2017年10月27日(金)・28日(土)、ユニシス研究会(日本ユニシスグループのユーザー団体)は、リーガロイヤルホテル広島において、「ユニシス研究会 全国フォーラム2017 中国」を開催した。
ユニシス研究会は、1953年に前身となるユーザー団体が発足してから60年以上の歴史を持ち、IT関連のユーザー団体としては日本で最も歴史のある団体で、会員数 約600社で構成。研究活動や論文活動などを中心に、業界や企業の枠を越えた多彩な活動を全国規模で展開している。全国フォーラムは、その中でも最大のイベントだという。
最初の挨拶は、片山 雄一氏(ユニシス研究会 会長、オリエンタルランド 取締役 専務 執行役員)が登壇。参加者・関係者へのお礼の言葉と共に、二日間にわたるプログラムについて紹介。最新のICT動向や日本ユニシスの取組みを共有すると共に、交流を深め、ビジネスのヒントやきっかけを持ち帰ってほしいと語り、地域の枠を超えて相互発展を目指しビジネスエコシステムにつながることを願い、開会宣言を行った。
続いて、松井 一實氏(広島市 市長)が登壇。広島への歓迎の言葉と共に、広島と平和をつなげる研究活動を応援すべく、広島の平和への想いを説明。多くの広島への訪問者に対して被爆者の想いや体験を伝えていくべく、未来に向けたメッセージを発信し、行動していくとした。また、映画『この世界の片隅に』では、日々の生活の中での大切さに気付かされると紹介。広島の豊かな幸とお酒を満喫し、広島の観光振興に向けて伝えて欲しいと締めくくった。
続いて、平岡 昭良氏(日本ユニシス 代表取締役社長)が登壇。お礼の言葉と共に、"平和への祈り・観光を通じて地方を元気に"をテーマに、国際アニメーション映画祭でも高い評価をされた映画『この世界の片隅に』と共にその想いを共有し、実際に訪ねた広島平和記念公園・資料館、おりづるタワーでの所感を紹介。つらい経験を風化させずに、復興・地域発展につなげ、平和への祈りをかみしめ議論していきたいと語った。
記念講演「映画『この世界の片隅に』を通じて」では、片渕 須直氏(アニメーション映画監督)が登壇。2016年11月12日の公開以来、この日で連続上映350日目になることを紹介。実際のハードディスクを持参し、6年2ヶ月をかけて完成させた映画をどのように作ってきたかについて生々しく詳しく解説。映画に登場する人々の生活を丁寧に描くために、片渕氏がいかに時間をかけて調査・探求を行ったかなど、当日の様子を忠実に再現するまでの熱意と、クラウドファンディングで作成した映像を披露。世界中に広がっている映画『この世界の片隅に』を通じて、いま自分たちが住んでいる時代とは違う時代を想像し、その場所・そこにいた人たちと一緒にその時代に住む体験ができることが根幹にあると語り、広島・呉から世界中に広がっているとした。
パネルディスカッション「『この世界の片隅に』から拡がる ~観光・地域振興で求められること~」では、パネリストとして、大年 健二氏(NPOくれ街復活ビジョン代表理事、『この世界の片隅に』を支援する呉・広島の会代表、前・呉信用金庫理事長)、倉木 麻衣氏(シンガー・立命館大学産業社会学部 客員准教授、日本ユニシスグループ アンバサダー)が登壇、平岡 昭良氏(日本ユニシス 代表取締役社長)がモデレータを務めた。
平岡氏は、片渕氏の講演では、時代を重ね合わせることにより平和の意味をあらためて考えさせられたと語り、パネルでは、映画や歌を通じて観光や地域の振興を進めていくためにどのようなことが必要かについて考えていきたいとした。
大年氏は、「石段の家」プロジェクト(空き家再生事業)、「大和ギャラリー零」(空き店舗再生事業)、『この世界の片隅に』を支援する呉・広島の会について紹介。海軍呉鎮守府、長官邸、工業地帯、潜水艦(アレイからすこじま)、音戸の瀬戸、江田島兵学校、海軍基地、大和ミュージアム、ロケ地MAP、呉海軍下士官兵集会所(現青山クラブ)、海軍病院前会談(現呉医療センター)、旧澤原家三つ蔵、小春橋から望む灰ケ峰、二河公園など詳しく紹介。映画による観光への効果について語った。
倉木氏は、自身が"京都観光おもてなし大使"を務めた経緯や体験、京都の渡月橋を取り上げた楽曲「渡月橋 ~君 想ふ~」を紹介。また、歌で元気を届けたいとし、倉木氏が被災地の地域復興に取組む活動の数々を披露した。
平岡氏は、"人々の心の片隅に定着させたい"との言葉の通り、観光による町おこしには、ストーリーと継続で定着していくことが重要だとした上で、ITの活用によって活動を加速すべく、日本ユニシスの取組みが紹介された。
