2016年9月30日(金)、一般社団法人 仮想通貨ビジネス勉強会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の会議室において、「自主規制団体を見据えた幹事団結成および意見集約の方針などに関する意見交換会」を開催した。
意見交換会には、仮想通貨事業者8社と金融商品取引業者4社が出席し、各社の参加者からそれぞれの会社紹介や事業内容、現在の課題意識などについて発言。今後の当局や法規制に向けて検討すべきテーマや優先順位などについて意見が交わされた。
冒頭に、幸氏より、参加者へのお礼の言葉と共に、今後、協力仮想通貨業者会員(仮想通貨事業者)、正会員(金融商品取引業者)といった括りをなくす方向で組織変更を検討していることを明かし、自主規制団体を見据え、機動的に動くための分科会の設置、および幹事団の結成について呼びかけた。
続いて、奥山氏より、意見交換に先立つ頭出しとして、今後の登録の準備にあたり、仮想通貨の指定、説明の平仄、ウォレットを含めた実態と法制度のギャップのほか、過去にFXで起きたような業者間のコンセンサスができない中で当局との対話が遅れ意図せぬ規制がかかったという経緯を指摘。今後、金融商品取引業者と仮想通貨事業者が同等の目線で双方の知見を集約し、健全なマーケットを育んでいく苗床とすることにより、テクノロジー、業務の運営、会計、税務、法律のあるべきフレームワークやボーダーラインの設定など、しっかり議論して意見集約を進めていくことは業界にとって意義あることだとした。また、今後の活動のアウトプットについて、特に優先順位の高いテーマとして、取扱対象の説明、本人確認、区分管理、顧客への注意喚起、の4点を例に挙げた。
また、その他にも、KYC(Know Your Customer)やPEP(Politically exposed person)などバックオフィス対応への負担増加によるコスト転嫁への懸念や、信用取引の貸金や空売り時の金利、レバレッジ、派生商品や投資信託/ETFへの応用に伴う最低限必要なルールに関する団体目線でのコンセンサス形成が必要とする声が出された一方、新たな仮想通貨の定義を決めてもそのカタチ自体が変化しバランスをとり続けることは簡単ではないとする声や、既に事業を手掛けている仮想通貨事業者におけるフレームワークづくりに向けた連携へのスタンスなど、それぞれの立場における温度感の違いを認識しておくことを指摘する声も出された。
この日は、意見交換会に続き、仮想通貨ビジネス勉強会「9月度の勉強会」が開催された。基調講演「通貨・仮想通貨の未来像」では東京大学 経済学研究科 教授 柳川 範之氏が登壇、講演「仮想通貨制度に関する経過報告」では増島氏が登壇したほか、パネルディスカッション・質疑応答では、マネックス証券 執行役員 三根 公博氏、柳川氏、増島氏、畠山氏、宮口氏が登壇、幸氏がモデレータを務めた。
仮想通貨ビジネス勉強会は、銀行・証券会社・金融商品取引業者が、日本国内において仮想通貨ビジネスをはじめるにあたり、テクノロジー・会計・レギュレーション・商慣行などの面から、必要な情報の調査・研究、知見の集約、意見交換を積極的に行い、業界の健全な発展を目指すために設立され、会員向けに、勉強会への優先参加、議事録の閲覧、勉強会テーマ・講師希望の受付、メーリングリストの配信、会員相互の情報交換の斡旋を行っている。
次回は、2016年10月28日(金)に「10月度勉強会(日本銀行 金融機構局 審議役金融高度化センター長 兼 決済機構局FinTechセンター長 岩下 直行氏を予定)」を開催するという。興味がある方はこちら「団体について」を参照されたい。
(取材、撮影、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )