2014年10月17日(金)、金融業界専門のリサーチ&アドバイザリー・ファームであるセレント(CELENT) は、帝国ホテル 桜の間において、バンキングとペイメントに重点を置いて、イノベーションについて議論する「セレント イノベーションフォーラム デジタル金融サービスへの取り組み」を開催した。
冒頭に、セレント アカウントマネージャー 福盛 雄也 氏による開会挨拶。日頃よりビックデータ、アナリティクス、ソーシャル、モバイル、IoT、クラウド、デジタル、オムニチャネルなど金融テクノロジーを幅広く考察しており、セミナーを通じて参加者とイノベーションへの取り組みを探りたいとした。
続いて、セレント バンキング・グループ シニア・バイス・プレジデント ダニエル ラティモア 氏による基調講演「世界のバンキングのイノベーション最新動向」ではデジタル&オムニチャネル、エマージングテクノロジーの活用例としてビットコインやペイメントにおけるエコシステム(チャネル・エコシステム・アーキテクチャ等の分野)を紹介、セレント アジア シニア・バイス・プレジデント ニール カタコフ 氏による逐次通訳で解説された。
また、セレント アジア金融サービス シニア・アナリスト 柳川 英一郎 氏による基調講演「日本の金融業界におけるデジタル&オムニチャネルバンキングの取り組み」では、日本の主要決済手段の概観に触れ、代表的な電子マネーやおサイフケータイの登場などとともに、多様化する決済手段が今後のイノベーションとしてどのように活用されているかについて解説。リテールペイメント市場における最新動向を披露した。
基調講演後、続くパネルディスカッションに先立ちネットワーキングブレイク(30分間)。コーヒーや焼菓子が振舞われる中、参加者同士で情報交換。
パネルディスカッション「デジタルバンキング/ペイメントサービスの課題と今後のあるべき姿」では、Square 日本法人代表 水野 博商 氏、じぶん銀行 商品開発部 部長 榊原 一弥 氏、アマゾン データ サービス ジャパン 技術本部エンタープライズソリューション部 部長/ソリューションアーキテクト 片山 暁雄 氏がパネリストとして登壇、セレント 柳川 氏がモデレーターを務めた。
パネルのラウンド1では、各社サービスの特徴について紹介した後にパネリスト同士で質問を行い、新サービス提供にあたりお客様の不安を取り除く方法、クラウドサービスを提案する際によく受ける懸念点、最も注力している優先事項、これからイノベーションが起きそうなエリアやフォーカスしていること、法令対応やビジネスモデルの検証、セキュリティの強化とビッグデータの活用などについてそれぞれの見解が示された。
また、ラウンド2では、イノベーションにおける創意工夫や成長のドライバーなど成功要因について問われると、イノベーションの最大の敵は実は会社の中の自分達自身にあり、パッションを持ち続けられるかどうか、リーダーシップがあるかどうか、利用者の利益のためにルールを変えていく想いを持って立ち向かっていけるかどうか、などといった意見が披露された。そして、失敗のコストを減らすためのクラウド活用、全体最適に資するストックビジネスとしてのポジショニング、Make Commerce Easy、といったそれぞれの存在意義についてメッセージと共に伝えられた。
最後に、カタコフ 氏より、まとめの挨拶。
なお、セレントでは、テクノロジーを最も有効に活用している銀行を表彰するアワード「Eighth Annual Model Bank Award」に先立ち、現在応募受付中(締切:2014年11月28日)という。詳しくはこちらをご覧いただきたい。
セレントは、マーシュ&マクレナンカンパニーズ傘下のオリバーワイマングループの一部門となるリサーチ&アドバイザリー・ファーム。銀行、証券、保険といった金融の分野でITを用いた先進事例や新たなビジネスモデルを調査し、経営戦略、IT戦略立案をサポートしているほか、金融機関やITベンダー等の会員を対象にリサーチレポートの発行や個別のコンサルティングサービスを提供している。
これまでも、「イノベーション&インサイト・デー 東京 2014」や「証券ラウンドテーブル東京2013」など、日本の金融・IT業界で活躍している関係者を招き、定期的にイベントを開催してきた。これらのイベントを通じて示された様々な情報や提言が、イノベーションにつながる見方やヒントとして広く共有・活用されていくことに期待したい。
(取材、撮影、記事:藤野 宙志 / 編集・制作:村上 遥 @株式会社グッドウェイ)
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