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(VOL.1163)新年恒例の2016年大発会!日本取引所グループCEO 清田 瞭氏の年頭挨拶では、金融サービスの質を劇的に変える可能性がある「FinTech」への期待感を表明!URL
ウェブ管理者2016/01/04 17:33:55

 2016年1月4日(月)、日本取引所グループ(JPX) の東京証券取引所で新春恒例の大発会が行われた。

 今年の式典には、4日から国会が始まった関係で、2年続けて出席していた副総理兼財務・金融担当大臣 麻生 太郎氏の挨拶はなかったものの、日本取引所グループ 取締役兼代表執行役グループCEO 清田 瞭氏が挨拶で、金融サービスの質を劇的に変える可能性がある「FinTech」への期待感や新年の抱負を語ったほか、多くの証券業界関係者や一般参列者、艶やかな晴れ着姿の女性による手締めで、2016年の取引の活況を祈願した。

 大発会の式典開始前の午前7時30分、報道陣向けの取材説明会でメディア各社の報道場所が抽選で決定。その後、東証アローズ オープンプラットフォームに移動し、式典準備が進む会場で各社が報道の準備を進める。 

 式典が迫り、一般来場者、証券市場関係者、晴れ着の女性の順に参列者が入場。厳粛な雰囲気のなか、初立会を寿ぎ、新しい年を力強く歩んでいくことを参列者一同が祈念する式典が開始されるのを待つ。

 開始直前、会場後方の大型液晶モニターに、日本取引所グループの1年の歩みが映し出され、各月ごとのトピックスが映像で紹介、参列者一同で鑑賞。


日本取引所グループ 取締役兼代表執行役グループCEO 清田 瞭氏の年頭の挨拶
「2015年にarrowhead、2016年にはJ-GATEという基幹システムをリニューアル。サービスの質を劇的に変える可能性がある「FinTech」が、利用者にとって最も価値のある金融サービスの提供に繋がることを大いに期待したい。」
 
 式典開始後の冒頭挨拶に立った清田氏は、まず2015年を振り返り、4月の15年ぶりとなる日経平均株価の2万円台回復、6月の金融庁とのコーポレートガバナンスコードの導入、IPO件数の増加、また8月には時価総額がバブル最盛期を上回り過去最高となる609兆円を記録したとのトピックスに触れながら、総じて堅調な一年間であったと振り返った。

 また、基幹システムであるarrowheadの5年ぶりのリニューアルでは、スピードアップよりも市場の信頼性、取引の安定性を重視したとし、リニューアル後もarrowheadは順調に稼働して、市場関係者にも高く評価されていることを紹介。さらに2016年には大証のデリバティブシステムの基幹システムであるJ-GATEも刷新することで、システムの信頼性と能力向上により、これまで遅れ気味であった新商品の導入が容易になるなど、デリバティブ市場の更なる発展に努めていくと述べた。

 海外の動向については、2015年の末にミャンマーにおいてヤンゴン証券取引所を開設したが、東証としては4年近くその開設の手伝いをしており、無事に開設出来たことを喜ぶと共に、今後早急に具体的な上場予定企業の審査を行い、取引がスタート出来ることを期待していると語った。

 挨拶の最後には、「日本取引所グループは経営統合後に現物株は東京に、デリバティブは大阪にと市場再編及びシステムの統合に取り組んできたが、これは2015年までに順調に完了している。2016年で4年目となるJPX(日本取引所グループ)は、発足直後に作成した第一次中期経営計画を2016年の3月で終了し、新たな中期経営計画の策定を急いでいる。」と述べ、発足直後とは環境も大きく異なっている中で、特にFinTechについて挙げ、「3年前には話題にもならなかったが、経営戦略策定の上で今では避けて通れないテーマ。過去にもネット取引、アルゴリズム、HFT、コロケーションなどIT技術によって大きな変革がもたらされているが、FinTechについては従来のITという概念を超え、金融サービスの質を劇的に変える可能性がある。」語り、「金融システムに求められている安全性、信頼性などに最新の注意を払った上で、FinTechが利用者にとって最も価値のある金融サービスの提供に繋がることを大いに期待したい」と語って、2016年の年頭挨拶を締め括った。


 年頭の挨拶の後、晴れ着の女性5人により、取引の活況と市場繁栄の願いを込めて打鐘が行われる。

 打鐘後、東京証券取引所 常務取締役 土本 清幸氏の発声による手締めが行われ、2016年の活況な取引と市場の発展と祈願して、無事大発会は終了した。

 大納会の日経平均株価が年末終値としては19年ぶりの高値で取引を終えたなか、今年最初の取引となる大発会を迎えた東京株式市場は、年末の米株価の下落などを受けて大幅に反落し、午前の日経平均株価の下げ幅は一時500円を超えて約2カ月半ぶりの安値をつけるなど、波乱含みの展開で1年のスタートを切った。

 「利上げ」、「原油」、「選挙」などが2016年の市場動向を占うポイントとして語られる中、日本取引所グループは、経営統合後「現物株は東京に、デリバティブは大阪に」という市場再編およびシステムの統合を昨年までで順調に完了。2016年は、経営戦略策定の上では避けて通れないテーマ「FinTech」を劇的に金融サービスの質を変える可能性があるものとして、取引所グループとしても新年の主要なテーマに取り上げ、利便性の高いサービスの提供に期待感を示した。世界中でFinTech革命が進み、スマートフォンやビッグデータなどのテクノロジーを使った革新的な金融サービスが次々と生まれ、生活やビジネスそのものが大きく変わろうとしている今、国内においてもFinTech元年といわれた2015年を経て、新年は経済の中心をなす金融の世界にFinTechがますますの革命と発展をもたらし、経済を刺激する役割を果たしていくことを期待したい。

◎詳しくは取材レポートをどうぞ


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【コラム筆者】 
藤野 宙志(ふじの ひろし) 株式会社グッドウェイ代表取締役社長

日刊コラム1995年慶應義塾大学理工学部卒業後、キヤノンマーケティングジャパンでシステム開発に4年間従事。
1999年SBI 証券で業界初の日米間オンライン証券取引システムの立上げを手がける。ナスダック・ジャパンでは日米印3カ国オフショア開発を担当、新興市場創出の調整役として証券業界を奔走。2002年シンプレクス・コンサルティングでセールス担当、FXシステムを多数導入。2010年6月より現職。金融サービス&ITソリューション総合情報プロバイダーとしてポータルサイトを運営。


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