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2024/11/25

【FinGATE(平和不動産)】FinGATE Campus 第14回「スタートアップの成長を支える知財戦略のきっかけと最適化」を開催!

| by:サイト管理者

 2024年11月15日(金)、平和不動産は、東京の金融街「日本橋兜町・茅場町」にある金融インキュベーション施設「FinGATE KAYABA」にて「FinGATE Campus 第14回 スタートアップの成長を支える知財戦略のきっかけと最適化」を開催した。

 FinGATEは、2022年10月に平和不動産が立ち上げたコミュニティであり、起業家や金融スタートアップを対象に、定期的にセミナーや交流会を開催している。今回のセミナーでは、知財の取得や活用を通じて競争優位性を築く方法や、契約戦略との一体化による事業成長の実現可能性について幅広く取り上げた。特に特許や商標がスタートアップにとって持つ戦略的意義が強調され、具体例を交えた実践的な議論が行われた。



 総合司会は中井 沙織氏(株式会社三井住友銀行 / 株式会社三井住友フィナンシャルグループ デジタル戦略部)の司会でスタートした。オープニングでは、知財がスタートアップの競争優位性を確保する重要な要素であることが強調され、特許や商標をどのように事業成長に活用するかが大きなテーマとして掲げられた。オープニング挨拶としてFinGATEの主催者である平和不動産の中島 優人氏より、町づくりを進める兜町の歴史とともに、金融やテクノロジー分野のコミュニティ形成を目指すFinGATEの取り組みも紹介された。

 FinGATEの説明後、総合司会の中井氏より、本日のプログラムが講演2本とパネルディスカッションの2部構成であることが紹介された。



 前半は2名による講演が行われた。

 まず、柿沼 太一氏(STORIA法律事務所 弁護士)による講演『スタートアップが押さえておくべき知財と契約の基礎』が行われた。柿沼氏は、ディープテックスタートアップの特徴を踏まえ、強い知財を取得する重要性とそのための戦略を具体的に説明した。特に、大学発ベンチャーの課題として、学問的な高度さに偏った特許が事業化に不向きな場合があることを挙げ、実用性の高い特許を取得する重要性を説いた。
 また、契約戦略についても触れ、共同研究開発からライセンス契約に至るまでのプロセスを具体例とともに解説した。特に知財の帰属や秘密保持契約(NDA)の重要性について、現場での実体験を交えて紹介した。最後には、スタートアップと大企業が対等な立場で契約交渉を進めるためのヒントが提示され、聴衆の関心を引いた。

 続いて、泉 卓也氏(杉村萬国特許事務所 弁理士)による講演『特許について少しだけ考えてみよう!』と題して、スタートアップが特許取得を進める際の判断基準や注意点について講演した。特許の取得が必ずしも事業成功の鍵ではない点を強調し、トレードシークレットやオープン戦略との使い分けの重要性を解説した。
 また、PayPayやSquareの事例を通じて、特許を活用して市場での競争優位を確保する方法についても詳しく語られた。例えば、Squareがスマートフォンと連携する決済デバイスの特許を取得し、競合他社への参入障壁を構築した背景など、実践的な内容が共有された。この講演は、特許の意義やリスクを再確認する良い機会となった。



 後半のパネルディスカッション「スタートアップの成長を支える知財戦略のきっかけと最適化」では、柿沼氏、泉氏に加え、岡部 典孝氏(JPYC 代表取締役)、乙部 信吾氏(LIGHTz 代表取締役社長CEO)が登壇し、藤井 達人氏(みずほフィナンシャルグループ デジタル企画部 執行役員、日本ブロックチェーン協会 理事)がモデレーターを務めた。

 ディスカッションでは、知財の取得と活用がスタートアップの成長基盤をいかに支えるかを中心に議論が行われた。柿沼氏は、創薬やバイオ分野では特許が事業の成否を左右する点を強調し、ビジネスモデルと知財戦略を一致させる重要性を指摘した。また、泉氏は、IT分野における特許の実用性について、外部から検出可能な特許にフォーカスする戦略の必要性を述べた。
 さらに、商標や特許の取得がもたらす競争優位性にも注目が集まった。JPYCの岡部氏は、自社の商標「JPYC®」が事業展開と投資家からの信頼獲得に貢献したことを説明した。LIGHTzの乙部氏は、自社の「ブレインモデル®」技術が製造業やスポーツの現場で革新をもたらしている事例を紹介し、知財を活用した事業の幅広い可能性を示した。
 また、泉氏は特許を取得する際の計画立案の重要性について述べ、PCT(特許協力条約)の活用を通じた出願の国際戦略を推奨した。一方で、柿沼氏はスタートアップが大企業や大学との契約交渉において陥りやすいリスクを指摘し、経済産業省が公開しているモデル契約の活用を提案した。知財の取得だけでなく、その運用や交渉力が事業成長の鍵であることを強調した。

 総じて、パネルディスカッションを通じて、知財の取得、戦略的活用、そしてその周辺にある契約交渉の重要性が改めて明らかになった。



 クロージングでは、阿部 一也氏(フィンテック養成コミュニティ 共同創設者)が登壇し、来場者への感謝の言葉を述べるとともに、今後のイベントの予告や紹介を行った。
 全てのプログラムが終了後、モデレーターの藤井氏による乾杯が行われた。
 ネットワーキングでは、軽食とお酒が提供され、参加者同士が有意義な情報交換を行う場となった。多くの参加者が新たなつながりを築き、知財戦略に関する知見を深める貴重な機会となった。



 FinGATE Campusは、今後も以下の予定でセミナーが開催される予定である。引き続き今後の活動に注目したい。

【参考】今後の開催予定

 2024年12月13日(金)
 FinGATE Campus 第15回「フィンテックトレンド2025」(FinGATE KAYABA / オンライン配信)

 2024年12月16日(月)
 FinGATE Campus 第16回「未来の自分のために今できること:Z世代の金融リテラシー講座」(FinGATE KAYABA) 



10:43 | 写真:金融・IT業界向け




 

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