2018年4月26日(木)、東京金融取引所(以下、同社)は、同取引所の市場状況、施策、取組等について、同社代表取締役社長 太田 省三氏が報告するメディア向け記者懇談会を同社会議室で開催した。
会見では、3月期決算概況、今期の業務計画、施策、取組等について説明が行われ、まず決算概況については市況低迷により、営業収益が前年度比22.6%減の66.9億円、当期純利益が79.2%減の1.06億円となったことを報告。
上場商品の取引数量推移についても、主力上場商品のくりっく365が前年度比26.6%となり、これについては太田氏はボラティリティの低下や仮想通貨へのOTCも含めたFX市場からの流出の可能性を示唆した。また、金利先物取引も奮わず、取引数量は前年度比30.3%減となった。一方で、くりっく株365はNYダウの最高値更新などを背景に取引数量が大幅に拡大し、前年度比40.3%増となった。
海外投資家(台湾・香港)の獲得、次世代金利・証拠金システムの開発、金・原油を原資産とするETFの上場等に期待
30年度の業務計画について、まず各上場商品の市場環境と取引見通しについては足元の相場環境を背景に慎重な見通しとなっており、いずれの商品も昨年度と同程度、または低調な取引高を見込んでいる。
また基本方針について、くりっく365については海外投資家(台湾・香港)の獲得に努めるほか、くりっく株365については、マーケットメイカーによる流動性の確保を目標に掲げたほか、次世代金利・証拠金システムの開発を着実に進め、2019年4月~5月のリリースを目指すことで、コスト削減と利便性向上を実現したいと語った。
さらに、金・原油を原資産とするETFの上場が2019年度にずれこむ見通しも明らかにしたものの、引き続き期待の商品であるとしたほか、OTC FXのクリアリングビジネスへの参入も検討していくと述べた。
質疑応答の際に質問にあがった仮想通貨への取組について、前回の会見では金融商品として正式に位置づけられた場合、速やかにビットコイン先物を上場したい意向を表明。今回は足元の状況を踏まえやや慎重なスタンスに変化した印象もあるものの、上場商品の候補として引き続き勉強会を続けていく方針だと説明した。
高金利通貨の下落など、足元の環境は引き続き激しいものの、3月発表の「香港規制当局からのATSライセンス認可」など、中長期の経営計画に向けたさらなる事業戦略に期待したい。
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