<リスク管理、進むクラウド化とソリューションサービス化>
◎2011年9月8日(木)更新
2011年9月7日、IBMは、Algorithmics社を3.87億ドル(見通し)で買収することについて最終合意に達したと発表した。
Algorithmics社はカナダのトロントに拠点を置くリスク分析ソリューションの大手グローバル・プロバイダー。市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスクに加え、担保管理や資本管理などのソリューションで多くの実績を持っており、アリアンツ・グループ、ブルークレスト、HSBC、ネッドバンク、ノムラ、ソシエテ ジェネラル、スコシア・キャピタルをはじめ、大手銀行トップ30行のうち25行や大手保険会社など350社以上の顧客を有し、フランスのパリに本拠地を置く持ち株会社Fimalac社が株式の過半数を所有するFitch Groupのグループ会社の1つ。
これにより、IBMは、銀行や証券会社、保険会社など向けに、市場リスク、流動性リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、保険リスクなどの様々な金融リスク管理におけるビジネス・アナリティクス・ソリューションを拡充し、世界的な金融危機が発端になった規制強化に対し、融資や市場、信用に関連する業務リスクを測定、診断できるようにすることで、事前に金融リスクを詳細に分析して可視性を高めることで、規制上の要件を満たすようにするという。
2011年9月5日、野村総合研究所は、資産運用フロント・ミドルソリューションの「T-STAR/GX」を、クラウド環境上で稼働させる新たなサービス「T-STAR/GX on T-MONOLIX」としてサービスの提供を開始すると発表した。
「T-STAR/GX」は資産運用会社向けのバックオフィスソリューション(T-STAR/TX、T-STAR/RX、SYNTAX)と接続し、資産運用業務に特化したデータウェアハウス機能を提供するソリューション。
NRIのデータセンターに設置した共通ネットワーク基盤である「T-MONOLIX基盤」でNRIが運用・監視を行うことで、顧客企業のニーズ・規模の拡大に合わせ、CPU、メモリー、ディスクなどのリソースの追加を柔軟に行えるようになるだけでなく、DR(災害復旧対策)、データ遠隔地保管サービスもサービスとして提供するという。
想定を超える大きな災害や事故などが実際に相次いで起こっている昨今、未然にリスクを把握し、データ喪失の危険性を回避すると共にビジネスやサービスの継続性を維持するための事前準備の重要性は高まっており、クラウド化とソリューションサービス化が進んでいる。企業としてのDR(disaster recovery)、BCP(business continuity plan)への備えに加え、投資の世界においても、金融機関、個人投資家共に市場の変動やシステム障害などの万一に備えたリスク管理に対する感度を高め、あらためて日頃から、いざと言う時の対策に手を打っていく努力を継続されたい。
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