・ 短期間で精力的にこのようなミーティングを重ねてこのようなかたちで報告書が取りまとめられたこと、皆様の努力に感謝申し上げる。素人でも読めばわかるようになっており、オープン API に関わる固有リスクについても丁寧に指摘いただき、その対応についても丁寧に記載されていると評価している。できればA4裏表くらいで、個人ユーザー向けに報告書のエッセンスを伝えていただくものが必要ではないかと思う。そのようなものを作っていただければ、国内の方もビジネスのマーケティングというところで意味があるのではないかと思っている。検討いただければ幸いである。
【オープン API の今後の展開】 ・ 現在の銀行のシステムが密結合になっていることの問題を、内部 API で連携させることによって、少しずつ解決することは、これからの銀行システムを考えるうえで重要なソリューションのひとつだと思う。それが結果としてFinTech 企業との接続が便利なかたちに進むということになれば、銀行、FinTech 企業の両者にとって Win-Win の関係につながっていくのではないか。
・ 残高照会、入出金明細、振込といった API 以外にも様々な API があると思う。例えば、現在、口座開設の API については、まだあまり議論されていない。また、口座開設の API があった場合でも、銀行代理業にあたる可能性がある。ユーザーの利便性を追求していく中では、来期以降こういった議論もできると非常にいいのではないかと思う。
・ API 管理の機能が整理されれば、複数の IT ベンダーを利用する場合でも、ユーザーに対してはひとつの OAuth の認証認可でコントロールができ、ユーザー単位でベンダーの垣根を越えたサービスが可能になる。マルチベンダーを採用している金融機関が多いトレンドの中では是非こうした点について、ベンダーの垣根を越えて進めていただけるとありがたい。
・ 現状は、FinTech 企業が API から情報を読み取る整理だと思うが、今後考えられる新しい API のかたちとして、いわゆるプッシュ型、つまり、事前にOAuth などで認証しているお客さまについては、銀行側から例えば入金があった場合に、FinTech 企業に通知が発信されるような仕組み、そういった基盤を各社において用意いただけると大変ありがたい。
・ プッシュ型の API は、例えば、EC サイト上で銀行の更新系 API を使って何かを決済した後にネットショップの法人口座にお金が入ってきた場合、EDI、XML の情報によって、発送管理、販売管理、在庫管理をすべて API 連携で行える。非常に業務の効率化につながるため、各社ベンダーはプッシュ型のAPI の開発を進めていただけたらと思う。
・ 共通 API については、日々バージョンアップしながら、よりよくして使いやすくさせていただく努力を行っている。プッシュ型サービスに関しても、希望に合わせて開発等をして提供することも考えている。共通部分と個別でそれぞれイノベーションさせていただく部分があると思うので、その両面から開発等により API を提供することについて今後検討していく。
・ オープン API が最終的に目指す世界は、零細な会社であってもセキュリティさえしっかりしていて、ソフトウェア上の開発力さえあれば、API 開発の専門性というのはそれほど求められなくても、よいものを作っていけるという世界観ではないかと思う。
・ 英国 Open Banking Standard では、オープンデータ(公開情報)と言われるものがあって、例えば、ATM の場所がどこにあるか、ATM の利用時間によってどのような手数料になっているか等、調べようと思えば調べられるデータ自体も API 公開の対象としようとしている。この API 検討とは別軸のものではあるが、銀行をより便利に使っていただけるアプリがたくさん増えると思う。
・ API はエコシステムの重要な起点になる。その先の取組みというところに皆さんの目が移っていっていることが、今後エコシステムとして拡大、発展していくというところにつながっていくと期待している。事務局の方々がここまで取りまとめていただいたことに敬意を表すとともに、貢献していただいた方々においてもレベルの高い議論をいただき、非常に感謝している。
【行政における API】 ・ 海外の行政におけるオープン API の導入、RegTech と称される金融規制分野における API の活用、あるいは API を通じて得たデータの人工知能等を使った解析等は、本検討会の射程ではないと思うが、技術進歩によって実現するもうひとつの大事な点である。
・ 行政と金融機関との API の連携の件は、本検討会のスコープから少し外れる部分はあるが非常に大事な観点だと思っている。コストがかかっている金融機関側の報告負担を減らしていくために、金融機関側の API を行政が使っていくという方向性もイギリスなどでは示されて、これから取組みが進む可能性のある分野ではないか。