昨今、多くの証券会社が抱えている多彩な顧客要望に迅速に応えるため、光世証券は顧客目線で『オープン系システムとして再構築した証券基幹業務システム』をベースとした次世代の証券基幹業務システムの提供を開始した。
いったいなぜ今なのか?証券会社を取り巻く状況と、本サービスについて考察していきたい。
DXが浸透するなど、新たな事業モデルの模索とオープンイノベーションの推進が進む中、証券業界においても変革の動きが加速している。地銀が再編・統合の流れの中で証券子会社を設立するケースが増加。また、社名に“証券”がつかない証券会社による、スタートアップからの新規参入も相次いでいる。スマホから3タップで株の売買ができる証券取引アプリを提供する「PayPay証券」や、テーマ別のポートフォリオを選ぶことにフォーカスした「FOLIO」など、まったく新しいタイプの証券会社である。
このような中で、東京証券取引所や大阪取引所などを傘下に持つ日本取引所グループにおいても、機能別の市場再編・システムの刷新を完了した。新たな事業計画においては、市場の持続的発展を図るために、3つの主要なビジネスポートフォリオとして「現物市場」「デリバティブ市場」および「周辺ビジネス」を保持する「将来像」を中長期的に目指していくことを明確化。ビジネスモデルの変革を進めており、新たな取引参加者の誘致、市場の拡大を目指している。
一方、日本証券業協会の協会員にあたる金融商品取引業者には、大手・準大手証券会社のほか、大手ネット証券、中堅・中小証券、地場証券、地銀系証券、新興ネット証券、FX系証券、先物系証券、ホールセール専業証券、外資系証券など様々な形態が存在する。これら証券会社は、手数料競争による収益の薄利化に加え、複雑化したシステム連携によるサービスやオペレーションの硬直化、増え続けるシステム運用・維持コストによる圧迫、規制対応の負担などの課題を抱えている。また、電子商取引業界では当たり前となっている最新テクノロジーやデータ解析を活用したマーケティングの攻め手も追いつかず、投資家への付加価値を提供するサービス産業としての存在意義を問われると共に、経営収支が見合わなくなっている証券会社も少なくない。
この状況を打ち破るために、証券会社が取り組むべき主な領域として、「顧客口座資産・取引の増大」「業務効率化・コスト削減」「新ビジネスモデル変革」の3つが挙げられる。そして、そのカギを握るのが、「証券基幹業務システム」であるが、レガシーであり、圧倒的な市場シェアを有する一部のシステムに選択肢が限られているのが現状といえる。
対面営業の強化、ビッグデータ・AI活用、戦略的アプローチ
このような構造的課題を抱える中、先に述べた新しいタイプの証券会社の参入以外にも、既存の大手ネット証券においては証券基幹システムの全面刷新や他社への提供(マネックス証券の事例、カブドットコム証券の事例)も始まっている。投資未経験者、個人投資家、富裕層、機関投資家など、立場の異なる顧客からの多様な要望に迅速に応えられる顧客起点の証券サービスを実現するためには、これまでの制約の多い証券基幹業務システムの刷新が不可欠となっているためである。
30年以上にわたり光世証券が自社で開発・運用してきた実績のある証券基幹システム「KICS(キックス)」をベースに、幅広い金融商品と、証券会社の業務ニーズ、制度変更への迅速な対応を実現。国内/国外の株式や先物・オプション、投信、債券、ETF / REITなど証券会社が取り扱う、ほぼ全ての金融商品に対応している。
また、画一化されたASPでは実現できない、証券会社毎の独自のビジネスモデル、商品仕様、コンプライアンス要件などにもオーダーメイドで対応が可能。フロントシステム/ミドルシステム/バックシステムが一気通貫で処理するSTP(Straight Through Processing)を実現しながらも、必要に応じて部分的に切り出しての提供も可能なため、バックシステムだけ導入して、既設のフロントシステムと組み合わせたいというニーズにも応えられる。
対応商品(2022年8月現在)
ネットワーク、ICTインフラ、サーバーシステム、アプリケーション、ミドルウエア、セキュリティなど、益々高度化・専門化するシステム構成要素をすべてワンストップでサービス提供。さらに、システム導入に伴うコンサルティング、フィット&ギャップ分析にもとづくカスタマイズまで対応する体制を確立。証券会社は、最低限のITスタッフで効率的なサービス開始が可能であり、経営リソースの選択と集中により、証券業務に専念できる。
ネット顧客向けの先進的な金融サービスの提供はもちろん、対面取引中心の証券会社における営業活動や、コールセンターによる顧客対応を支援するためのビッグデータやAI活用など、次期ソリューションを企画中。今後の展開にも期待したい。
証券会社毎の専用サービスインフラ環境(プライベートクラウド環境)をNTTのデータセンターに設置。証券会社毎の独立性、セキュリティの担保はもちろん、中立的な立場から高い品質の運用サービスを提供。