金融&IT業界の情報サイト
 
 
 

(VOL.280)PTSからの派生と革新、先駆者の失敗が創る一歩先の世界URL
ウェブ管理者2011/09/13 09:16:05

<PTSからの派生と革新、先駆者の失敗が創る一歩先の世界>
◎2011年9月13日(火)更新


2011年9月12日、カブドットコム証券は、私設取引システム「kabu.comPTS」運営業務を2011年10月31日(予定)に終了することを決定したと発表した。


これにより、システム資産の除却等で約2.6億円の特別損失を計上するが、月額約6,000万円の運営コストが無くなるため、営業利益を約3億円増加させる効果を見込んでいるという。


PTSとは、Proprietary Trading System(私設取引システム)の略で、日本では日本版金融ビッグバンにおいて1998年12月の証券取引法の改正で認可業務としてシステム運営が解禁となり、取引所集中義務が撤廃されたことにより、市場間競争によって投資家の利便性がさらに向上(取引時間の拡大、小数点等の独自の呼値の刻み、高速取引など)されることを目的に認められ、カブドットコム証券では2006年9月、国内で初めて金融商品取引所と同様の競売買(オークション)方式を採用して業務の運営を開始した。


今回、残念ながらサービスを終了することになるが、約5年に亘るPTS業務の運営により、高速な電子証券ネットワーク接続、SOR(スマートオーダールーティング)、レンディング(貸株取引)業務の拡大など、ブローカーとしてのノウハウを蓄積した点は他社には無い大きな優位性を得たと言うこともできる。


カブドットコム証券以外でも、インスティネット証券、マネックス証券「マネックスナイター」、SBIジャパンネクスト証券、松井証券「即時決済取引」、大和証券「ダイワPTS」、チャイエックスジャパンなど、それぞれ特徴を持ったPTSを運営しており、今後の動向に注目が集まる。


2011年9月6日、野村ホールディングスは、チャイエックス・ジャパンの2011年8月の取引状況について、月間売買代金は前月比48.5%増の7,865 億円に達し、月次の実績としては過去最高を記録、日経平均株価構成銘柄におけるマーケットシェアも売買代金ベースで2.83%、売買高ベースで3.03%と記録を更新したと発表した。


2011年8月26日、松井証券は、2011年10月中旬(予定)から、松井証券の店内で対当した注文を大証の立会外市場であるJ-NET市場に取り次ぐことで『即時決済信用取引』を実現、これまで2008年5月12日よりPTSを利用して実現していた『即時決済現物取引』もこの新しい仕組みで再スタートするため、現在のPTSで提供する即時決済現物取引は、2011年9月中旬をもって終了を予定しているという。


IT化とグローバル化、そしてスピードと変化が求められる時代を背景に、前例が無く採算計画を事前に確定・把握することが難しい新分野におけるビジネスチャンスの芽は世界中に広がっている。失敗を恐れずに先駆者となることで、失敗したものにしか学ぶことの出来ないノウハウと経験を獲得し、ゆえにレベルアップした次世代のビジネスモデルをどこよりもいち早く構築する、常に一歩先の世界を見据えて、今を挑戦していきたいものである。


<お薦め:関連コラム>


(VOL.269)同一保証金で信用日計り取引が何度でも、第二幕に注目!
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bboosbyf2-74/#_74


(VOL.252)拡大する私設市場PTS、最良の市場を選択して執行する「SOR注文」
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bbev2dd1c-74/#_74


(VOL.216)瞬時に最良価格で自動執行、SOR
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bbf6vghr4-74/#_74


(VOL.199)目指せ付加価値向上、市場運営会社の新たな取組み
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bbadbh6bt-74/#_74


(VOL.171)投資家の目線、ISV取引プラットフォームの存在
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bbw80sbvz-74/#_74


(VOL.153)急転する取引所の再編、次世代リテールシステムの行方
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bbeani92n-74/#_74


(VOL.133)瞬時に市場がつながる、SOR(Smart Order Routing)の広がり
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bbs1ljbxe-74/#_74


(VOL.131)そろり拡大が続くPTS市場、認知向上と流動性の高まりに期待
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bbx567vg7-74/#_74


(VOL.95)そろり成長するPTS市場、執行価格の改善と流動性向上へ 
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bbjyvgntn-74/#_74


(VOL.39)ジャパンネクストPTSの日中売買代金150億円突破に見る期待値
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/bb0vrvs2z-74/#_74


-以上-


コラム一覧

最新ニュースヘッドライン

投資家や金融業界に向けてイベント、サービス情報など配信中!



【コラム筆者】 
藤野 宙志(ふじの ひろし) 株式会社グッドウェイ代表取締役社長

日刊コラム1995年慶應義塾大学理工学部卒業後、キヤノンマーケティングジャパンでシステム開発に4年間従事。
1999年SBI 証券で業界初の日米間オンライン証券取引システムの立上げを手がける。ナスダック・ジャパンでは日米印3カ国オフショア開発を担当、新興市場創出の調整役として証券業界を奔走。2002年シンプレクス・コンサルティングでセールス担当、FXシステムを多数導入。2010年6月より現職。金融サービス&ITソリューション総合情報プロバイダーとしてポータルサイトを運営。


注)当コラムに掲載された情報の正確性・完全性については最善を尽くしておりますがその内容を保証するものではありません。
 当コラムは、特定の商品、企業への投資を推奨するものではありません。当コラムの情報を元に投資をし、損害が生じたとしても、執筆者及び執筆者の属する団体は一切の責任を負いません。
 その他、当コラムを利用したことに起因又は関連して生じた一切の損害(直接的であると間接的であるとを問わない)について、執筆者及び執筆者の属する団体は一切の責任を負いません。

 

【免責事項】
サイト掲載情報の正確性、および完全性については最善を尽くしておりますが、その内容を保証するものではございません。また利用者が当サイト、およびサイトに関連するコンテンツ、リンク先サイトにおける一切のサービス等を利用されたことに起因、または関連して生じた一切の損害(間接的、直接的を問わず)について、当社、当サイト、投稿者および情報提供者は一切の責任を負いません。

Copyright © 2010- GoodWay Inc. All rights reserved.