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2019/07/22

ジェイテック Research Memo(3):平均単価上昇で利益率が改善に向かう

| by:ウェブ管理者
*15:13JST ジェイテック Research Memo(3):平均単価上昇で利益率が改善に向かう
■業績動向

(1)売上高及び利益の概要
2019年5月10日に発表したジェイテック<2479>の2019年3月期の連結決算は、売上高が前期比2.3%増の3,125百万円、営業利益が同102.6%増の156百万円、経常利益が同105.1%増の156百万円、当期純利益が同170.6%増の91百万円と大幅増益となった。

技術職知財リース事業については、建築関連分野が弱含みとなったものの、産業用機器関連分野が拡大、一方、一般派遣及びエンジニア派遣事業は、情報処理関連分野の取引が増加し、トータルで売上高が増加した。

一方、利益面では、売上原価は原価率をしっかりと管理し、連結ベースの売上原価率は前期の76.8%から今期は73.7%に改善。単体では67.7%と70%以下にコントロールし、過去5年間の平均は70%となっている。原価率の改善が大幅増益をもたらした。

派遣業界全体は、人手不足の影響で事業環境は厳しいものの、そうした中にあって同社は受注の絞込みを徹底。条件の合わない案件については受注を断っている。実際、前期は日本有数の大手企業であっても断ったという。半面、将来的に有望な領域とみられる案件に関しては積極的に取り込み、将来の飛躍に繋がるようにしている。

また、合わせて単価の上昇も収益アップに繋がった。2019年3月期における単体の平均単価は、4,148円と前期に比べて3.75%上昇。直近(2019年5月現在)では4,200円を超している。

単価アップの背景には、高単価・高付加価値業務への戦略的なローテーションに取り組む一方、在籍するテクノロジストの高い能力が顧客に評価され、さらに、若手や新卒のテクノロジストが早期に戦力化していることなどが挙げられる。

販売管理費については、人材獲得や社内インフラの強化に努めた結果、前期に比べて0.7ポイント増加した。しかし、単価アップや利益率の高い業務へ人材の配置をシフトすることなどで、コストアップ要因を吸収した。

(2)セグメント別の業績
a)技術職知財リース事業
技術職知財リース事業は、売上高を構成する4要素(テクノロジスト数、テクノロジストの稼働率、テクノロジストの稼働時間、受注単価)を掛け算することによっておおまかに算出でき、営業損益はこれから売上原価と販管費を引けば算出できる。

セグメント売上高は前期比2.2%増の2,974百万円となった。連結ベースのテクノロジスト数は、426人(2019年4月1日現在)で、前年同期の428人から微減。2016年4月1日は494人だったことから、厳しい収益環境にあることがわかる。ライバルである派遣会社だけでなく、顧客であるメーカーとの間でも優秀な技術者人材の獲得競争が激しい状態だが、政府が景気後退を示すなど、徐々に収益環境が落ち着く可能性が出てきている。

一方、新規受注件数に関しては、前期比54%減の313件となった。これは新規市場の開拓、高付加価値の業務獲得に絞った営業活動を推進した結果で、その他の市場に対しては営業活動をストップするなど、戦略的な要素が強い。同時に、優秀な人材の離脱を防止するため、社員サポートの強化、及び高付加価値業務へのローテーションを推進している。

また、稼働率は、休職者を除いた2019年3月末稼働率が99.1%と、ほぼフル稼働の状況。一方で、稼働時間は1人当たりの平均月間工数が前期に比べて0.5時間マイナスの180.2時間となっている。これは働き方改革の影響によるもので、0.5時間マイナスとなった反面、単価上昇、高稼働率により、稼働マイナスを吸収し売上増につながった。

セグメント利益は前期比21.6%増の468百万円。全体の利益でも説明したが、高付加価値業務への人員シフト、受注の絞込みなどの効果が現われた格好となっている。

b)一般派遣及びエンジニア派遣事業
一般派遣及びエンジニア派遣事業に関しては、売上高が前期比4.6%増の151百万円となった。

のれん代償却費がなくなったことによって、販売費及び一般管理費が減少した結果、セグメント利益は24百万円(前期比160.5%増)となった。

(3)財務状況
財務は良好である。総資産は前期末対比で61百万円増加し、1,806百万円となった。資産の部では、現金及び預金が前期末に比べて107百万円増加した。負債の部では、長期借入金が106百万円減少、当期純利益の計上で純資産が70百万円増加した。

この結果、2019年3月期末の自己資本比率は50.0%ととなり、前期末の47.7%から2.3ポイント改善している。

また、キャッシュフローに関しては、営業活動によるキャッシュフローは232百万円の収入(前期は108百万円の収入)となった。税金等調整前当期純利益143百万円を計上した。投資活動によるキャッシュフローは11百万円の支出(同8百万円の支出)となった。敷金保証金の差し入れに伴う支出が7百万円あった。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金返済による支出が104百万円あったことで、113百万円の支出(同120百万円の支出)となった。これらの結果により、現金及び現金同等物の期末残高は前期末比で107百万円増加し1,202百万円となった。

(4)株主配当
2017年3月期は創立20周年、上場10周年を記念し1株当たり2円としたが、記念配がなくなり、2018年3月期は1円となったものの、2019年3月期は年2円となった。株主配当に関しては、安定配当を基本としている。2020年3月期については、業績を勘案しながら検討し、期初の段階では1株当たり1円を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)


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