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2015/02/20

【全国信用金庫協会】第135回通常総会における全信協会長の挨拶要旨

| by:ウェブ管理者
(経済情勢)
昨年のわが国経済は、消費税増税後の駆け込み需要の反動や天候不順などから、個人消費と設備投資が伸び悩み、国内総生産は4月以降、2四半期連続のマイナス成長となりました。直近の報道では、その後景気はやや持ち直し傾向にあり、円安等の要因もありまして、輸出型大企業や観光関連企業等が堅調で、上場企業のこの3月期の決算は、過去最高を更新する見通しとなっております。

しかしながら、地域経済は、高齢化や人口減少、空洞化といった従来からの構造的な課題を抱え、依然として停滞感の強い、厳しい状況にあります。特に、私どもの主要な取引先である中小企業におきましては、円安による原材料価格の高騰やコスト増の影響もあって、業況にほとんど改善は見られないと言っても過言でない状況にあります。

昨年末に政府が閣議決定した、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が、早期に実行に移され、景気回復の動きが地域に波及することを強く期待しているところであります。

(業界の課題)
次に、今後、私ども信用金庫業界が積極的に取り組むべき課題等について、いくつか申し述べたいと存じます。

第一は、「地方創生、地域活性化への取り組み」についてです。
最近、報じられているところによりますと、リーマン・ショック以降の円高で海外に生産拠点を移していた製造業の一部に、円安の進行から工場等を国内に戻す動きが生じております。

今後、このような製造業の国内回帰の動きが拡がるとともに、先ほどのアベノミクスの経済政策、とりわけ地域の自主性を尊重し、地域資源の活用を促す地方創生総合戦略の推進とともに、中長期的な地域経済の持続可能性が高まり、地域の活性化が進むことを心から期待しているところであります。信用金庫といたしましても、待ちの姿勢ではなく、地域社会の持続的な成長・発展をめざして、業界で従来から取り組んできている「地域活性化しんきん運動」に一段と注力し、地元中小企業の起業・創業、成長分野への進出、事業承継等を積極的に支援して参りたいと思っております。

第二は、「新3か年計画の積極的な推進」についてです。
業界では、現下の諸情勢を踏まえ、「しんきんスクラム強化3か年計画」を、本年4月よりスタートさせることとしております。同計画では、「つなぐ力」を引き続き発揮することにより、地域やお客様の課題解決に尽力するとともに、政府の成長戦略に呼応して、地域の成長・発展に向けた取り組みを一段と強化することとしております。

そのためには、何よりも協同組織金融機関として一層の独自性発揮に努めるとともに、リスク管理態勢の整備、経営の健全性確保に注力し、信用金庫自らの強靭な経営体質づくりに努めなければならないと思っております。

第三は、「預金保険料率の引き下げ」についてです。
預金保険料率の見直しにつきましては、昨年の7月から預金保険機構の「預金保険料率に関する検討会」において検討が行われ、去る1月30日に、「中長期的な預金保険料率のあり方等について」の報告書が取りまとめられました。
同報告書によれば、責任準備金につきましては、「平成33年度末に責任準備金が5兆円程度になるように積み立てを行っていく」ということを当面の目標とし、預金保険料率につきましては、「0.04%から 0.05%の間で設定することが適当である」との考え方が示されております。

また、平成27年度の具体的な預金保険料率につきましては、3月下旬開催予定の同機構の運営委員会で審議のうえ、決定されることになっております。

いずれにいたしましても、現在のような超低金利の下では、過大な預金保険料はほぼ預金利息額にも相当し、金融機関の経営を大きく圧迫しておりますので、金融仲介機能の発揮という政府の成長戦略の観点からも、同料率の一段の引き下げが実現されるよう、引き続き強く要望して参りたいと思っております。

第四は、「ガバナンスの強化に向けた業界の自主的な取組み」についててです。ご承知の通り、平成21年6月の金融審議会の中間論点整理報告書において、協同組織金融機関のガバナンス強化に向けて、総代会・理事会制度のあり方やディスクロージャーの拡充等について論点整理が行われました。その結果、金融庁から同中間報告書の指摘事項の改善に向けた自主的な取組みを促されております。

これを踏まえ、業界では、会員や地域の多様な意見を反映するための経営管理態勢の強化・充実策等について検討を行い、従来の業界申し合わせの見直し案を取りまとめ、理事会及び経営対策委員会で審議を行っているところであります。これらの問題は、信用金庫の健全かつ適切な業務運営、さらには協同組織の特性発揮という観点から、今後の発展に向けた重要な見直しになると考えられますので、今後さらに検討を重ね、理事会等で十分に審議のうえ、慎重かつ適切な対応に努めて参りますので、皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

最後に、「連帯と協調による業界の総合力の発揮」についてです。
私ども信用金庫が、地域金融機関としての社会的使命を果たし、信頼を獲得していくためには、全国の信用金庫がそれぞれの地域において特性を十分に発揮することに加え、“連帯と協調”の精神のもとで、業界が一致団結し、業界全体の競争力強化を図ることが何よりも大切であります。

そうした中で、来るべき新年度は、信金中央金庫にも協力を頂いて、複数の信用金庫から出向者を得て、現在の中小企業支援部の機能強化を図ることとしております。起業・創業や事業承継等の広範かつ高度な情報・ノウハウを業界内で共有することは、地域の課題解決に向けたコンサルティング機能の向上のために極めて有効と思われます。
このような業界の連帯と協調、総合力の発揮につきまして、引き続き皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

以上、いろいろと申し述べましたが、先ほど触れましたように、来たるべき平成27年度は、業界の新3か年計画がスタートします。全国の信用金庫がそれぞれの地域において、引き続き『つなぐ力』の効果を最大限に発揮して、地域の成長・発展に取り組むとともに、地域の会員・お客様をはじめとする様々な主体と手を携え、「高い志」と「崇高な理念」により、「真の豊かさ」を共感できる地域社会づくりを実践していかなければならないと考えております。

全信協といたしましては、信金中央金庫、地区協会をはじめとする業界関係機関との連携を一段と強化して、業界の叡智を結集し、会員信用金庫のご期待に応えられるよう、より一層努力して参る所存でありますので、よろしくご指導、ご支援、ご鞭撻を賜わりますようお願い申し上げ、本日のご挨拶とさせて頂きます。


原文はこちら
http://www.shinkin.org/news/pdf/20150220aisatu.pdf

17:04 | 金融:銀行
 

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