フィンテックは英国経済でも最も成長著しい分野であり、2018年には3,300億円もの投資を集めています。英国の金融サービス業はGDP比で世界最大であり、金融サービスの輸出額も世界トップです(2位と3位の合計額よりも多い)。クロスボーダー取引も含めて、世界の外国為替取引の37%が英国で行われており、英国は国際金融取引の中心地となっています。
2018年に、ヨーロッパでフィンテック銘柄の上場が最も多いはロンドン市場で、フィンテックの投資先トップはベルファストでした。ヨーロッパのフィンテックスタートアップの半分は英国に拠点を置いています。中には先駆的な革新を成し遂げ世界的な評価を得つつある企業も存在します。
・Funding Circle(ファンディングサークル)は英国生まれのソーシャルレンディングアプリで、今日までに
英国内で4万5,000以上の事業に46億ポンドの資金を融資しています。
・デジタル専用のモバイルバンキングアプリをリリースしたMonzo(モンゾ)は、2015年設立。
既存の銀行とは一線を画すサービスで、今では英国内に100万人以上のユーザがいます。
・TransferWise(トランスファーワイズ)はP2Pソリューションを利用して、格安の手数料で海外送金が
できるサービスを提供する英国のフィンテック企業。今ではオーストラリア、ニュージーランドの銀行と
提携して世界をつないでいます。
スコットランドの金融セクターはロンドンに次ぐ第2位で、8,000億ポンドの資産を扱っています。
・バークレイズバンクはグラスゴーに2,500人の技術職および業務職を置く計画を発表。
・ロイズ銀行はエディンバラに500人の技術職を置く計画を発表。
・ニュークリアス・ファイナンシャル(Nucleus Financial)はロンドン証券取引所に上場を果たし、
フリーエージェントは2016年に上場した後、スコットランドロイヤルバンクに買収。
・グラスゴーのストラスクライド大学は、フィンテックアクセラレータの構築計画を発表。
・スコットランドロイヤルバンクはエジンバラ大学ベイズデータテクノロジーイノベーションセンターに データチームを配置。
・エジンバラに本社を置いているフィンテック会社FNZはある取引において売り出されたところ、 同社の評価額が16.5億ポンドとなった。その顧客には、アバディーンスタンダード、バークレイズバンク、 ロイドバンクなどがある。
英国でフィンテックが盛況な理由は、世界の他のどのクラスターと比較しても、圧倒的に資本、規制当局、人材を利用しやすいからです。
1. 成熟したエコシステム
英国では、企業(金融機関やスタートアップ等)、政府、非営利団体等、様々なプレイヤーが密接に結びつき、相互に関係しながらイノベーションを起こす仕組みが成熟しています。89,000社の金融機関と1,600社以上のフィンテック企業が、刺激を与えあいながらビジネスをしています。
2. 先進的な政府の政策・規制
英国政府は次世代デジタル・インフラの開発・導入を推進することを目的として10億ポンド超の投資を行うことを約束しています。FCAと呼ばれる金融の規制当局が、イノベーション・ハブ(Innovation Hub)やレギュラトリー・サンドボックス(Regulatory Sandbox)等、金融業界におけるイノベーション促進策を実施しています。EYによる最新のグローバル調査によると英国は最も先進的なフィンテック政策体制であることが明らかとなりました。特にスコットランドには地方政府独自の研究開発費助成金制度が充実し、2018年スコットランドのフィンテック企業の数は3倍に増加しました。
3. 多様な人材
英国のフィンテック関連就業者は75,500人以上で、2030年には105,500人を超える予定です。英国政府は、優秀な人材をフィンテック分野に継続的に供給すべく全国の主要大学へ投資しており、各地の大学でフィンテック専門コースが設立されています。英国のフィンテック業界団体であるInnovate Financeは、EU離脱後の移民システムが外国から優秀な人材を引き付ける妨げにならないよう、法制度の確認を行っています。
4. フィンテック・サービスの需要
英国では10人中9人はデジタル化された取引を選択しており、この割合は欧州のどの国と比較しても群を抜いています。モバイル決済、デジタル送金、P2P融資は英国で最も利用されているフィンテック・サービスです。英国国民の42%がスマートフォンを使って毎月の料金の支払いを行っており、この割合もフランス、ドイツ、スウェーデンなどのほとんどのEU諸国よりも高いといえます。
5. トップレベルの資本投資
イギリスにおけるフィンテック企業への投資は3,300億円となり、中国を抜き、アメリカに次ぐ世界第2位となりました。英国政府のシード・エンタープライズ・インベストメント・スキーム(SEIS)により投資家は50%の所得税免除、キャピタルゲイン非課税、相続税免除となることが、世界の投資家を強く引き付けています。
6. 英国全土に広がる強力なフィンテックの地域拠点
英国はフィンテックの地域拠点ネットワークがあり、各拠点が専門性と卓越性を追求できる現地の強みを十分に活用しています。AIからサイバーセキュリティ、ロボット工学、ブロックチェーンに至るまで、英国全土の都市が連携して才能とイノベーションに富んだ世界的なエコシステムを提供しています。英国政府は、都市部に限らない全国的なフィンテックプログラムの実施を行い、エディンバラ大学の情報学部は欧州最大規模で、多くの有能な人材が輩出している点やオペレーションにかかる費用はロンドンよりもはるかに低く抑えることができることが評価され海外からのフィンテック企業の進出が相次いでいます。
参考リンク:
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名称 | 「Future of Financial Services Award」
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応募締め切り
| 2019年8月21日(水) |
主催 | 駐日英国大使館 スコットランド国際開発庁 |
対象 | ・金融テクノロジー関連企業(ウェルステック、インシュアテック、レグテック、決済、 ブロックチェーン、サイバーセキュリティーなど) ・本社所在地が日本であり、英国未進出の設立1年以上の会社 ・将来的に英国でのビジネス展開にも関心を持つ企業 |
選考方法 | オンラインで提出されたお申し込みフォームと、4分のピッチ動画(任意)を英国国際通商省とスコットランド国際開発庁の専門家が審査 |
選考スケジュール | 8月21日(水) 受付終了 8月27日(火) 選考結果通知 9月 5日(木) 英国大使館にて授賞式予定
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受賞賞品
| 1. 5日間の英国(ロンドン&エディンバラ)フィンテック視察(2019年12月上旬予定) 2. 駐日英国大使館での関連イベント参加 3. 各種メディアへ受賞ニュース掲載
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