(VOL.651)海外展開を推進する日系ベンダー、信用の創造/外貨と決済
2013年3月19日、野村総合研究所(NRI)のグループ会社であるノムラ・リサーチ・インスティテュート・ヨーロッパ(本社:ロンドン)は、本年2月21日、ルクセンブルク大公国において、ノムラ・リサーチ・インスティテュート・ヨーロッパ ルクセンブルク支店を設置したと発表した。ルクセンブルクは欧州の金融センターとしての地位を確立しており、近年はICT(情報通信技術)、電子商取引、および医療技術や環境技術などを活用した新しい産業の支援にも力を入れ、多くの日系企業が同国に進出しているという。現地で活動する日系企業および他のグローバル企業に対して、システムソリューションサービスを提供する。
2013年3月11日、東芝ソリューションは、4月1日付でシンガポールに拠点を開設し、ASEAN地域における事業活動を開始すると発表した。発展・成長を続けているASEAN地域における東芝グループ各社、日系企業ならびに現地企業に対し、ICTソリューションを提供していくという。また、ASEAN地域に近接したインドとベトナムにある東芝グループのソフトウエア開発拠点(東芝ソフトウエア・インド社および東芝ソフトウエア開発ベトナム社)の活用により、高品質でかつ低コストのSIサービス実現を目指す。
2013年1月11日、ISIDは、ASEAN地域でさらなる事業拡大を目指しシンガポール現地法人(ISIDシンガポール)を中核に拠点網を拡充、インドネシアに現地法人(ISIDインドネシア)を設立するとともに、タイ現地法人(ISIDタイ)の事業を再開、2013年4月より営業開始(予定)すると発表した。同地域への進出が続く日系の自動車メーカー、部品メーカー、電機・精密メーカーや金型メーカーなどの海外事業拡大を支援するための製品設計・開発支援ソリューションの現地での販売・導入・サポート体制を強化するともに、電通および電通グループの各国拠点とも連携し、主に流通・小売業界を対象にマーケティング・CRM領域等での顧客開拓を図っていくほか、日系金融機関のASEAN展開を支えるソリューションや、会計・人事などの基幹業務系ソリューションの提供も計画しているという。
クラウドやITサービスを活用したソリューションを提供する企業による海外市場への進出が広がっている。進出スキームには、サービスプロバイダーとしてゼロから市場開拓を目指す、ベンダーとして日系企業の進出を支援する、現地企業とコラボレーションするなど様々ある中、異なる文化と慣習を持つ相手とのビジネスにおける信用の創造、個人・法人共に海外と密接な関係がある外貨と決済という要の分野においては、既に世界のディファクト化や囲い込みに向けたサービスの競争が始まっている。果敢に海外への展開を推進する日本のベンダー企業、日本の得意分野を活かし世界標準で通用する新たな価値の創造とイノベーションに期待したい。
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