<金融業界の再編、次世代証券基幹系システム化の流れ>
◎2011年7月28日(木)更新
2011年7月21日、だいこう証券ビジネスは、7月21日開催の取締役会において、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が現在使用している証券バックオフィスシステムを固定資産として約80億円で取得し、証券バックオフィスシステム (基幹系システム)および業務サポートサービスの提供を開始すると発表した。
だいこう証券ビジネスは、証券会社設立支援コンサルティング、証券事務アウトソース、取引所への発注・約定や決済、口座管理・振替など金融商品取引業を行うクリアリング(金融商品取引業)、有価証券や契約書等の重要書類の保管、配送、帳票印刷や封入・封緘等のメーリング業務を行う保管/配送/メーリング、有価証券を担保とした融資を行う証券担保ローン、証券・金融業界に特化した人材紹介サービスなどを行っている。
今後、「証券業務の総合的プラットフォーム」として証券会社の設立からシステムサポート、業務運営に至るまで証券会社の運営を包括的に支援する「Dream-S&S」プロジェクトを推進し、先ず三菱UFJモルガン・スタンレー証券をファースト・ユーザーとし、今後は当該証券バックオフィスシステムと業務サポートを利用する証券会社の拡大を目指していくという。
証券バックオフィスシステムの提供では、野村総合研究所(NRI)の「STAR」、大和総研ビジネス・イノベーションの「Financial Plate」 、日本電子計算(JIP)の「SIGMA21-X」の他、岡三情報システムと日本ユニシスが共同で提供する「ODIN」、CSKの「ESTREX」、SBIトレードウィンテックの「FLARE」、ファイナンシャルブレインシステムズ(FBS)の「MetaOffice(R)/Securities」などが主に従来の系列証券会社を軸に利用されてきたが、近年は次世代証券基幹系システム化に関する検討がそろり進み始めている。
震災によるコンテンジェンシープランの策定、システムのクラウド化、バックオフィス業務の効率化と低コスト化など、激しい競争が続く金融機関にとって今後の基幹システムに関する見直しと戦略的な位置づけは金融機関の生命線を握るカギとなり、多様化する商品の対応やグローバル事業展開など将来を見据えた慎重な検討が必要となる。一方、基幹システムは制度対応など運営コストが膨らみやすく、いかに多くの利用証券会社を獲得できるかがサービスの継続性とレベルアップにつながる。再編が続く金融業界において基幹システムの行方にも注目していきたい。
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