IBM X-Force脅威調査のプラクティス・リードであるニック・ブラッドリー(Nick Bradley)は次のように述べています。「サイバー犯罪者は常に最も収益性があるターゲットを選んできました。過去数年間、サイバー犯罪者は金融サービスに多くの攻撃を仕掛けてきましたが、彼らは医療業界や小売業界などもっと実入りの良い業界に照準をシフトしてきました。しかし、2016年には、金融サービスへの攻撃が再びかなり増加しました。サイバー犯罪者は資金源を直接狙うようになったからです」
IBM X-Forceは2016年において、一部の国で金融業を標的とするサイバー犯罪が急激に増加したことを明らかにしています。サイバー犯罪者は、ビジネス向けの銀行サービスを標的とするDridex、Neverquest、GozNym、TrickBotなどのマルウェアを使用して、ビジネス用の銀行口座に対する攻撃を強化させています。IBM X-Forceの調査員は最近、TrickBotマルウェア活動を確認しています。このマルウェアは、大規模な金融機関が防御策を強化していることから、プライベート・バンキングやウェルス・マネジメント事業などのあまり一般的でない分野や富裕口座を標的としています。この野心的なマルウェア・ギャングが新たな領域への攻撃を計画していることを示しています。