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2015/08/21

【金融庁】地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価に関するアンケート調査結果等の概要

| by:ウェブ管理者
調査目的等
金融庁では、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に基づき、地域金融機関における地域密着型金融の取組みに関する利用者等の評価を把握するための調査を年1回実施し、その結果を公表するとともに、爾後の監督対応に活用することとしています。

このため、平成 27 年4月から6月にかけ、全国の財務局等において、各地域の利用者等を対象に、聴き取りによるアンケート調査を実施し、その結果を以下のとおり取りまとめました。

地域金融機関の取組みに対する御意見等

本調査においては、地域金融機関における地域密着型金融の取組みに関し、評価できる点と、不十分な点の両面から御意見をいただきました。主な意見は以下のとおりです。

(1)顧客企業に対するコンサルティング機能の発揮 ( ○:評価できる点、▲:不十分な点 )

<日常的な関係強化の姿勢>
○ 商工会議所の青年部の活動にも積極的に参加し、経営者・後継者の人柄をはじめ、企業や業界の情報を収集し、その情報を、経営者からの資金繰りに関する相談等に活用している。

○ 情報交換のため、頻繁に企業を訪問し、意見交換をしている中で、金融機関として協力できる情報を見出し、提供するよう努めているように見受けられる。

▲ 「御用聞き」としての役割は果たしてくれているものの、ビジネス上の課題解決能力や提案力についてはまだまだであり、業界構造やトレンドについて、こちらから教えなければならないことが多く、コンサル能力は十分とは言えない。

▲ 融資できない先に対するフォロー(どういった点をどのように改善すれば、融資してもらえるかといったアドバイスなど)が不十分であると感じており、コンサルティングという面ではやや消極的。

▲ 信用保証協会付の融資の割合が高いことから、金融機関は、事業性評価に基づき、財務内容のみならず、事業内容をしっかり理解した上で、リスクをとってプロパーで支援してほしい。


<創業・新事業に向けた取組み>

○ 意欲ある創業者に対し、自己資本が少なくても前向きに支援し、融資実行後も、経営が軌道に乗るまで支援する姿勢が見受けられる。

○ 商工会議所と連携して、創業者支援を積極的に行っており、担保主義から事業そのものを評価しようとする姿勢への変化が感じられる。

▲ 中小企業の創業支援などの場合は、保証協会の保証付き融資が多い傾向がみられる。保証料の負担を軽減するためにも、プロパー融資を積極的に推進してほしい。

▲ 積極的に取組んでいる金融機関がある一方でまだまだ十分とは言えない金融機関もあり、銀行間での差が大きい。


<ビジネスマッチング>

○ 多くの金融機関は、ビジネスマッチングにかける人員や時間を増やしており、積極的に企業間の取引を進めている。

○ 金融機関と学校や地方公共団体等が協力し合い、新製品の開発や食の商談会等のビジネスマッチング等で販路拡大支援に寄与している。

▲ 銀行から商談会等の誘いを受けることもあるが、当社とは規模の差があり、取引に結びつきづらい先ばかりであるため、企業の規模やスタイルに合ったきめの細かいマッチングをしてほしい。

▲ ビジネスマッチングについては、フェアを開催するだけでなく、顧客企業に対して、もっと具体的な提案(マッチング先の紹介など)をしてほしい。


<海外進出支援>

○ 最近は銀行のみならず、信金においても企業経営者を連れて海外視察をする機会が増えており、積極的に取り組まれていると感じる。

○ 海外で子会社を設立する際に、支店・本部から有益な情報及び海外送金の指導を得て、短期間での設立が可能となった。

▲ 海外に事務所がある銀行は、仕入れ先を紹介してくれたりするものの、海外の企業に対する分析が不十分なため、その先の話に繋がっていかない。


<目利き能力>

○ 年に一回、会社の決算書等を基に企業評価及び分析をしたレポートを頂いており、そのレポート により自社の改善点などを認識することができる。

○ 創業支援、事業承継等、企業のライフステージに対応した課題を解決するためのコンテンツを行内に蓄積しており、支店の渉外係からの情報に基づき、本部のコンサル対応スタッフが顧客に提案を行っている。

▲ 中小企業診断士の資格を有する地域金融機関職員も多くなったが、財務諸表に拠らず自信を持って企業を評価できる人材はまだ育っていないと感じる。

▲ 融資については、不動産担保や保証人ありきの融資が多く、目利き能力の発揮や事業性評価を重視した融資があるとは思えない。

▲ 今までの実績や結果により融資の判断をしており、企業の成長性を見ていないと感じることが多い。


<経営改善・事業再生に向けた取組み>

○ 取引金融機関の担当者に、経営会議や新規事業のプレゼンなどの社内会議に出席してもらい、財務面について、アドバイスを受けている。

○ 弊社が長年お世話になっている地方銀行は、融資を前提とした業況の聞き取りではなく、直面している問題に対し、彼らの関係部署の担当者を呼んで、その解決案を共に考えてくれる。

○ 経営内容悪化に際し、銀行の担当者から頻繁に連絡があっていろいろと相談にのってもらい、再生支援協議会への持ち込み、コンサルタントの紹介など親身になって対応してもらった。

▲ 企業への訪問を定期的に行っているようだが、協会保証のある先を中心に、金融機関の対応が非常に疎かだと感じるような企業もある。協会保証のある先についてもコンサルティング等に積極的に取り組んでもらいたい。

▲ 金融機関は、資金提供や財務分析を通じての支援を行うことはできるが、技術やマーケティングについての知識が不足している。

▲ 条件変更などの経営改善に必要不可欠な事項について、経営改善計画書作成だけを急ぎ、企業側目線による、実態に即した計画へと対応頂けていない節が感じられる。


<事業承継に向けた取組み>

○ 事業承継対策について、銀行の方が税理士よりも踏み込んだ提案をしてきてくれている。

▲ 事業承継の取組みに関しては、まだまだの印象である。そのまま廃業する事業者が多く、金融機関側にしても、事業承継に関するノウハウが少ない上、経営者にそれを切り出すタイミングが難しいのではないかと思われる。

▲ 各金融機関におかれては、事業承継を考えている経営者や企業の情報を、自行内で囲い込むのではなく、前広に商工会議所等の外部機関と共有・連携してもらいたい。


<外部専門家・外部機関等との連携>

○ 地元金融機関においては、㈱農林漁業成長産業化支援機構との共同出資により、農林漁業者の 6 次産業化を支援するファンドを組成するなど、地域経済の活性化に力を入れてもらっている。

○ 商工会議所と相互に連携・協力して中小企業等の新規創業・事業引継ぎ・販路開拓等の支援を行い、地域経済の活性化を図るため、包括連携協定を締結している。

▲ 税理士からも積極的に金融機関の担当者との面談をすべきだと思うが、金融機関の担当者も、税理士事務所へ訪問し、情報交換をしてほしい。

▲ 小規模の金融機関は、担当スタッフが少ないため、利用者の期待に応えられないケースが出てくる可能性があることから、他の支援機関との連携を図って、利用者が国等の中小企業施策を活用できるよう考慮してほしい。


原文はこちら
http://www.fsa.go.jp/news/27/ginkou/20150821-2/01.pdf

17:03 | 金融:銀行
 

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