓国の+11.5%。その他、MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックスを構成する8カ国のほとんどが上昇した。わずかにマイナスとなったのが、マレーシアとフィリピンの2カ国だった。

「マレーシアは、政府系投資会社がデフォルトしたことで政府の信用力や格付けに影響を及ぼし、加えて現政権の汚職など政治的な要因がパフォーマンス低迷の一因となりました。フィリピンのほうは、南沙諸島を巡る中国との対立やドゥテルテ大統領の米国に対する過激な発言が、一時的に株価を押し下げました」



■1本でアジア新興8カ国の約540銘柄に分散投資できるのが魅力

 さて、ここからは改めて「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」の概要と特徴を見ていきたい。

 すでに述べたとおり、このファンドは「MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックス(円換算ベース)」に連動する投資成果を目指している。具体的な投資対象国となるのは、中国、韓国、台湾、インド、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピンの8カ国だ。中国に関しては、米国株式市場に上場している米ドル建ての中国株(預託証券(DR))も含んでいる。

「指数に組み入れられている銘柄は約550銘柄あり、このファンド1本で成長期待の高いアジア新興8カ国の銘柄に、幅広く分散投資できることが特徴です。基本的にはベンチマーク構成銘柄と同じ銘柄に投資していますが、中にはウェイトが非常に小さい銘柄や取引コストが割高な銘柄もあります。そこで、取引コストなどを勘案しつつ指数の連動性を保つ調整を行なっており、ファンド自体の組み入れ銘柄数は543銘柄(2017年2月末時点)となっています」

●指数の国別構成比

 また、このファンドはインデックスファンドなので、ファンドマネジャーが個別に銘柄を選別しているアクティブファンドに比べると、運用コストが相対的に低く抑えられている。信託報酬は税込みで0.648%だ。この点も、ファンドの特徴であり魅力と言えるだろう。

 ところで、昨年、一昨年の取材時にも触れたことだが、MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックスには中国のA株を組み入れる動きがあるという。古賀シニアファンドマネジャーは、この件に関する直近の状況を次のように説明した。

「中国A株を指数に組み入れる可能性がなくなったわけではありませんが、MSCIは投資家の意見を聞くなど慎重にことを進めていて、現時点では組み入れられていません。どうやら、少しトーンダウンしているようです。現在の国別構成比でも中国は4割近くを占めていますが、A株が組み入れられるとさらにウェイトが上がることになり、中国経済により近い株式に広く投資できるようになると言えます」

■アジア新興国は相対的に安定、今後は堅調な推移が見込まれる

 2017年のアジア新興国については、どのように見ているだろうか。古賀シニアファンドマネジャーは、株価は比較的堅調に推移するのではないかと予想する。

「域内の経済と政治が比較的安定していること、また先ほど挙げたように情報技術分野の好調が続くとみられることが理由です。欧州は、3月にオランダ総選挙、4月にフランス大統領選、秋にはドイツも選挙と政治イベントが続き、英国のEU離脱交渉の動向も気になります。また、米国はトランプ大統領の支持率はそこそこあって政治的には安定しているほうですが、NYダウの予想PERは20倍近くでやや割高です。一方、アジア新興国の予想PERは13倍程度。相対的に見て、アジア新興国が魅力的だろうと考えています」

●MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックスの予想PERの推移

 ただし、リスク要因がないわけではない。その一つは、中国と韓国の関係性だ。「韓国領内に米国のミサイル防衛システムTHAADが配備決定されたことに中国が強く反発しています。また、韓国については、大統領不在で政治的な不安もあります」。

 さらに、インドについてもやや懸念材料があるという。米国ではトランプ政権になって移民政策の見直しが進められているが、タタコンサルタントやインフォシスといったインドのIT関連企業は米国での売り上げが多く、トランプ政権の政策によってはインドの株価が悪影響を受ける可能性があると古賀シニアファンドマネジャー。

「とは言え、株価はすでに悪材料を織り込んだ上で動いていて、ウェイトの大きい情報技術の分野では好調が続くと見込まれるので、アジア新興国全体としてはプラスの方向で進むのではないかと見ています」

 新興国株式に投資するインデックスファンドは少なくないがアジア新興国株式に絞ったインデックスファンドとなると、この「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」を置いてほかにはない。

「ご存知のとおり、台湾の企業が日本の大手電機メーカーを買収する時代です。アジア企業のステータスが上がっているというのはもちろん、アジア新興国がより身近になっているとも言えるでしょう。そういった観点から、資産の一部でアジア新興国への投資を考えていただくことには意味があると考えます。中長期的に安定した成長が期待できるのではないでしょうか」

 最後にコストを今一度確認しておきたい。「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」を、ネット証券4社で購入した場合の購入時手数料はノーロード(0円)で、信託報酬は0.648%(税抜き0.6%)。また、換金時には0.3%の信託財産留保額がかかる。詳細については、こちらのページの情報もぜひ参考にして欲しい。


(取材・記事:肥後 紀子 / 撮影:柴田 潔 / 編集・制作:グッドウェイメディアプロモーション事業部)



13:27 | 写真:投資家向け




 

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