<金融取引マルチバンク・ポータルの登場、収益の行方は>
◎2011年6月17日(金)更新
2011年6月16日、新日鉄ソリューションズは、2011年6月よりドイツ「360 Treasury Systems AG」社が展開するマルチバンク・ポータルを活用した金融機関、FX業者向けFXビジネスソリューションの提供を開始すると発表した。
「360 Treasury Systems AG」社(ドイツ:2000年設立)は、100以上の銀行がリクイディティ(市場流動性)を提供し、750以上のバイサイドの顧客が利用しているマルチバンク・ポータルを運営。同ポータルでは外国為替、マネーマーケット、金利デリバティブ、貴金属等の取引が可能で、FIXやXMLにより財務管理システムとのSTPを実現するなど様々な電子取引サービスを提供している。
実需取引、外貨預金、FX取引など為替市場の拡大に伴い、安定した為替レートの提示と為替ポジションの的確なヘッジを複数のカバー先銀行(マーケットメーカー)と効率的に取引を実現するシステムを低コストで運営することができるかどうかが金融機関やFX業者の収益拡大のカギを握っている。
これまでは、カバー先銀行を増やすたびに個別開発するなどシステム連携による運営費の増加が重い負担となっていたが、「360 Treasury Systems AG」社のマルチバンク・ポータルと接続により同ポータルがグローバルで接続している100行以上のマーケットメーカーとの接続が可能となる。
新日鉄ソリューションズは、50社以上の金融機関向けトレーディングシステムやリスク管理システムの導入を手がけた経験を活かし、取引レートの安定的な提示、為替ポジション、損益算出とそれに伴うヘッジ取引の自動執行など総合的なFXビジネスソリューションの提供を開始し、初年度2億円、3年後に5億円の売上を目標としているという。
日本では、SBIリクイディティ・マーケットがリクイディティを担保したFX取引環境を提供するマーケットプロバイダーとして2008年11月に参入、現在のカバー先銀行は計21社。また、セントラル短資FXは、2011年4月4日より松井証券の店頭FX取引システムに対しサービス提供を開始したAPI ( Application Program Interface ) 接続による同業他社とのカバー取引事業を行なっている。
メモリーデータベースを活用したインターネット取引システムの高度化、世界で100以上の銀行がリクイディティ(市場流動性)を提供するマルチバンク・ポータルの登場など、常に進化する金融コンポーネントをどのように組み合わせ、投資家と業者それぞれの目線でいかに高い付加価値を見出し、新しく有益なFXサービスとして事業化を図っていくか、今後の各社が事業として目をつける市場、技術、アイデア、収益の行方に注目していきたい。
-以上-