【S&P】日本の証券業界の「インダストリー・アップデート」を発表
http://www.standardandpoors.com/ratings/articles/jp/jp/?articleType=HTML&assetID=1245342968567
(2012年11月6日、東京=S&P)スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(以下「S&P」)は本日、「インダストリー・アップデート:日本の証券業界 2012年7-9月期決算」を発表した。
格付け先の大手証券4グループ--SMBC日興証券「A+/ネガティブ/A-1」、大和証券グループ本社「BBB/ネガティブ/A-2」、野村ホールディングス「BBB+/安定的/A-2」、三菱UFJ証券ホールディングス「A/安定的/A-1」--の2012年7-9月期(2012年度第2四半期)決算は、国内の大型引き受け案件や一部のグローバルな金融市場の市況好転の恩恵を受け、前四半期との比較で、純営業収益は野村、大和、三菱UFJで増加となった。純利益は、野村と大和で増益、日興と三菱UFJで減益となった。金融緩和策などの一時的なプラス要因を除けば、金融市場はグローバルに低迷が続いており、今後の事業環境の回復の見通しが不透明であるなか、厳しい環境下でも利益を確保できる収益・費用構造を構築できるかが引き続きカギであるとスタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(以下「S&P」)では考える。
インベストメント・バンキング事業では、日本航空、全日本空輸などの大型引き受け案件が各グループの株式引受手数料収益を大きく押し上げた。しかしながら、限られた大型引き受け案件を除けば、エクイティファイナンス需要は総じて弱く、短中期的に引受業務の本格回復を見込める環境にはないとS&Pは考える。
第2四半期は、欧米で実施された金融緩和策の効果により、海外フィックストインカムの収益が押し上げられた側面もあるとS&Pではみている。野村では、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第3弾(QE3)導入で実施した住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れが、同社の米州における証券化商品収益を押し上げる要因となった。また、欧州中央銀行(ECB)が実施した無制限の国債買い入れ措置による市況の好転によって、欧州のフィックストインカム関連のトレーディング収益が下支えされた。欧米の中央銀行の金融緩和策による市況好転の恩恵は今後薄れる可能性があるとS&Pは考えている。また、欧州のソブリン危機などファンダメンタルの厳しい状況に変化はないことから、フィックストインカム市場の先行きは依然不透明であり、そのことが収益への下方圧力となる可能性があるとみている。第2四半期は、大型引き受け案件や金融緩和策などの効果による一時的なプラス要因を除けば、ホールセール部門の収益水準は実績よりも低かったとみられ、今後もホールセール部門を取り巻く環境は厳しいとS&Pは考える。
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