「観光エコシスシスエムで実現する世界」、「スマホマルチ決済&周遊パスサービス(地域が潤う仕組みづくり)」、「ICT観光案内サービス(おもてなしの気持ちは「人」が伝える)」、「多言語対応接客支援サービス(WaviSAviNavi:店員と観光客とのコミュニケーションを円滑化)」、「エンタメ × IT コラボレーション(スマホスタンプラリー)」など、日本ユニシスグループのビジネスエコシステムを推進し、地元の取組みや想い・歌・ITで地域を盛り上げていきたいと締めくくった。
ショーケース「R&D見本市『Change your future!』」では、ご当地Event、Change Industry、Change Communicationの各ゾーンにテーマ毎の体験型ブースを設置。仮想現実(VR)ゴーグルを着けて音楽ライブを体感できるなど、日本ユニシのR&Dの数々が紹介された。人間社会を支える産業構造とコミュニケーションの変化を、自身の視点で捉え、考えるきっかけになることを目的にしているという。
挨拶には、羽田 昭裕氏(日本ユニシス CTO 総合技術研究所長)が登壇。ユニシス研究会の経緯を紹介し、原点に立ち返り、価値を想像し新しい技術を考えていきたいと抱負を述べ、エッカート賞発表会について紹介した。
<ご当地Event>
・AIがまちにやってきた
・ICTで創る訪日外国人のおもてなし
<Change Industry>
・データを活用した地域課題解決の取り組み ~データから紡ぐQOL~
・IoTシステムの品質検証
・実環境3Dデータ処理の実現に向けて
<Change Communication>
・自然言語処理の活用で変わる未来のコミュニケーション
・ヒトはなぜ臭いものを食べるのか ~パーソナリティと食品の香りに対する嗜好性の関係から~
・知的エージェントサービス Rinza Talk
・ヒトとキカイとが「共生・共働」する未来社会の創造
・VR動画配信プラットフォーム「Kamiseki(神席)」
エッカート賞発表会では、「スマートフォンと機械学習による行動分析 ~スーパーマーケットのお兄さんの一日~」と題して研究活動の発表が行われた。新潟グループより、伊藤 彩乃氏(シアンス)、塚本 浩之氏(新潟県農協電算センター)が登壇。研究内容・進め方、アプリ開発と機能検証、今後の展望について紹介した。
エッカート賞は、優れた論文・研究活動などにより、ユニシス研究会に多大な貢献をした個人・グループを対象に、コンピュータの生みの親エッカート博士にちなんで名づけられ、1996年より表彰をスタートしているという。
情報交換会では、中国地方の豊かな幸とお酒と共に会員相互の情報交換の場が用意され、倉木 麻衣氏は挨拶の中で、この日に感じた想いを込めて、どんな環境であっても誰にでも必ずチャンスはあるとし「chance for you」のアカペラが披露された。
来賓の挨拶は、池田 晃治氏(広島銀行 代表取締役頭取)が登壇。感謝の言葉と共に、ユーモアを交えながら、広島におけるスポーツを通じた地方創生への想いを披露。1991年からの日本ユニシスと広島銀行の取組みを振り返りつつ、ユニシス研究会の活動を通じてビジネスエコシステムの構築につながることへの期待の言葉を述べた。
乾杯の挨拶は、三家本 達也氏(イズミ 専務取締役)が登壇。全国フォーラム開催へのお祝いの言葉と共に、業界に先駆けて始めた電子マネーなど15年にわたる日本ユニシスとの取組みに触れ、ユニシス研究会と参加者のますますの発展を願い乾杯した。
その後、しばし、歓談する姿が広がる。会場のテーブルは全国各エリア毎に用視され、親睦を深める。アトラクションでは、石見神楽の演目「大蛇(おろち)」が披露された。石見神楽は島根県石見地方の郷土芸能として受け継がれているといい、その迫力のある演技に圧倒される。
次回の全国フォーラムの開催地「静岡」の発表では、静岡支部支部長 大澤 保明氏(ヤマハモーターソリューション 取締役 マネジメントセンタ長)をはじめとするメンバーが登壇し、歓迎とPRのパフォーマンスを披露した。
中締めの挨拶は、中国支部支部長 箱田 浩二氏(広島銀行 IT統括部 部長)が登壇。準備に関わった多くの関係者に感謝の言葉を述べた上で、この全国フォーラム開催の二日間を通じて中国地方の良いところをぜひとも満喫して欲しいと語り、今後の発展を願い一丁締めで締めくくった。
コーポレートステートメント"Foresight in sight"を掲げ、先見性と洞察力で社会課題に着目し、業界を越えたビジネスエコシステムを提供する企業の中核を目指す日本ユニシスグループ。ユニシス研究会の活動と共に、業界や企業の枠を越えたパートナーシップを通じた新たな価値の創造と、今後の取組み、展開に注目したい。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )