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2017/04/05

【SAS Institute Japan】来日インタビュー!不正対策コンサルタント、デレク・ワイルド(Derek Wylde)氏、金融業界における不正対策の最新動向とは

| by:サイト管理者


 昨今、不正行為や金融犯罪は、多くの企業や組織が直面する最大級のリスクのひとつとなっており、リスク管理と不正防止の強化に向けた対策が求められている。

 2017年3月1日(水)、グッドウェイは、港区・六本木ヒルズにある SAS Institute Japan 本社において、来日中の不正対策コンサルタント、デレク・ワイルド(Derek Wylde)氏を訪ね、金融業界における不正対策に関する取組みや今回の来日の目的などについて話を聞いた。(本ディスカッションには、SASのグローバルマーケティング、アジアパシフィック担当バイスプレジデントのAlastair Sim氏ほか、SAS関係者数名も同席した。)


略歴(デレク・ワイルド氏:Derek Wylde)

1976年HSBCに入社して以来、金融サービスで幅広い経験を積み上げ、クレジットカード不正防止フォーラム議長、マスターカード英国セキュリティ委員会委員長、マスターカードヨーロッパ不正諮問会議の英国代表を歴任。

現在はフリーの不正対策コンサルタント兼アドバイザーとして不正取引の防止と検出に関する議論を重ね、不正リスクを軽減する新しいテクノロジーの理解に率先して取り組んでいる。


【グッドウェイ】今回の来日の目的について教えてください。

【デレク氏】これまで長きにわたり金融機関の不正管理の分野でポリシーや戦略に関わり、UKおよびヨーロッパを中心に活動してきましたが、今回、SAS Instituteと共に同分野のアジアでの啓蒙活動として、幅広く理解してもらい、議論を進めるため金融機関と意見を交わし、新しいテクノロジーやアナリティクスを活用した不正対策に臨んでいくべく来日しました。

【グッドウェイ】ApplePayやUberなど、新たな決済手段やサービスのユーザーエクスペリエンスが登場する中、新たな不正の出現やその脅威について、どのように向き合っていけばよいのでしょうか。

【デレク氏】おっしゃる通り、世界はデジタル化に向かっており、消費者も犯罪者もこの波に乗っています。消費者からの期待と利便性や俊敏性が求められる中、ビジネスは常に進化しており、これまでの想定を超えるリスクや脅威が出現するという課題に対して適切な防衛体制を組むためにも、新しいサービスや商品に関する理解を深めるためのビジネスマネージャーへの教育の重要性が高まっています。

【グッドウェイ】そのような中で、適切な防衛体制を組むための投資対効果(予算化)について、どのように考えればよいでのでしょうか。

【デレク氏】4つのキーファクターがあります。①不正による直接的な損失額の回避、②風評被害がもたらす損失の回避、③規制当局との信頼関係の維持、④顧客との信頼関係の維持、といったそれぞれの観点から、どこにどれくらい投資すべきかを考えていくことになります。

Alastair Sim(SAS)、以下アル氏投資を検討するにあたり、不正発生のプロセス、人のスキル、アナリティクスを活用したテクノロジーの3つの観点からデータサイエンティストの役割が高まっており、ビジネスと不正対策を共に理解する人材を育てることも重要です。

【デレク氏】精度の高いアナリティクスの実現により、不正が起こりがちな業者・店舗、時間帯、場所の情報のほか、顧客の消費傾向や使い方などの情報を捉えてモデル化し、過去のパターンをもとに、将来の消費傾向を予測することで実際の動きと照らして不正を検知することも出来るようになります。

【グッドウェイ】昨今、不正対策と共に、サイバーセキュリティーの分野も重要なファクターになっていますね。

【デレク氏】そうですね。サイバーセキュリティーの分野についてはIT部門との連携が欠かせません。金融機関のリテールの分野ではクレジットカード情報の流出なども度々起きており、マスターやビザなどが共同で策定したPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standards:グローバルセキュリティ基準)による運用管理などと共に、不正対策とも密接な関係にあります。

【グッドウェイ】フィンテックを背景に金融機関とのAPIやデータ連携が広がる中、金融機関以外の事業会社やベンチャーも消費者への金融サービスを手掛けはじめています。このあたりで注意すべき点はありますか?

【デレク氏】新興のフィンテック企業においては、従来の金融機関に比べて、新しい画期的なサービスを生み出すことを優先するがゆえに、リスクや脅威、不正に対する十分な注意が払われていないケースなどナイーブなところもあるかもしれませんのでしっかりとした啓蒙活動が必要です。一方で、金融機関にとっても、フィンテック企業は消費者との中間的な橋渡し役として、より大きなビジネスのイネイブラーとなる存在でもあり、規制当局も注目し、しっかりと監視をしていかないといけないという流れにあります。

【グッドウェイ】不正対策におけるビッグデータやAIの活用状況について教えてください。

【デレク氏】不正対策の分野でのビッグデータ活用は、最近に限らず長年にわたって使われているものです。高度なアナリティクスによって飛躍的に素晴らしい成果が得られることも実証されており、AIの活用にも期待が持てます。一方、国境を超えるデータのやりとりに伴う懸念も増大し、膨大なデータを扱う上で、ガバナンスを確立し、カスタマーエクスペリエンスを劣化させることなく、また、信用供与などでカスタマーに不利になるようなことがないよう、留意すべき点も多くあります。

アル氏デジタルテクノロジー、ソーシャルメディアがますます活用されていく中で、リスク管理部門とマーケティング部門が連携し、カスタマーに対するシングルビューを完成させることにより、カスタマーをより深く知ることが重要です。その中に、不正を起こす犯罪者が含まれていることもあり、AIおよびディープラーニングを活用することで犯罪者との関連付けといった分析も重要になっています。

【グッドウェイ】ありがとうございます。オープンデータやブロックチェーンを活用した情報共有などが広がる中、今後のSASの取り組みとデレクさんが捉えている現状の変化の局面に対するコメントを頂けますか。

【デレク氏】オープンデータの活用をはじめ、新しいサービスが次々と生まれ、非常に変化が速い時代において、不正は常に弱い点を突いてくるので、課題やリスクは尽きません。また、ブロックチェーンがもたらすアドバンテージはとても大きいものではありますが、根本的に本人が行っているかどうかという認証自体がまだ完全に解決出来ていない部分もあり、引き続き、しっかりと強化していかなければいけません。

アル氏技術や仕組みが変わる中で、人間自身も変わっていかなければなりません。リスクだけでなく技術にも精通し、次に起こる先を予見できる広い視野を持つ人材が求められています。技術革新により常に変化するビジネスモデルに対してアナリティクスを活用できる新しいタイプの不正対策マネージャーの育成が非常に重要であり、その支援に向けたソリューションを提供していきたいと思います。

【グッドウェイ】本日は貴重なお話をありがとうございました。

【デレク氏】ありがとうございました。



 経営課題解決を支援する為のビジネス・アナリティクス・ソフトウェアのリーディング・カンパニー SAS Institute。2017年2月16日(木)には、代表取締役社長 堀田 徹哉氏より、2016年の SAS Institute Japan のビジネス総括と、日本市場でアナリティクスをより浸透させるための2017年度のビジネス戦略、今後の製品/ソリューション展開について説明が行われた。AI、クラウド、IoTにおいても大きな投資を行っていくというSAS Instituteの今後の展開に注目したい。

(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )




15:54 | 写真:金融・IT業界向け




 

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