金融&IT業界の情報サイト
 
 


 
【金融業界ニュース】 >> 記事詳細

2017/03/09

【全国銀行協会】「オープンAPIのあり方に関する検討会」(第8回)議事要旨の公表について

| by:ウェブ管理者
1.日 時: 平成 29 年2月 20 日(月)9時 00 分 ~ 10 時 40 分
2.議 題: 検討会において取りまとめる報告書について
3.議事内容:
※ 討議対象となっている報告書については、取りまとめが終わった段階で公表等を行う予定です。

【総論】
・ 報告書は銀行にとっても、我々にとっても、ユーザーにとっても非常によいものになっていると思う。大変感謝している。今回、電文仕様の標準のあり方について、戦略的に選ぶことができるという趣旨で、標準を決めるところと、あえて決めないところの2つに分けている。この考え方には賛同する。

懸念点としては、電文の標準仕様が決まると、結果的に「そこしかやらなくていいだろう」ということになり、拡張性が損なわれる可能性がある点。より明示的に、これはあくまでも標準であり、その先は柔軟に今後の世の中の発展に向けて検討すべきであるというようなことが伝わるとよいのではないか。この報告書はマーケットに向けたコミュニケーションペーパーであり、全銀協もしくは検討会のポジションを世の中に伝えている重要なペーパーであると理解している。FinTech の動きは国際的な動きになっており、現在日本が何をやっているのかを海外にマーケティングするという発想も非常に大事ではないか。

・ 短期間で精力的にこのようなミーティングを重ねてこのようなかたちで報告書が取りまとめられたこと、皆様の努力に感謝申し上げる。素人でも読めばわかるようになっており、オープン API に関わる固有リスクについても丁寧に指摘いただき、その対応についても丁寧に記載されていると評価している。できればA4裏表くらいで、個人ユーザー向けに報告書のエッセンスを伝えていただくものが必要ではないかと思う。そのようなものを作っていただければ、国内の方もビジネスのマーケティングというところで意味があるのではないかと思っている。検討いただければ幸いである。

【オープン API の今後の展開】
・ 現在の銀行のシステムが密結合になっていることの問題を、内部 API で連携させることによって、少しずつ解決することは、これからの銀行システムを考えるうえで重要なソリューションのひとつだと思う。それが結果としてFinTech 企業との接続が便利なかたちに進むということになれば、銀行、FinTech 企業の両者にとって Win-Win の関係につながっていくのではないか。

・ 残高照会、入出金明細、振込といった API 以外にも様々な API があると思う。例えば、現在、口座開設の API については、まだあまり議論されていない。また、口座開設の API があった場合でも、銀行代理業にあたる可能性がある。ユーザーの利便性を追求していく中では、来期以降こういった議論もできると非常にいいのではないかと思う。

・ API 管理の機能が整理されれば、複数の IT ベンダーを利用する場合でも、ユーザーに対してはひとつの OAuth の認証認可でコントロールができ、ユーザー単位でベンダーの垣根を越えたサービスが可能になる。マルチベンダーを採用している金融機関が多いトレンドの中では是非こうした点について、ベンダーの垣根を越えて進めていただけるとありがたい。

・ 現状は、FinTech 企業が API から情報を読み取る整理だと思うが、今後考えられる新しい API のかたちとして、いわゆるプッシュ型、つまり、事前にOAuth などで認証しているお客さまについては、銀行側から例えば入金があった場合に、FinTech 企業に通知が発信されるような仕組み、そういった基盤を各社において用意いただけると大変ありがたい。

・ プッシュ型の API は、例えば、EC サイト上で銀行の更新系 API を使って何かを決済した後にネットショップの法人口座にお金が入ってきた場合、EDI、XML の情報によって、発送管理、販売管理、在庫管理をすべて API 連携で行える。非常に業務の効率化につながるため、各社ベンダーはプッシュ型のAPI の開発を進めていただけたらと思う。

・ 共通 API については、日々バージョンアップしながら、よりよくして使いやすくさせていただく努力を行っている。プッシュ型サービスに関しても、希望に合わせて開発等をして提供することも考えている。共通部分と個別でそれぞれイノベーションさせていただく部分があると思うので、その両面から開発等により API を提供することについて今後検討していく。

・ オープン API が最終的に目指す世界は、零細な会社であってもセキュリティさえしっかりしていて、ソフトウェア上の開発力さえあれば、API 開発の専門性というのはそれほど求められなくても、よいものを作っていけるという世界観ではないかと思う。

・ 画面が変わったときの変更が必要であること等を理由に、スクレイピングは開発コストがかかるといわれているが、それだけではなく、例えば、共通のインターネットバンキングシステムを使っている銀行でも、ある銀行では日付検索ができない、ある画面ではここから遷移すると違う口座が見られるようになっている等、インターネットバンキングの中でもいろいろな差異があるものをユーザーに代わって我々が見て、データを吸収して、アグリゲーションのエンジンを作っている。Web 画面が変わるということだけで、コストがかかっているわけではない。現状のビジネスでは、それが競争的な差異になっているが、将来の世界では、それはいらないと我々は判断している。

・ 英国 Open Banking Standard では、オープンデータ(公開情報)と言われるものがあって、例えば、ATM の場所がどこにあるか、ATM の利用時間によってどのような手数料になっているか等、調べようと思えば調べられるデータ自体も API 公開の対象としようとしている。この API 検討とは別軸のものではあるが、銀行をより便利に使っていただけるアプリがたくさん増えると思う。

・ 10 月に検討会を立ち上げて数ヶ月、セキュリティ・利用者保護、標準というところを中心に議論してきたが、そのあたりの議論がだいぶ落ち着いてきたところで目線が一段上がって、次にどのように展開していくのか、非常にレベルの高い議論になっているという印象を持った。

・ API はエコシステムの重要な起点になる。その先の取組みというところに皆さんの目が移っていっていることが、今後エコシステムとして拡大、発展していくというところにつながっていくと期待している。事務局の方々がここまで取りまとめていただいたことに敬意を表すとともに、貢献していただいた方々においてもレベルの高い議論をいただき、非常に感謝している。

【行政における API】
・ 海外の行政におけるオープン API の導入、RegTech と称される金融規制分野における API の活用、あるいは API を通じて得たデータの人工知能等を使った解析等は、本検討会の射程ではないと思うが、技術進歩によって実現するもうひとつの大事な点である。

・ 行政と金融機関との API の連携の件は、本検討会のスコープから少し外れる部分はあるが非常に大事な観点だと思っている。コストがかかっている金融機関側の報告負担を減らしていくために、金融機関側の API を行政が使っていくという方向性もイギリスなどでは示されて、これから取組みが進む可能性のある分野ではないか。


原文はこちら
http://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news290308.pdf

18:11 | 金融:銀行
 

【免責事項】
サイト掲載情報の正確性、および完全性については最善を尽くしておりますが、その内容を保証するものではございません。また利用者が当サイト、およびサイトに関連するコンテンツ、リンク先サイトにおける一切のサービス等を利用されたことに起因、または関連して生じた一切の損害(間接的、直接的を問わず)について、当社、当サイト、投稿者および情報提供者は一切の責任を負いません。

Copyright © 2010- GoodWay Inc. All rights reserved.