<ネット証券市場と消費者意識、将来の金銭的不安を乗り越える>
◎2011年11月29日(火)更新
2011年11月25日、日本証券業協会は、2011年9月末においてインターネットを通じて証券取引を行っている証券会社の状況を取りまとめた調査結果を発表した。
調査対象企業数は289社、うちインターネット取引を行っている証券会社は51社(17.6%)と前回の2011年3月末調査時と比べ1社減少、準備中は2社(0.7%)、検討中は3社(1.0%)、残る233社(80.6%)は予定していない。
一方、インターネット取引の総口座数は1,696万口座と前回調査時から約49万口座(3.0%)増加、信用取引口座数は82万口座と前回調査時から約2万口座(2.9%)増加、うち有残高口座数(残高1円以上の口座数)はそれぞれの約70%弱に相当。
また、年代別の有残高口座数は、60才代が277万口座(23.5%)が最多、続いて40才代の254万口座(21.5%)、50才代の227万口座(19.2%)、30才代の190万口座(16.1%)、70才代以上の181万口座(15.4%)、30才未満の50万口座(4.3%)という。
2011年3月末から2011年9月末の半年間におけるインターネットを経由した株式(現物・信用、ETF・REIT含む)の売買代金は、56兆6,403億円(15.5%減)、国内投資信託の募集の取扱高は、4,676億円(前回調査比・2.0%増)となり、全会員の株式委託取引の売買代金に占めるインターネット取引の割合は、19.1%であったという。
2011年11月28日、インヴァスト証券は、全国に住む20 代~60 代の男女500人を対象とした「第2回 消費者の“お金”に関する意識調査」の調査結果を発表した。
将来の金銭的不安要素については、全体の約4割で「年金などの老後資金」を上げ、若年層では約3割が「漠然とした不安」を感じているという一方、「円高」については、全体の約6割が「影響なし」と回答、特に若年層では「外貨投資」や「海外旅行」への関心が強まったというポジティブな意見もあり、その結果、将来に備えて「お金を蓄える」、外貨投資などで「資産を増やす」という意識が高まっていることが推測できるという。
インターネットの発達と共に株式市場のネット取引口座数は半年で3%成長と一定の水準で増加しているものの、売買代金は15.5%減と市場のコンディションにより浮き沈みが激しく、消費者の将来に対する金銭的不安要素の高まりと共に安定志向も強まっている。
一方で、格安航空券の登場、円高や市場開拓を背景とした企業の海外進出などにより、ますます身近になったきた外貨を通じた投資志向や実需サービスの利用シーンは広がっている。
投資活動という視点だけでなく、3年先の生活拠点の変化やそれに伴う資産の配置と支出の向かい先、そして将来の金銭的不安を乗り越えていくための国家的活動とライフスタイルの変化の先にこそ、今後の金融サービスの新たなニーズが潜んでいるのかもしれない。
日本証券業協会「インターネット取引に関する調査結果(平成23年9月末)について」
(※インターネット取引を行っている会員(51社:2011年9月末時点)は、最終ページ(p12)を参考にされたい。)
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/jow8rjdl6-303/#_303
インヴァスト証券「第2回 消費者の“お金”に関する意識調査」
http://goodway.co.jp/fip/htdocs/joam3t7vp-303/#_303
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