2014年2月6日(木)、日本金融監査協会(IFRA)は、東京都・千代田区にある法政大学・新一口坂校舎において、大震災の発生に備えて金融機関は何をすべきか、また、業務継続マネジメントの態勢整備に向けた諸課題などを考える、経営マネジメント層やリスク管理部門、内部監査部門、システム管理部門に従事する責任者および担当者向け最新対策セミナー「金融機関の業務継続マネジメント」を開催した。
最初の講演「最新情報 大震災に備える」(応用アール・エム・エス 代表取締役社長 山田 敏博 氏)では、首都直下地震の想定、防災対策および検討対象とすべき津波、被害規模や企業への影響について解説した。
続く講演「首都直下地震被害想定と社会インフラへのインパクト」(三菱総合研究所 科学・安全政策研究本部 主席研究員 古屋 俊輔 氏)では、直下地震や海溝型地震の想定や震源モデルに基づいた電力・通信・公共交通機関など社会インフラの最大被害想定について触れ、エネルギーコストのシミュレーションについて解説した。
また、講演「金融機関における業務継続マネジメントー理論と実践」(三菱総合研究所 経営コンサルティング本部 事業戦略グループ 主席研究員 丸貴 徹庸 氏)では、BCP(業務継続計画)、BCM(業務継続マネジメント)の基礎に触れ、具体的に想定すべき事態と実践すべき活動、監査部門が果たす役割、実効性を高めるための検証訓練のポイントについて解説した。
続いて、講演「①IT-BCP訓練実施における考慮点、②BCPにおけるリーダーの責任~東日本大震災から学ぶ~」(深谷レジリエンス研究所 代表取締役社長 深谷 純子 氏)では、IT部門・ITサービスにおける継続計画/サバイバルプラン、情報の評価と判断、訓練実施事例とポイントについて解説した。また、東日本大震災に関する自身の現地取材に基づく分析・考察から平常時からの取組みについて語った。
最後の講演「岩手県3銀行によるストリードワイド訓練」(岩手銀行 取締役総合企画部長 兼 広報CSR室長 三浦 茂樹 氏)では、北日本銀行や東北銀行と合同で行っている業界内共通の被災シナリオの設定・シミュレーションから問題点を洗い出すストリートワイド訓練の取組みについて解説、大規模災害等発生時の連携・相互支援に関する協定の締結など、今後の方向性を示した。
日本金融監査協会(IFRA)は、金融の分野で、リスク管理、監査等に関わる高度な人材の育成を支援し、リスク管理と監査の発展に貢献することを目指して設立された非営利組織(設立と活動の目的)。経営マネジメント、企画部門、リスク管理部門、監査部門の担当者向けに、各分野の実務家、専門家を招き、リスクマネジメントと監査のポイントについて実費相当の廉価な価格(非営利の活動)で研修セミナーを企画・開催している。
日本金融監査協会(IFRA)では、会員、賛助企業・団体の登録(年会費:10,000円、対象期間:4月1日~翌年3月31日)で、初回の「研修セミナー」(スケジュール&申込み)受講費用は無料、2回目以降は会員価格(5,000円)で受講が可能なほか、非会員の場合でも、毎回受講費用(10,000円)を支払えば受講が可能となる。また、「研修セミナー」以外にも、会員優先で受講できる「特別研究会」(無料)、金融機関の役員、監査役、内部監査部長を対象とする「リスクガバナンス研究会」(無料)も開催している。
昨今、金融リスクが多様化・複雑化する中、その顕在化による影響を抑え、経営の目標を達成することが難しくなっており、経営管理の高度化のためには、リスク管理機能の強化を図るだけでなく、その有効性を検証する監査機能(内部監査、会計監査、監査役監査)の強化を併せて図る重要性が増しているという。厳格なリスク管理、内部統制・内部監査が重視される時代を迎える中、金融機関が直面している課題を共有し、最新動向と打ち手のヒントを掴み学ぶ場として、IFRAの研修セミナーを有効に活用されたい。
◎参考書籍:「KINZAIバリュー叢書 内部監査入門(日本金融監査協会 編)」
(取材、撮影、記事、編集・制作: 藤野 宙志)