国内各所の緊急事態宣言解除を受け、今回の配信会場は、霞城セントラル24階にある展望ロビーで、感染症対策を十分に行いながらリアルとオンラインによるハイブリッドで開催した。冒頭、進行役を務める佃 吉彦さん(山形県 みらい企画創造部 ふるさと山形移住・定住推進課)は、2021年11月に予定している創業支援センターの開業に向け、今後も少しずつ人と人のリアルな場での新結合創出を通じて山形を盛り上げていきたいと語った。
開会挨拶でジョージ・ヤマガタ氏は、高度経済成長期をピークに衰退した日本の伝統的な工芸素材である漆産業と、全国的に進んでいるSDGsの取組みや自動車のEV化の状況下、ガソリン車のエンジン部品を作っている山形県の自動車関連産業の課題は同じだとして、時代の先を常に見据え、仲間を募り、新たな素材などとの新結合により、バリューチェーンを再構築して芸術・文化・地域全体を巻き込んだ、高度付加価値社会を実現することが必要だと語った。
また、お知らせとして、補正予算の対象にビジネス関係人口の来県支援が組み込まれたことで、各分野・各地域で活躍中のビジネスパーソンが県内の地域金融機関を介して県内企業の経営者と出会い、新たなバリューチェーンやイノベーションを生み出せる環境が整いつつあることを共有した。
パネルディスカッション | 「漆経済エコシステムと日本のものづくり~高度付加価値社会に向けた第一歩~」
|
パネルでは、モデレーターを小林 剛也さん (山形県 みらい企画創造部長)が務め、山本 尚史さん(拓殖大学 政経学部教授)、泉 虎吉さん(元祖総本家漆刷毛師 十世泉清吉)、榊原 憲二さん(ミクロン精密 代表取締役)、伊藤 瓢堂さん(陶芸家 / 上の畑焼陶芸センター 代表)、藤野 宙志さん(グッドウェイ 代表取締役社長)がパネリストとして出演。
小林氏は冒頭、漆や自動車産業というコア文化やコア産業の価値創造のため、伊藤さん、榊原さんは日本の産業及び文化のコアバリューを作り続ける立場から、藤野さん、山本さんには地域経済エコシステムを目指して県や地域に入り込んでる立場から、それぞれの取組みや私見を披露してもらいつつ、新たな価値創造とエコシステムについて語り合いたいと述べた。
技術に裏付けられた伝統の今後の展開、地域経済エコシステムの概念を見える化して横展開を図るためのアイデア案、現在の状況を踏まえた感想やエコシステム推進のための具体的な提案などについて語り合った後、大学教授を務める山本さんが提唱する「さまざまな中小企業」の資料を踏まえて、山形の未来づくりに向けて全員で活発な意見交換を行った。
最後にジョージ・ヤマガタ氏は、日本の伝統産業である漆産業や自動車産業の過去・現在・未来を地域経済エコシステムという観点から再構築して考え、日本のものづくりの今後をプラス思考で考えるきっかけになったと挨拶してセミナーは終了した。