<トレーディングツールの進化とリスク管理、GPUの金融活用事例>
◎2012年3月14日(水)更新
2012年3月13日、マネックスグループは、米国子会社トレードステーション社が米国の投資家向けにDow Jones社が週刊で発行している金融情報紙「Barron’s」によるオンライン証券セクターの年間評価ランキングの総合評価として最高格付を取得したと発表した。
Charles Schwab, Fidelity, E*TRADE, Interactive Brokers, TD Ameritrade などオンライン証券27社中、自社開発で提供するトレードステーション(株式・先物・オプション・FX取引ツール)に対するアクティブトレーダーからの評価や、投資家が多様なテクニカルやファンダメンタルズのデータを用いて独自の取引システムを構築できる点などが高い評価を受けたという。
2012年3月13日、レクセム証券(旧121証券)は、RobotFX Pro(MT4)取引プラットフォームに、「ワンクリックパネル」や「マーケットデプス」機能を追加できる専用プラグイン「OneClickTrading」を提供すると発表した。これにより、MT4においてワンクリック約定や一括決済も可能となり、さらに、マーケットデプス(板情報)で指値注文の状況や市場の流動性をリアルタイムで把握することが可能になるという。
2012年3月9日、カブドットコム証券は、2012年3月30日(金)(予定)から、先物OPリスク管理ツール「先物OPナビ」の提供を開始すると発表した。
これにより、日経平均オプションの理論価格や先物・オプションの損益の算出が可能となり、ポジションの組み合わせによるリスクカーブの把握が出来るようになるという。また、既存建玉のポジション調整といったナビ機能、リアルタイムなポジション全体のGreeks(デルタやガンマ、セータ、ベガ)、証拠金の毀損状況に応じて色合いを変えることでポジションリスクを把握(値動きに応じた証拠金毀損状況を可視化)出来るようにするため、主にパソコンの画像描画に使われる半導体チップで高速浮動小数点演算に長けているGPU(Graphic Processor Unit)を用いたことで大量の演算を高速かつ安価に実現したという。なお、今回採用されたGPUは、日本ヒューレットパッカード社の最新鋭GPUサーバ(HP ProLiant SL390s G7 2U/NVIDIA Tesla M2090)。計算能力は単精度浮動小数点計算において、1.5テラFLOPS(1秒間に1.5兆回の演算)と、1年前のCPU(2.4GHz・4コア) 40台分に相当するという。
震災後の日経平均の大幅下落により、オプション売建を中心とした決済損およびその不足額の発生は、多くの投資家と金融機関に大きな経済的ダメージを与えた。
素早い値動きに対してリアルタイムなモニタリングと即時の判定と執行処理が求められる高度なリスク管理の仕組みと進化、今後、GPUの金融活用事例が様々な金融資産のプロテクターとして広がっていくことに期待したい。
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(VOL.346) グラフィックスから金融へ、GPU活用による技術革新
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