同イベントでは、Alibaba Entrepreneurs Fundのエグゼクティブ・ディレクターであるシンディー・チャウ(Cindy Chow)氏による講演も行われ、その中で同氏は、香港がアジアのビジネス・ハブとして競争力を維持するためにスタートアップ企業が果たすべき役割などについて語りました。Alibaba Entrepreneurs Fundは、「inspire a community of entrepreneurial achievers(起業成功者によるコミュニティを生み出す)」を旗印に、2015年に発足した非営利団体です。
2017年度のプログラムに参加したスタートアップ企業は、顧客の投資目的を忠実に実行するウェルスマネジメント ソリューション、ブロックチェーン技術を活用したKYC(Know Your Customer/顧客確認)サービス、漢字に対応したアルゴリズムにより犯罪行為の検知を支援する不正検知プログラムなど、さまざまなイノベーションを開発しています。2017年度のプログラム参加企業は、以下の10社です。
Red Pulse-香港に拠点を置くスタートアップ企業で、中国の経済および証券市場をカバーする、マーケット・インテリジェンス・プラットフォームを提供しています。機械学習と自然言語処理を用い、基礎情報の収集における自動化と拡大を図ると同時に、仮想通貨を組み込むことで、調査のためのオープンで透明性のあるシェアリングエコノミーを構築しています。
Sherlock Garden-イスラエルに拠点を置くスタートアップ企業で、金融サービス企業に対し、法令順守、倫理、機密保持などにおける違反の自動検知を支援する、コグニティブ技術を備えたソフトウェアを提供しています。ファイル形式に関係なく、コンピュータ・システムをスキャンし、直接的なリスクのみならず、倫理上やビジネスでの行動規範上、問題をはらんでいる可能性のある文字情報を自動で検知します。
アジア・パシフィック先進金融テクノロジーラボは、アクセンチュアとニューヨーク市パートナーシップ基金(Partnership Fund for New York City)が2010年に設立した同様のプログラムをモデルにしています。ニューヨーク市パートナーシップ基金は、1億5000万ドルの資金を擁したPartnership for New York Cityの投資部門です。アクセンチュアは2012年にはロンドンの12行の大手銀行と共に、ロンドン市長や他の政府機関の支援も得て「ロンドン先進金融テクノロジーラボ」をスタートさせました。2014年にはアジア太平洋地域とアイルランドのダブリンにてそれぞれ先進金融テクノロジーラボを設立しています。アジア・パシフィック先進金融テクノロジーラボに参加した企業は、現在までに合計2億7700万ドル以上の資金を調達しています。