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2018/03/29

【全国銀行協会ほか】政策金融のあり方について

| by:ウェブ管理者
1.現状
 これまで全国銀行協会(以下「全銀協」という。)、全国地方銀行協会(以下「地銀協」という。)、第二地方銀行協会(以下「第二地銀協」という。)、全国信用金庫協会(以下「全信協」という。)、全国信用組合中央協会(以下「全信中協」という。)は、政策金融機関のあり方に関して、「民間にできることは民間に委ねる」という「民業補完」を原則とし、この民業補完が適用されるケースを「危機時」と「平時」に区分して考えた場合、前者においては、世界的な経済危機や大規模な自然災害からの復旧・復興支援等、そのインパクトが甚大かつ影響期間が想定し難いケースに限定されるべきであり、また、後者においては、信用リスクの観点から民間金融機関が十分にリスクテイクできない企業に対する支援に限られるべきであると主張してきた。確かに、会員の取組みでは、本来政策金融機関に期待される分野において、政策金融機関との連携・協業の好事例が多数確認されるが、その一方で、競合事例についても数多く報告されており、全体としては遺憾ながら必ずしも「民業補完」の原則が徹底されているとは言い難い状況にある。

 実際のところ、政策金融機関の役割が期待される中小企業の再生ステージ等において、政策金融機関と民間金融機関の間での意義深い連携・協業の取組みが見られ、会員の中には、このような事例を好事例として行内に広く共有、政策金融機関との連携を促進している例がある。他方、都銀、地銀協、第二地銀協での調査では、業態を問わず、多数の競合事例が見られる。例えば、都銀2行の調査(両行ともに悉皆的な調査ではなく、調査方法は異なる)においては、それぞれが個別に調査した結果の単純合算であるが、合計で277件の競合事例があるとされている(昨年実施の調査。うち日本政策金融公庫168件、商工組合中央金庫80件、日本政策投資銀行26件、等)。また、地銀協の調査では424件(同左。うち日本政策金融公庫260件、商工組合中央金庫109件、日本政策投資銀行5件、等)、第二地銀協では同129件(同左。うち日本政策金融公庫74件、商工組合中央金庫49件、日本政策投資銀行1件、等)の事例があると報告されており、いずれも日本政策金融公庫および商工組合中央金庫の事例が多く、競合状況が課題となっている。競合の要因としては、会員より、民間金融機関が本来手がけることのできる分野に対し、政策金融機関によって民間金融機関の金利や市場レートとは大きく乖離した低い金利が適用されているといった制度面、あるいは民間金融機関によってすでに組成段階にある案件や正常先等への営業提案といった運用面の両面からの指摘が挙げられている。このうち、制度面について金利を見ると、競合案件においては、政策金融機関の適用金利が民間金融機関の半分程度との分析がある。民間金融機関の中には、政策金融機関との協業の結果、政策金融機関の提示する低い金利が既存融資取引を含めた金利条件のベンチマークとなってしまうケースも見られ、円滑な官民協調の妨げとなっていることもある。また、この制度面については、危機対応の対象事象や適用期間が適切であるか、平時において創業・起業といった政策的サポートや再生支援等の官の支援が期待される分野以外に多くの制度がないか、検証される必要もあると考えられる。


原文はこちら
https://www.zenginkyo.or.jp/news/detail/nid/9411/



15:05 | 金融:銀行
 

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