新日本有限責任監査法人の処分について
http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/20120706-7.html
金融庁は、新日本有限責任監査法人が行ったオリンパス株式会社に対する監査証明業務に関し、公認会計士法に基づく調査を行った結果、公認会計士法第34条の21第2項第3号に該当する事実が認められたので、本日、下記のとおり、同項に基づく処分を行いました。
1.処分の概要
(1)処分の対象者
新日本有限責任監査法人
(2)処分の内容
業務改善命令(業務管理体制の改善)
(3)処分理由
新日本有限責任監査法人が行ったオリンパス株式会社に対する監査証明業務に関し、以下の事実が認められたため。
イ. オリンパス株式会社から会計監査人就任の依頼を受けているが、依頼の時期が3月決算会社としては異例の5月上旬というタイミングであったこと、平成21年3月期に1000億円以上の特別損失を計上していたこと等を踏まえると、監査契約の受嘱の可否を検討するに当たっては、多額の損失を計上する原因となった国内企業3社ののれんの減損処理や英国医療機器メーカーの買収に係るフィナンシャル・アドバイザリー報酬の一部の損失計上について、前任監査人にその見解や経緯等の詳細な説明を求めた上で、受嘱の決定をすべきであった。法人本部は、受嘱の申請者でもあった監査チームに、前任監査人の見解の聴取を指示してはいたものの、監査チームは前任監査人からこれらの情報に関する詳細な聴取を行っておらず、また、法人本部は聴取結果について具体的な説明を求めていなかったことから、法人としての十分なフォローができていなかった。
ロ. 監査チームは、上述のとおり、国内企業3社ののれんの減損処理等に関する詳細な聴取を行っていないなど、前任監査人との間で十分な引継ぎを行っておらず、監査チームにも法人本部にも前任監査人が把握した問題点が適切に引き継がれなかった。
ハ. 監査チームは、上述の国内企業3社ののれんの減損処理等に関する問題は、前任監査人が基本的に解決したと理解したため、こうした点に係るリスクを的確に認識することができず、また、法人本部も受嘱時に認識していたリスクについて、特段の分析や監査チームからの聴取を行っていなかった点において、法人として組織的な監査を実施するための仕組みが十分に機能していなかった。
2.業務改善命令の内容
(1)監査の受嘱に際し、依頼会社に関する情報を適切に把握し、監査契約締結の審査が十分に行えるような態勢を強化すること。
(2)監査人交代の際の引継ぎについて、前任監査人の把握した問題点が十分に引き継がれるよう、監督態勢を強化すること。
(3)監査契約締結の審査時に認識したリスクについて、監査実施者においても的確に認識し、組織的な監査が実施されるための態勢を強化すること。
(4)上記(1)から(3)に関する業務の改善計画を、平成24年8月6日までに提出し、直ちに実行すること。
(5)上記(4)の実行後、当該業務の改善計画の実施完了までの間、平成25年1月末日を第一回目とし、以後、6ヶ月ごとに計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること。